日別アーカイブ: 2019年5月2日

ライ麦全粒粉をめぐる諸事情

麦ラボ

2017年産、食工房畑のライ麦

地元産のライ麦が在庫切れとなり、一時的な措置として仕入れ品のライ麦全粒粉を使用しています。

出来る限り品質の良いものを入手したいと手を尽くす中で、今まで考えが及ばなかったいろいろな事情を知ることになりました。

これまでに試したライ麦全粒粉は、北海道産、カナダ産、オーストラリア産、アメリカ産、ドイツ産ですが、北海道産は、業務用の単位で購入することが難しいくらい品薄で、あきらめました。

カナダ産のものも品薄で、少量パックのものしかありませんので、これも断念。

オーストラリア産のものは、品質は悪くありませんが、挽きが細か過ぎるので食感に違いが出てしまいます。
風味も、かなり違います。

アメリカ産のものはさらに挽きが細かくて、食工房の仕様には合いません。

ドイツ産のものが、中では一番食工房の要求に合っていて、これを使って行こうとほぼ決定したところで、思いがけない問題があることが分かりました。

ライ麦全粒粉なのに、袋の裏面の表示には、「ライ麦、小麦」とあります。
誰が見ても、小麦が混ぜてあるの?と思います。
ところがそうではないようです。

ある製品には、さらに詳細な説明が記載されており、それによると、小麦と同一の輸送経路を使用するため、微量の小麦が混入しているとのことでした。
つまりわざと混合しているのではありませんが、微量の小麦が混入していることを承知してくれということなのですね。

否、分からないではありません。

穀物の輸送には、フローコンベヤという機械設備が使用されますが、小麦を扱った後にライ麦に切り替えると、初めの一定時間長い経路の中に残った小麦が押し出されて来ます。
しかし十分時間をかけてもなお、完全に混入を排除することは出来ません。

中を清掃すればいいわけですが、そう簡単ではありません。
細かいパーツまで全部取り外してクリーニングしないことには、一粒残らず取り除くことは出来ませんし、その作業の膨大さは大変なものです。

また収穫現場でも異なる作物の混入があり得ます。
コンバインや乾燥機などを複数の穀物で共用している場合は、作物ごとに完璧なクリーニングを行わなければ、微量の混入はどうしたって避けられません。
大きな機械設備になればなるほど、それは難しい課題になります。

だから、たいていの米作農家は、麦を作りたがらないのです。
異物の混入は、先ず以て避けなければならないことの筆頭だからです。

では今まで小麦の混入は無かったのかということですが、決して無かったわけではありません。
その可能性があるからこそ原穀を入手して自家製粉していたわけで、製粉機にかける前に目視で選別していたのです。
最初から粉になっているものでは、それは出来ませんから。

さて、それでは食工房はどうするのかということです。
堅焼き黒パンやライ麦入り角食パンなどのように、元々小麦と混ぜて使うことを前提としているものは問題ありませんが、プンパニッケルだけは100%ライ麦でやりたいし、今までそうしてきたわけです。
※初めの頃の一時期、小麦を少し混ぜていたことがあります。

そこで、この微量の小麦の混入をどのように評価するかです。

一方、パンづくりの作業現場にも目を向けなければなりません。
食工房の作業場では、主に小麦粉を使って製品をつくっていますので、作業台の上はもちろんですが、室内全体にいつでも小麦の微粉が存在しています。
プンパニッケルの生地に、小麦粉の混入はないかと言われれば、否、あり得ると答えるしかありません。
まあそこのところだけは避けようもありませんから、この際ご承知いただくしかありません。

しかし、原料のライ麦全粒粉にはじめから微量の小麦が混入していることを、止むを得ないこととして承知するかどうかについては、ちょっとすぐには結論が出せません。

皆さまには、今後この点を予めご承知の上で、プンパニッケルをお求めいただきますよう、改めてお願い申し上げる次第です。

今回の件についてご感想やご意見を、コメント欄にご投稿いただければ幸いです。