高野通信」カテゴリーアーカイブ

ていねいな暮らしをするために・その2

ていねいな暮らしをするためには、時間が必要だと、この前申し上げました。
全くその通りです。
一体何が時間を奪っているのか、その話しはまた次の機会に譲ることにして、今日は少しだけていねいな暮らしの欠片を味わうことが出来たというお話しです。


今日は昨日とは打って変わって、朝から穏やかな晴天となりました。
今日こそ雪囲いを作る絶好のチャンスと、朝一番から外に出て作業にかかりました。

ところが一つ問題が持ち上がりました。
水道配管が損傷しているところがあって、自分ではどうにもならないことが判明、水道屋さんを呼ばなくてはならなくなりました。
運良くすぐに来ていただきましたが、今日中には直らないということで、そこの一角は手が出せなくなってしまいました。


仕方がないので出来るところまでやって、後は家の周りを片づけながら、枯草や枯れ木を集めて焚き火をすることにしましまた。

例によって、裏山から杉っ葉を集めて来て焚き付けにしましまた。
そうしたら、杉っ葉の煙の匂いを嗅いだとたん、もう心はあの山暮らしの日々へ帰っていました。
次々と枯葉を集めて燃やし、それから薪にするためにもらっておいた廃材がいい加減腐りかけていたのを運んで、それも燃やしました。


焚き火の番をしながらそこらを歩き回って、出しっ放しにしてあったものを定位置に収納したり、草茫々になっていた軒下を綺麗にして、冬の間しまって置くものなどを運んだりしていると、「ああ、これがていねいな暮らしってものさ!」と思わず頷いている私でした。


暗くなると、オレンジ色の炎がことさら美しくドラマチックで、もうずっと火の側に付いていました。

そしてふと気が付いて空を見上げたら、何と!満天の星空ではありませんか。

火の粉が吸い込まれて行くその向こうに、無数の青白い光の点々が散らばっている様は、私には、まるでこの世の極楽のように思えました。


何だかすごいご褒美をもらったような、「得した。」なんて安っぽい言葉じゃ罰が当たりそうな・・・。

そうです!

ていねいな暮らしをする人には、いつもこんなご褒美がそこかしこに用意されているに違いないのだと、もう一度空を見上げてため息する私でした。



 火の粉が飛び出す瞬間です。
写真でなくては見られない。



 


 


 火の粉のダンスに魅せられて、
シャッターを押し続けていました。
数十枚のカットの中からやっと3枚。
ドラマを感じていただけるでしょうか?






  おしらせ

「駅カフェ」にて、連れ合いの作品展が12月1日から開催されることをお知らせしていましたが、都合により12月7日からになりました。
明日お出かけくださるお積りの方もいらしたかも知れません。
パンだよりでもお知らせする予定でしたが、間に合いませんので、とりあえずこの場を借りてお知らせいたします。

ていねいな暮らしをするために


先日のことでしたが、昭和村にお住いで地元会津学の研究者菅家博昭さんが、こちらに調査に来られた際、ご挨拶にと立ち寄って行かれました。

菅家さんの来訪は、前以て知らされてはいたのですが、ちょうど仕事が忙しいタイミングで、その興味深い調査行にご一緒することが出来ませんでした。

その後菅家さんのブログ「記憶の森を歩く2010」に、当日の様子が詳しく綴られていますが、その中の11月25日のエントリーの「ていねいな暮らし」というタイトルの記事<参照>を読んで、ここ数日間ちょっと考え込んでしまっている私です。


件の「ていねいな暮らし」をしているその人は、私の集落のTさんのことで私もよく知っています。
本当に暮らしの一コマ一コマにまで気持ちが行き届き、ていねいな暮らしをされていると、私も常々思っています。


一方の私は、近頃どうも慌ただしくて何もかもが間に合いません。
ていねいに関わりたいことに関わるだけの時間が、何だか分かりませんがないのです。
結果、気がつくと何もかもが押し迫っていて、あたふたと状況に対応するのが精一杯。


仕事のことだけは手を抜かないでやりますが、そのしわ寄せが生活の雑事全てに及ぶのです。
田舎での生活は、必ずしもお金でなくても何でも間に合わせられるのですが、そのためには時間が必要なのですね。


何とかならないものかと、これが目下一番の悩みです。


さてさて、こぼしていても始まりません。


パンだよりの編集が、またしても遅れています。
クッキーの在庫も底を突き始めたし、コーヒー豆のご注文も沢山いただいています。
まだまだ歩調を緩めるわけには行きません。

お正月休みには、思いっ切りゆっくりしようと思っていますが、でもしばらく休んだらまたそわそわし始めるのじゃないかな・・・。
忙しいのは、半分は自分自身の性格に由来すると、本当は分かっているのです。

ていねいな暮らしをするために・・・、私の一生の課題と自覚しました。

忘れちゃいけなかったんですけど・・・

この二日間、ある会議と交流会に出席していて、日中はずっと出かけていました。
いろいろと役目もあり、充実の二日間ではありました。
本当は、そのことをご報告すればいいのですが、私には、朝一番今日という日のことを忘れてしまっていたことがショックでした。


今日は末娘の誕生日だったんです。
それも2008年の今日、毎年この日を思い出せる自分が幸せだと書いていたのに・・・。
<参照>
この頃、子ども達の誕生日だと言っても、特別何もしてやれない私です。
忘れているわけではないし、誕生日を喜ぶ気持ちが失せたわけでもないのに、何故だか気がつくと目前なのです。
ちょっと良くないなァ・・・。


7年頑張ってやっとご飯(うちはパンですけど)が食べられるようになったけど、日々の忙しさにかまけてこんな大切なことを忘れるようじゃ情けないですね。


もういっぺん、自分に問い直してみましょう。
何が望みなんだと。

クリスマスカードを作っています


 


おかげさまで連れ合いの作品展が好評のうちに終わりました。
茶房「千」での個展で、多くの方にあんなに喜んでいただけたと、連れ合いは初めての経験に何か開眼するところがあったようです。


この次は、駅カフェでクリスマスカード、ポストカードの展示販売と作品の展示を開催します。
駅カフェさんからも、「楽しみにしています。」とお声がかかっていて、今は次のイベントに向けて、時間を見つけては描いています。


私はそれをスキャナーで取り込んで画像データにし、連れ合いに校正してもらいながらクリスマスカードを作っているところ。
原画の雰囲気を完璧に再現することはどうやっても難しいことなので、いつも連れ合いと押し問答になってしまいます。
最初の頃はそれで喧嘩になることもしばしばでしたが、この頃やっとスキャナーやプリンターの能力を理解してくれたのか、ずい分楽に納得してもらえるようになりました。


まあ、私も努力はしているのです。
それに何と言っても、こういう仕事は面白いのです。


12月1日から24日まで丸三週間余り、駅カフェさんのご提案で、ずい分長い期間を取っていただきました。
多くの方のお出でをお待ちしております。

突貫工事中

いよいよ尻に火が付いて来た!という奴です。
日ごとに雪の気配が濃くなって来ています。


今日はもう、何を置いても雪囲い優先と決めていましたので、雨も雪も降らないお天気にまずは感謝。
ちょっと朝寝過ぎてスタートが遅れたものの、先ずはホームセンターへ材木を買い出しに行きました。
長尺物は家の車には載りませんので、お店の貸し出し用トラックを借りて運びました。
燃料代も取らないで一時間半無料とは、とてもありがたい計らいですね。


その時気が付いたのですが、材木の価格もデフレの影響かあるいは他にも理由があるのか、ずい分安くなっていました。
以前山暮らしの時、自分で家を建てた経験があるのですが、その時に比べると「ええっ!」と驚くほど。
ホームセンターの価格でそれですから、製材所に直接買いに行けばもっと安いでしょう。


それはさておき、今年から雪囲いの構造を変えることにしました。
要は、設置する時出来るだけ手が抜けるようにということと、溜まった雪を片づける回数を減らせるように作戦を立てました。


今日は予定の半分くらいしか出来ませんでしたが、まあ何とか間に合うと思っています。
年々歳を取って行くのですから、作業も楽に進むように工夫をしなくてはなりません。
長い間に道具もいろいろ買い込んでいますので、それらを使いこなすのは実際のところ楽しいのです。






ひとつぶ農園 来訪




毎月野菜を届けてもらっている、長野の「ひとつぶ農園」。<参照1>
昨日、森本夫妻と幼子葉菜ちゃんが、食工房を訪ねてくれました。

コミケン君にとって、我が山都町はもう一つの故郷のような場所になっているようです。
直接会って、いろいろつぶさに生活の様子などを聴くことが出来たのですが、私たちの若い頃を思い出すようなシーンもあり、ちょっと教えて差し上げた一言がすごく参考になると喜ばれる一幕もありました。

それで、「ひとつぶ農園」では、引き続きお野菜のお客さまを募集中です。


インターネットを使わない生活を志向している彼らなので、ご連絡はお電話で。(参照1をご覧ください。)
彼らの様子が分かるブログ記事もあります。<参照2>

もうすっかり元気を失くしている今の日本の社会にあって、温かさと清々しさとそして力強さを感じさせてくれる彼らの生き方はとても貴重だと思いますし、応援せずには居られない私です。

個展、終了御礼


ちょっとくたびれた顔してる、と本人談
私には、満足している顔に見えますが。


連れ合いの個展が、本日を以て無事終了いたしました。

本当に大勢の方々にご来場いただき、初めての一歩に沢山の励ましのお言葉やお花を頂戴し、連れ合いも毎日が感激の連続でした。


この場を借りて、今一度お出でくださった皆さまに御礼申し上げます。


それで実はこれ切りかと思っておりましたら意外な展開があり、この後12月に会津若松市内七日町駅の「駅カフェ」にて、小さな個展をさせていただくことが決まっております。
クリスマスカードの展示販売、その他ポストカードの展示販売、そしていくつかの作品も展示させていただけることになりました。


当初は、こんな形に発展して行くなど予想もしていませんでしたから、うれしさ半分驚き半分で戸惑っているというのが本音です。


近々また改めてご案内申し上げたいと思っています。


どうぞよろしく。


今夜は私、これから現場の後片付けに行って来ます。



  食工房よりおしらせ


今週も、大方の品物が売り切れ御礼となり、明日のご来店に何の備えも無い状態です。
またしてもこのようなお知らせで、申し訳ありません。
明日ご来店くださった方には、せめてシュトレンと3種類のケーキの試食、コーヒー一杯差し上げたいと思っております。

休日返上しても・・・


こんな雪囲いをしています。


家の中が暗くならないように、風通しが良いように、
そんなことを考えて手の込んだことをしてしまいます。


決まったスケジュールで仕事をしていると、例えばこの季節だと、雪囲いを設置したいと思っても、せっかくの休日に今日のようにお天気が悪いと、作業が出来ません。
逆に仕事で忙しくしている最中、外は良いお天気で絶好の作業日和でも、すぐに仕事を中断することは出来ないのですね。
このようにして、どんどんスケジュールが遅れて行きます。


昨日も雨で、本当なら雪囲いの準備くらいしておきたかったのですが、そうも行きませんでした。
そこで頭を切り替えて、コーヒー焙煎をやりました。
もし明日(今日のことですが)晴れたら、少しは作業が出来るかも知れないと考えたわけです。
ところがそうは問屋が卸さないの例えになってしまいました。


今日も雨模様、おまけに注文が入っていたのをうっかり忘れていたため、コーヒー焙煎が追加になって、結局雪囲いどころではありませんでした。


それでもいよいよとなったら、何もかも放り出して雪囲いをやらなくてはならなくなるんですよね・・・。
ああ、追い詰められる前に何とかしたい・・・。

冬の気配

今日は、午後から次第に荒れ模様のお天気。
日本海側の気候に近いここ会津は冷たい雨と風で、
外に出るのはちよっと勇気がいるほど・・・。
そして、もうすぐこれが雪になる季節が近づいています。


つい先日も、この時は晴れていましたが、吹いてくる風のにおいが冬のにおいでした。
いや、分かるんですよ!
乾いた感じで、枯草枯れ葉のにおいなんでしょうか・・・。


子どもの頃、若い頃、そして最近も、ずっと季節のにおいは、同じ記憶が繰り返し上塗りされて、鼻先をかすめた瞬間に幾つものしかし全く同じ風景が、頭の中に蘇ります。


風は、メディア(情報伝達媒体)。


気を付けていると、本当にいろいろな情報を運んで来ます。


ただ冬の気配というだけでなく、どこか北の大地に生えている木々の、「今度の冬は厳しそうだよ・・・!」なんていう伝言を運んでくれているかも知れません。


耳を澄まして聴いてみましょうか・・・。
風の唸りが、何かを伝えているのが分かるかも・・・。


それはそうと、あと何回か暖かい晴れの日があるでしょうか・・・。
雪囲い、まだなんです。

焚き火宴会・その2


火の粉のダンスは、見ていて飽きることがありません。
都会の100万個のイルミネーションも到底及ばないほど。


9月にたき火を囲んで宴会をやったというお話し、覚えている方がいらっしゃるでしょうか。<参照>
すぐにも二度目をやろうと盛り上がっていたのですが、何だかんだと日程が合わず今日になりました。
私は午後から、GENさんと焚き火で燃やす材木を運んだり会場の設営をして、日が暮れるのを待ちました。


午後6時前頃に点火して、間もなく燃え上がり大きな火柱になりました。
今日も微妙に雨模様で辺りが湿気っぽかったので、気兼ねなく火を大きくすることが出来て、とても気分が高揚しました。


あちこち声をかけていたので、参加してくれた方も多く、ジェンベを叩いたり、ディジユリドゥを吹き鳴らしたり。
ビール瓶を叩きながら火の回りで踊り出す人もいました。


いやー、いいですね。


それでまた今日のメニューが凄かったですね。
極めつけは、熊の肉でした。
大きな塊を三つ。
その場でスライスして、焼き肉にして食べました。


これがまたゴリゴリとすごい歯応えで、あごの筋肉が痛くなるほど・・・。
でも、とてもとてもうまかった・・・。
ありがたく、ありがたく、いただきました。


その宴会をしているところの10mも離れていないところにケモノ道があって、熊もしょっちゅう通っているのです。
国道を渡って柿を食べに往ったり来たりしています。


人と野生の関係・・・、あるべき姿に想いを巡らせながら、つい今し方、火が落ちて来た頃合いで一足先に失礼して来ました。



さてさて、話題はガラリと変わって業務連絡です。


  今週のクッキーとマフィンのお知らせ


ジンジャークッキーとコーヒークッキーを焼いています。


マフィンは、シマリス君の朝ごはんとそば粉マフィン、場合によってスィートハートを追加する可能性もあります。
ご注文次第で・・・。


本日はこれにて。

命がけで喰う

この前、「ゆっくりと食事をする」という記事を書いて、ゆっくりと味わって感謝の気持ちで食事をいただくことの大切さを申し上げました。<参照>

それに自ら異論を唱えようと言うのではありませんが、ゆっくりと味わってものを食べているのは、全生物中、恐らくは人間だけなのだろうと思います。


食物連鎖の頂点に位置する大型肉食獣でも、脇から分け前を狙うハイエナが付きまとって、ゆっくり味わって食べている余裕は無いように見えます。
それに彼らも、本当に空腹になるまでむやみに獲物を追ったりはしないのですね。


そしてチータなんかは、全力で走って獲物を追いますが、もし捕まえ損なったら命に関わるほどエネルギーを消耗する、まさに命がけの狩りをしているのです。


一方呑気に草を食んでいるように見える草食獣も、一時の油断で肉食獣の獲物になってしまうのですから、子どもたちを守るためにも常に警戒を怠りません。
喰うか喰われるか、野生の生き物たちは、鳥も獣も虫たちも皆、まさに生きるために命がけで喰っているのです。


それに比べたら、人間たちの食事は何と優雅なことでしょう。


だからこそ、生きるために喰うという大原則とゆっくり味わえることへの感謝を、絶対に忘れてはならぬ!と肝に銘じる私です。