続・米粉パン異論

先日の<参照>続きです。

この前は、製パン用の米粉に、小麦由来のグルテンが添加されているということを申し上げました。
今でも製パン用米粉の主流は、グルテン添加です。


米粉と言いつつ小麦のお世話になっているという矛盾、そしてそれ故に小麦アレルギーの人が食べられるパンが出来るかも・・・という望みに応えられないなど、いくつものジレンマがあったわけです。


米粉業界もこのことはとっくに承知で、いかにしてグルテンから解放されるか、グルテンに替わる材料を発見あるいは開発することに血道を上げていたのですね。


そして最近、グルテンの代替物が開発され、特許が出願されました。

どんなものだろうと思ったら、米を特殊な方法で蒸して糊化し、乾燥製粉したものだそう。
これを米粉に20~30%の範囲で添加すると、小麦粉と同じように粘りとコシのある生地になり、製パン適性も悪くないそうです。
今、グルテンフリーの米粉パンとして、大々的に売り出そうとしているようです。


実は他にもう一つあって、グルタチオンという物質を7~8%添加すると、米粉のデンプンの糊化を促し、やはり小麦のような粘りのある生地が出来るのだそうです。
こちらも製パン適性良好ということで注目されそうです。


グルタチオンは、アミノ酸化合物の一種で、体内でも合成されるもので、化学合成も可能。
抗酸化、解毒などの作用があり、サプリメントの成分にも使われています。


さて、それならもう何も問題はない・・・米粉パン万々歳!ということになるわけですが、私的にはどうも今一つ釈然としません。


小麦アレルギーの方にとって朗報と言うなら、それはそれでいいでしょう。


私が言いたいのは、麦を食べる食文化も米と同等以上に存在価値があるということです。

何かにつけ、「米に比べて劣るもの」というレッテルを貼り続けられて来た麦です。
しかしその実、麦の方が米よりもはるかに多用途で需要も多い穀物なのです。


先ず小麦だと、小麦粉です。
パン、菓子、麺など私たちの食生活に欠かせないものばかりです。

そして醤油です。
醤油というと大豆が原料だと思っていますが、小麦も同等に必要です。

そして麦には、他に大麦、裸麦などもあります。
どなたもご存じのビールは、麦酒と称されますね。
スコッチウィスキー、これもやはり麦から製造される蒸留酒です。
健康食としてもてはやされている雑穀ご飯の中にも、麦が入っていますね。
これらの原料は、大麦や裸麦です。


西洋では、ライ麦やカラス麦(燕麦とも言う)も貴重な食糧として用いられています。


米粉のパンが悪いと言うのではなく、小麦のパンと同列に置いて評価をすべきではないかと言いたいのです。


それからもう一つ、麦も、米と同等程度の国内自給率を目指すべきです。
麦を植える農家に価値を見いだせるような、食に関する啓蒙活動も重要です。


今のような米粉におもねる農業政策、食糧政策は、愚行だと申し上げたいのです。