放射線の害について、実は何もかもが詳細に解明されているわけではないのですね。
今回の福島第一原子力発電所の事故に関して、この程度の放射線なら問題はないと言う人がいるかと思うと、もうすでに北半球はどこに行っても同じリスクだと言う人もいます。
今日までに、私が調べて理解したと思っている範囲のことについてまとめて見ました。
まず、ある程度正確に分かっているのは、極短い期間に大量の放射線を浴びた時の急性反応についてだけなのですね。
例えば、400mSvでは、白血球の一時的な減少が起こることなどが知られています。
100mSv以上では、確実に催奇形性つまり発がんリスクがあるので、危険範囲の閾値とされています。
ちなみに過半数致死のレベルは4Sv=4000mSv、100%致死は8Sv=8000mSv以上です。
※mSv→ミリシーベルト μSv→マイクロシーベルト Sv→シーベルト
これに対し、低線量(100mSv以下)と呼ばれる範囲の害については、正確なことはまだ分かっていないのです。
100mSv以下では、催奇形は確率的に発生することが、ある程度分かっているに過ぎません。
低線量になればなるほど、長い時間の経過と大量のサンプルを見る必要があることから、μSv台の放射線障害については、推測の域を出ないというのが本当のところです。
では、危険(リスク)を考えなくてはならない範囲はどの程度からかと言うことになるわけですが、その閾値を年間1mSvと決めているのですね。
武田先生も仰っているように、<参照> 年間1mSvは、全くリスクを考慮する必要のない線量と認識されています。
ここで重要なことは、年間1mSvが必ずしも科学的検証に基づいた数字ではなく、大勢の識者の見識を集めて議論の末、そのように決めた数字であるということです。
もう皆さんもご存じのとおり、放射線は自然界にも存在しており、私たちは年間1mSv以上の天然の放射線を浴びています。
元々危険な放射線を、さらに人為的に浴びることの無いようにという配慮が、年間1mSv以下という結果になっているわけです。
本当は、0 であるに越したことはないのです。
それでも一部には、年間1mSvの10倍あるいは20倍でも、多分何事も起こらないだろう・・・と言う学者もいるのですね。
※参照記事を見失って見つけられないので、見つけたらあとでリンクします。
実際のところそれがどうであるか、誰にも分かっていません。
今、一つ言えることは、これから十年二十年をかけて、フクシマがそれを実証するだろうということです。
何しろ、低線量と呼ばれる範囲のあらゆるサンプルが散らばっており、しかもそこに生身の人間がいて生活しているのですから・・・。
このことは、福島にいる私たちも他県の人も、否、世界中の人々全員が、事実として厳粛に受け留めなくてはならないことであると、私は思っています。