山都町に農業研修に来ている若者がいることは、以前お話し申し上げましたが、彼らの滞在も早や五ヶ月を過ぎ、この頃はすっかり日焼けした顔を見せてくれています。<関連記事>
育てている作物もすでに収穫期を迎え、私も何度か味見させていただきました。
彼らは、それぞれに自分の担当の圃場をあてがわれていて、そこから収穫出来たものは、自分で売って収入にして良いことになっているそうです。
どうしたって張り切らないわけには行きませんね。
ところで、小川農園の主小川さんは、農業試験場上がりの言わばバリバリの研究者タイプの方で、品種改良や植物の生理に関して、評価に値する深い見識をお持ちです。
研修生たちも、この点ではとても勉強になると言っています。
しかし、その成果を農業経営に結びつけるためには、もう一つ別な能力が求められることを、彼らは自分たちの作物を売りながら実感しているようです。
今の日本の社会で、お金の回りという面で見ると、最も効率良く利益を集めているのは金融業で、その次が情報関連、それからサービス業ですね。
モノづくり(製造業)と農業は、比較すればずっと割に合わない仕事をしています。
特に農業は、人々の生存に必要不可欠なものを生産しているにもかかわらず、最も経済効率の悪い仕事になっています。
そんな現実にすっかり疲弊感を強くしている、地元の農業者が半ば諦めてしまった部分に、逆に農業に何の経験もない都会の若者たちの、新しい発想やアイディアとそして実行力が、何か良い刺激になるような結果を生み出して欲しいと、こちらとしても応援しないわけには行きません。
幸いにも、今年の研修生たちのほとんどが、研修後も山都町に居残り、定住と新規就農を視野に入れながら、来年も研修したいと言っています。
今後の日本が、彼らの意欲や希望を裏切ることのない、農業政策が実行される社会であることを、願わずにはいられません。