コーヒーと並んで嗜好品として愛されているのが紅茶です。
コーヒーを嗜好品の王と例えるなら、紅茶は女王といったところでしょうか。
コーヒーを商売にしていると、多少なりとも紅茶に関心を払わないわけには行きません。
しかしながら私は、紅茶に関してはほとんど素人なので、薀蓄を語ることは出来ません。
そこでちょっと別な方面のお話をしてみたいと思います。
紅茶の産地で有名な所と言えば、インド、スリランカ、ネパールということになると思いますが、この日本も戦前は紅茶の輸出国だったことは、案外知られていないのではないでしょうか。
すでにご存知の方もいると思いますが、私たちが日頃飲んでいる日本茶と、専ら輸入品だと思っている紅茶は、実は同じお茶の葉を原料に造られます。
緑茶と紅茶の違いは、つまり製法の違いなんですね。
ですから、日本で紅茶が造られていたとしても、何の不思議もないわけです。
緑茶は、新鮮な茶葉を先に蒸して熱を加え、葉緑素を分解する酵素の働きを止めてしまいますので、きれいな緑色に仕上がります。
一方紅茶は、生葉を熱を加えずに醗酵工程にかけますので、葉は黒っぽい色に変色し、紅茶の風味と色が醸し出されるわけです。
ところで日本では、お茶の栽培は関東あたりが北限で、ここ東北では残念ながらお茶の栽培は出来ません。
一方私の郷里の高知では、私が子どもの頃、周りのあちこちにお茶の木が植わっていました。
畑と畑の、畑と道路の境に、一列にお茶の木が植えられている風景を、よく見かけたものです。
農家はどこでも、出荷用と限らず自家用としても、毎年初夏の頃になるとお茶の葉を摘んでいました。
自分でお茶に加工する人もいましたし、加工してくれる業者もありました。
しかし、紅茶を造っているのだけは見たこともなければ、昔造っていたという話も聞いたことがありませんでした。
ところが後年、それもわりあい最近になって、私の生まれ故郷の村の二つ隣の村、現在の大豊町というところで、醗酵製法のお茶を今でも造っていることを知って驚きました。
「碁石茶」と呼ばれるそのお茶は、醗酵させた黒っぽい茶葉を、碁石くらいの大きさのペレット(錠剤)状に固めてあります。
醗酵の工程も風味も紅茶と違うとは言え、醗酵製法のお茶が自分の郷里に残っていたことに興味を覚え、また誇りを感じる出来事でした。
お茶は元々日本で栽培出来る作物ですし、しかも紅茶製造の歴史もあったわけですから、ここらで研究熱心な人が現れて、インドやスリランカの名品に勝る銘柄をつくり上げてくれないものかと期待が膨らみますね。
ちなみに現在、あちこちのお茶の産地で紅茶を造るようになったようですが、まだまだ知られていないし、定評も得らていないようです。
国産紅茶の地位向上を願っています。
私はコーディネーターの資格を取るのにおととしは本当に毎日毎日いろいろな紅茶をティスティングして紅茶日記を付けていました。
その中で一番自分の口にあい、心の底からおいしいと思った紅茶が、なんと新潟は村上の在来種の紅茶です。緑茶においても北限だと思われます。ヒマラヤ山脈のダージリンの芳醇な味と香りは霧が育てるといいますが、日中の気温差が新潟の紅茶をおいしくしたのではないかと思っています。水色も日本海に沈む夕日の色と日記に書きました。希少な紅茶ですぐに売り切れとなりましたが、私のよく買っているブランドの紅茶専門店でも日本在来の紅茶を近年販売するようになりました。日本の風土で育った茶葉の紅茶。大切にしたいですね。
村上は販売されているお茶の北限といわれてますね。村上の緑茶は飲みますが、紅茶は知りませんでした。明治には輸出してたそうで。。
味わってみたいですねぇ。
新潟県の富山寄りでは、ばたばた茶という、発酵茶があります。ローカルテレビで見ただけで飲んだことはありませんが、なんか楽しそうな飲み方ですよ。
オリオリさん、コメントありがとうございました。
さすが紅茶コーディネーター、いろいろなことをご存知ですね。
私も、その村上の紅茶を、いつか口にしてみたいものです。
これから国産紅茶に、新しい発展の時代が来そうですね。
sumiさん、コメントありがとうございました。
確か、村上はお近くでしたか?
ぜひ、紅茶の情報も仕入れて来て、教えてください。
紅茶の起源は、イギリスによるインドの殖民地政策時に茶葉を船で運んでいる途中に醗酵して生まれたという説が一般的なようです。