昔から人一倍、情報発信に関心の強かった私、20代の後半からずっと今まで、連れ合いと合作で個人通信を発刊し続けています。
多い時には、1000部刷ってもいつの間にか無くなってしまうくらい、手渡しで、郵送で、またお店など人の出入りするところに頼んで配布していました。
そして奇しくもこの通信刊行の約30年間は、印刷技術や編集方法、そして情報発信の方法そのものまでもが革命的に変化した、歴史に残る時期でもありました。
当初の私たちの通信は、ガリ版と呼ばれる謄写印刷機を使っていました。
原紙に鉄筆で文字や絵を描き付け、印刷機にセットして印刷するのですが、数百枚刷るうちに原紙が破れて悲しい思いをすることも度々でした。
その後間もなく、この原紙切りを自動的にやってくれる機械を導入し、印刷機も手動から電動に替えました。
当時は、印刷機を持っているということは、情報発信者としての象徴的なステータスでした。
私は、それこそ得意満面で、しばらくの間毎月のように通信を出したものです。
それでも、版下と呼ばれる印刷の元になる文字や絵などは相変わらず手描きで、切り貼りで編集していました。
誤字や脱字の修正はなかなか大変で、技術的にもコツを要する細かい仕事でしたが、毎号毎号飽きもせずにいそいそとやっていました。
印刷業界でも、文字はタイプライターや写植で打ち出していましたが、修正は手作業による切り貼りで大変だったようです。
そんな時代からわずかに30年足らずの間に、状況は何から何まで一変してしまいました。
今の、パソコンを使って何でも出来る状況は、昔私が「こんなことが出来ればいいのに・・・。」と想像していたことを遥かに超えてしまっています。
高性能のプリンターもローコストで使えるようになりましたから、新聞社や出版社をそのままミニチュアにしたようなことが実現しています。
私にしてみれば、通信の編集に関しては、もはや叶わぬ願いなど存在しないと言えるほどです。
それどころか、まだまだ出来ることがあるのに知らないことが沢山ありそうです。
まさに隔世の感ありです。
しかし驚くべきはそれだけではありませんでした。
インターネットの確立によって、情報発信の方法そのものにも大きな変化が起こりました。
今や、必ずしも紙に印刷という手法に頼らなくても、誰もが手紙を書くより簡単に、ブログやホームページを使って世界に向かって情報発信が出来るのです。
今までずっと、紙に印刷したものでやって来た私の情報発信も、今年はとうとうと言うか、やっとと言うか、ネットデビューを果しました。
また一つ新しい世界が開けて行くようです。
もちろん、印刷物としての通信を止めるつもりはありません。(ここしばらく休刊状態ではありますが・・・。)
どちらも私にとっては魅力的な媒体です。
皆さんとのお付き合いを楽しみに、続けて行きたいと思っています。