商売は何でも競争という雰囲気が強くなっている昨今ですが、競争に勝たなければ生き残りはあり得ないと言うのは、なかなかしんどいことです。
下手をすると、人に喜ばれる良い仕事をしたいという「心」を、捨てざるを得ないようなところに追い込まれてしまいます。
もちろんそれは、自滅行為です。
しかし世の中を見ていると、そういった罠にはまったとしか思えないような事件が、次々と枚挙に暇なく起こっています。
私は、前にも申し上げましたが、競争することには耐えられませんので、競争しなくても生き残れる道を探し続けてやっています。
そしてそのために一番大切なのが、オリジナリティーだと思っています。
と、言うのは簡単ですが、それを実現するのはとても難しいことです。
同じようなものを造っても、それが食工房ならではの特質を備え、なお且つ他が真似出来ないアイディアや技術に裏打ちされているためには、どれほどの努力が必要か、今までにもさんざん思い知らされています。
卓越した製品が出来るために必要な条件は、豊富なアイディアと高い技術にあると思いますが、二つとも兼備することは普通は望めないことです。
技術のない人のアイディアは、往々にして実現性に乏しく、逆に技術のある人のアイディアは、斬新さや奔放さに欠ける傾向がどうしてもあるからです。
私は最近になって、連れ合い共々自分たちが素人の独学で通して来たことの成果が、これから少しずつ上がって来るかも知れないと思っています。
それは、本当に5年10年かかって一つか二つというペースですが、世の中に向かって誇れる食工房オリジナルが出来上がっていると思えるようになったからです。
手前味噌ながら紹介させていただくと、筆頭は今年もご好評いただいたシュトレンでしょうか。
それからブラウニー。
あと一つ、堅焼き黒パンですね。
あと一つ、パン屋の本業から外れますが、オリジナルカリーマサラも。
私は、それら食工房オリジナルがお客さまに喜ばれ、必要最低限の収入の源になれば、それで満足です。
今までは、そのレベルに達することさえままなりませんでしたから・・・。