食工房の小道具たち

パン屋などの製造業の作業場には、沢山の機械設備があります。
食工房にも、オーブンやミキサーなど大物がいくつもあります。
もちろんそれらは、なくてはならないものですが、一方小物と呼ばれる道具がそれよりずっとずっと沢山あって、それぞれの仕事の役に立っています。
実はそれらの小道具の中にこそ、仕事のノウハウが隠されています。
今日は、その一端を少しだけ紹介したいと思います。
いろいろ手づくりする方のお役に立てれば幸いです。

ところで食工房でもそうなのですが、小道具の中には本来の役目とは違う目的外使用で効果的に使っているものが少なくありません。
専用のものがあっても高価過ぎて導入出来ない、あるいは適応する専用の道具がない時など、創意と工夫によって目的を達成するのは、ある意味とっても楽しみなことです。


 



 



さてさて先ずは、写真左側のコーヒーミル。
食工房では、これをスパイスミルとして使っています。
挽き臼がセラミック製で、大概のものは挽けます。

胡椒の粒など硬くて砕け難いものは、最初は極粗挽きして少しずつ目を詰めて、二度三度挽きなおして細挽きにします。
アールグレーティーケーキに入れる紅茶の葉も、このミルでとても具合良く挽くことが出来ます。
パタポンに入れる黒焼きライ麦粒もこれで挽きます。

さらに微粉にする時は、右側のミキサーを使います。
ミキサーを使って微粉にする時も、一旦コーヒーミルで挽けるところまで細かくしてからにした方が、風味が壊れないし均一に粉砕出来ます。
食工房の仕事をする上で、この二つはどうしても手放せません。


 




お次は、ご覧の通り霧吹きです。
左側は普通の霧吹きですが、右側は除菌アルコール液用のものです。
実は左側の霧吹き、食工房の仕事に使うとすぐに壊れてしまいます。
そのくらい、頻繁に使われるということです。
それで目をつけたのがアルコール液用のもの。
これが意外に丈夫で、霧吹きとして売っているものよりよっぽど具合がいいのです。

特に、焼き上がったばかりのケーキにリキュールをスプレーするのに、普通の霧吹きを使うとたった1、2回でパッキンがアルコールにやられて効かなくなり、霧が飛ばなくなってしまいますが、除菌アルコール用のだとさすがアルコール用というだけあって、何回使っても全然支障がありません。
霧吹きとして売っているものより丈夫で具合がいいというのは、逆に売っている霧吹きの方にちょっと問題があると言えないでしょうか。
もちろんただの水を吹くのは全く問題なし。

霧吹きは、パン生地を湿らせたりする時に使いますが、洗い物をする時にはこびりついた汚れをふやかすのにとても重宝しています。
では左側の霧吹きは何の役に立っているかと言うと、こちらはノズルを調整して水鉄砲にすることが出来るという利点があるので、オーブンの中に蒸気を出したい時に水を吹き込むために使っています。
うちのオーブンは、蒸気が出せないのです。
この他にも霧吹きはいろいろと重宝しています。

まあそんな具合に小道具の話は、すればきりがありません。
またいつか、折を見て紹介したいと思います。