エコか、エゴか?

人類は、どうも次々と問題を抱え込む生き物のようです。
石油、石炭の枯渇が現実味を帯びた問題として騒がれ、一方原子力は未来永劫に核廃棄物の問題を残し、その板挟みの間に風力や太陽光、バイオマスなどの自然エネルギーの開発が、それこそなりふり構わず進んでいます。
そして今、最も現実的に開発が進んでいるのが風力発電。
ところがこの風力発電に使われる風車が、低周波公害を発生しているらしいことが明らかになって、社会問題になりつつあるそうですね。


それはそれとして、以前私が電気の引けない場所で山暮らしをしていた時、自家発電の手段として風力発電を考えたことがあり、風の様子を調べるためにただクルクル回るだけの風車を作って立ててみたことがあります。
羽の直径が3メートルくらいの、小さいながらもそこそこの大きさの風車でした。
モグラ避けの風車をご存知の方いらっしゃるでしょうか?
あれに比べればずっと大きくて、回り方もゆっくりでした。
高さ4メートルくらいの支柱に取り付けた風車が、グルグル回りだすと何だか頼もしくてワクワクしたものです。
ところがすぐに意外なことに気がつきました。
それは、鳥たちが半径約50メートル以内には絶対に近寄らなくなったことです。
特に頭の良いカラスは、ものすごく訝っている様子で、風車が回っていなくても用心しているのが見ていて分かりました。
なるほど、確かに鳥たちにしてみれば、高いところで動くものがあれば疑うのは当然か、と思った次第。
逆に、畑の作物を野鳥から守るのには、絶好の仕掛けだと言えます。
それから間もない頃、海外の風力発電施設で、風車が渡り鳥たちのコースに影響を与えているという情報に触れた時、「それは当然のことだろう。」とすぐに納得が行きました。




高知県 長岡郡 大豊町 「ゆとりすとパーク」にある
風力発電用風車。2基のうちの一つ。
風景としては好きなのですが・・・。
 


さて話を戻しますが、その低周波公害というのは相当深刻なもののようです。
しかし私は思います。
人間は人間だけの都合で、このようなことを問題にしたりしなかったりしますが、今までにもどれほど多くの野生生物たちが、人間活動のせいで影響を受け苦痛を強いられ絶滅して行ったたことでしょう。
最近は何をする時も、環境影響評価というものが行われますが、本当なら野生生物の代表を招請して意見を聴くべきですね。
本来、野生生物に影響があるなら、遠からず人間にも影響がないはずはないのであって、それを無視するのは他に不純な目的があるからでしょう。
先ずは、人間活動の浪費の構造に対する反省から始めるのでなくては、エコもただのエゴに過ぎないと私は思います。


 


 


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