近頃テンポが速過ぎる

何に限った事ではありません。
近頃、やたらにテンポが速過ぎじゃないかと感じている私です。

物事の流行り廃り、移り変わり、そして元々切り替わりの速いテレビ画面の1シーンでさえ、最近ますます短く速くなっているような気がします。

コンピューターのCPUの処理速度もまた、倍々に加速していますね。
コンピューターの進歩が先かあるいは人間の欲求が先か、というより両方で共鳴し合って増幅加速の一途を辿っているというのが真相でしょう。


ある方のお便りには、「世の中の流れは速くて・・・、とくに私には・・・。できたお店も、すぐなくなってしまいます。」とありました。

そんな折思い浮かぶのが、近頃のカフェ流行りです。
新規開業するお店に設備を納入する業界は、これだけ厳しい不況の中でも結構仕事があると、業界の方のお話しです。

また別な方には、新規開業に意欲を燃やしているのは、30代前半の若い方々だとも伺いました。
比較的裕福な方の多い団塊の世代の、子どもに当たる世代ですね。資金的にも、恵まれた環境があるということなのでしょうか。

そしてまた同様な傾向にあるのが、パン屋とお菓子屋だそうです。
どちらも、カフェと並んで若い方々には、断然人気の業種だと聞いた覚えがあります。
そしてそれらを別々ではなく、複合的に一軒のお店でやってしまう例がこれまた大変多いのですね。


まあそれはそれとして、こうも急速に数が増えているとなると、近い将来必ずやって来るのが淘汰の時代です。
誰だって、先行き潰れると思っているわけはありませんが、この移り変わりの速い時代に、それはいかにも急激にやって来るような気がします。
うちだって、決して例外ではないかも知れません。


ところでカフェと言えば、安らぎやくつろぎの時間と空間を提供するのが商売ですね。
この気忙しく慌ただしい世の中で、カフェの中だけは別な時間が流れているような錯覚を、お客さま方は期待するのではないでしょうか。

一方店を開けている者にとっては、この移り変わりの激しい世の中で、ある意味生き残りを賭けなくてはなりませんから、見えない所でなかなか厳しいストレスに苛まれることになります。
世の中のテンポが速くなればなるほど、この店の表と裏の落差は大きくならざるを得ません。
これをどこで納得するかが、仕事の質を決定すると言えます。

お客さまへのサプライズには「遊び心」が欠かせませんが、それを実現するためには現実的な計算も必要ですし、手間も時間も体力も必要です。そして大事なのは、案外精神性というか、哲学なのですね。

あと一つ、私にとって一番大事なのは、自分の身の丈を自覚するということでしょうか。


ちなみに食工房のキャッチフレーズは、 Slow Foods Slow Business です。

どうぞ、長いお付き合いを!