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食品添加物の話

加工食品と言えば、食品添加物のことが先ず頭に浮かぶのは、私だけではないと思います。
長年、自然食に親しんで来た私は、食品添加物についてはいろいろと勉強もして来たつもりです。
その結果、無添加の大切さを承知しているからこそ、今やっているパン屋の仕事は無添加にこだわっています。

現在日本国内では、388種類の食品添加物が認可されていますが、ちょっと考えても恐ろしい数字だと思います。
当然、安全性が十分に検討された結果、認可されたという点では、筋は通っているわけですが、その安全性の認識にも、全く問題が無いわけではないのです。

そもそも「添加物」の名が示すとおり、栄養素のような食品本体の成分ではありません。
そしてたいていの場合、それらは有毒な薬物(化学物質)です。
安全性と言っても、濃度的に安全なラインを決めているだけで、毒性が無くなるというわけではありません。
ということは、複数の食品から何種類もの食品添加物を継続的に摂取することにより、複合的な有毒性が生じる可能性がありますし、物によっては体内に蓄積される可能性もあり、総量が危険なラインに達することも考えられます。

食品の品質表示には、添加物の化学物質名そのものが表記されることはなく、「品質改良剤」「品質保持剤」「保存料」など、耳ざわりの良い名称ばかりが使われます。
ほとんどの人は、その中身や有毒性に関する知識を持っていませんし、知る機会も少ないと思います。
そして、添加物が使われた口当たりの良い食品を、当たり前のものとして受け入れているわけです。
皮肉なことですが、そんな食品に慣らされた口には、無添加の素材そのものの持ち味が生きている食品が、かえって不味く、低品質のもののようにさえ感じてしまうことが珍しくないのです。

味覚の基礎は、離乳期に始まる幼児期に決まってしまうと言われますが、こういう時期に添加物浸しの食品に接することは、何としても避けたいことです。
食品添加物の本当の毒性は、私たちの味覚を毒することであると思っています。

クッキー類、品切れのおわび

只今、年末体制でシュトレンの製造に手を取られているため、クッキー類の製造がほとんど出来ていません。
品切れのものが多くなっております。
毎週、2、3品目をどうにか製造していますので、ものによっては棚に並んでいることもあります。
しばらくの間ご迷惑をかけますが、ご了承ください。


印刷版の「パンだより38・冬至号」、只今編集中です。
今週中には、Web上に公開出来そうです。

☆シュトレン、引き続きご予約を承っております。


国産小麦のパン



食工房製 地粉角食パン


先日のこと、「国産小麦のパン」をキーワードに検索したところ、いくつかよく知っているパン屋さんの名前が上がっていて、サイトを拝見したりブログを読んだりしましたが、一つ気になるパン屋さん(ではありませんけど・・・)の名前が上がっていました。

そうです、業界最大手の「山崎製パン」です。
うーん・・・、「ヤマザキよお前もか!」ではありませんが、こういう大手が国産小麦に手を出す時代になったのかと感心する一方、これは我々のような国産小麦で独自路線を歩んで来たパン屋にも、少なからぬ影響が及ぶだろうと思った次第。
早速サイトを覗いて見ました。

その結果分かったことは、確かに国産小麦100%だということ・・・。
何々!とよく見て行くと、国産小麦は製パンに適さないところを、独自の研究開発で克服した旨が宣伝されています。
そしてその中身も、公開されていました。
それは、パン生地の改良材として、臭素酸カリウムを使用する方法でした。

この臭素酸カリウムというのは、私などは、30年くらい前に勉強してよく記憶に残っている、製パン用の食品添加物の一つです。
※臭素酸カリウムに関する、検索結果 <こちら>

当時、盛んに使用されていましたが、遺伝毒性が認められるということで、使用を自粛することになった危険な添加物です。
イギリスでは、使用禁止措置がとられているとのこと。
日本では、禁止ではなく自粛という方向で、代わりにLアスコルビン酸を使用しています。

そこを何故敢えて臭素酸カリウムなのかというと、やはり生地改良の能力が格段に優れているということなのですね。
そこでヤマザキさんは、最終製品のパンに焼き上がるまでに、この臭素酸カリウムの残存を限りなく0にする技術を研究したらしいのですね。
残存が0ならいいじゃないかという話になりそうですが、あまり気持ちのいい話しではありません。

まあ、考え方感じ方の違いで、支持する方もいるでしょうから、輸入小麦の価格がさらに高くなってくれば、大手の製パンメーカーもどんどん国産小麦に乗りかえて来るでしょうね。
そうなると、私たちのような小さいパン屋は、今までどおり安定して小麦粉を仕入れられるか、ちょっと気になったという次第。

食品行政や農政に、もっと国産重視の姿勢をとって欲しいと思わずにはいられません。

今年もまた・・・



キルトのクリスマスツリーにオーナメント
そして天使の楽隊が並ぶのが、定番です。


今年もまた、クリスマスを待つ季節になりました。
昨年のブログにも登場した、同じ飾り付けを今年もまた出して来ました。<参照>
今年も同じようなアングルで写真を撮ってみましたが、同じものが同じように並んでいるのを見て、何だかとても幸せな感じがしました。
そうです、少なくともこの一年間、落ち着いていられた証拠ですから。
そして今年は、いくつか新しい飾りつけも増えました。




星型のカットがいかにもクリスマスにピッタリでした。






こちらは、通販で買ったもの。
派手さはありませんが、とても
素敵です。さすが、ドイツ製。


一番目をひかれるのは、連れ合いが今年の誕生日に、親しいお客さまからプレゼントにいただいた、ステンドグラスの入ったプレートです。
それから、ドイツの品物だそうですが、レーザーカットで作られた切り紙細工のクリスマスカード。
あとはいつもどおりの、連れ合いや娘たちの手仕事で少しずつ増えて来た、キルトのツリーやオーナメント。


 




カトリンさんは、ステッチで雪の結晶を模って
いるのが、
とても気に入ったみたいでした。



そうそう先日のことですが、西会津町にある「国際芸術村」<参照>に招請されているアーティストの一人、ドイツ人のカトリン・パウルさんが、今日こそはとプンパニッケルを買いに見えたのですが、その時このクリスマスの飾り付けが目に留まったようで、沢山写真を撮って行かれました。
あとで彼女からメールが届いて、彼女のブログにその写真をアップしてくれていました。<こちら>


今年の娘たちは、店の仕事で忙しくさせてしまったため、昨年のように沢山オーナメントを作ることが出来ず、とても残念そうです。
以前は、リースやアドベントカレンダーやクリスマスカードなど、全部手作りして楽しんだものです。

まあその代わりと言っては何ですが、皆の活躍で今年のシュトレンの出来は昨年以上です。
おかげさまで、バターの入荷もどうにか間に合いそうで、製造は順調に進んでいます。
皆さまから、次々ご注文をいただいていますが、まだ少し余裕がありますので、引き続きご注文をお待ちしています。


シュトレン 1本 2,600円 1/2カット 1,500円
※ギフトパッケージは、プラス200円

忙中、閑。「カフェクラブの集い」

昨日張り切ったので、今朝はさすがに起きられませんでした。
8時も過ぎてからやっと起き出して、先ずはシュトレンの仕上げを終わらせて、そこから先は本日のイベント「カフェクラブの集い」の支度をするだけにして、あとは休みと決めました。

と言っても、予告なしのサプライズにピザを考えていたので、急ごしらえでチリーソースを造りました。
午前中、カフェでコーヒーのお客さまの相手をしながら、玉ねぎを刻んだり炒めたり、夏に造っておいたトマトペーストを出して来たり、そのうちいいにおいが漂って、そのお客さまも、とうとう予定を変更してイベントに参加してくださることになりました。
結局、他にも当日参加の方が2名追加となり、計6名さまをお迎えしての盛会となりました。

それで私、今日も改めて自覚しましたが、料理するのが好きなんですね。
手間をかけることは、全然苦になりませんから・・・。
楽しくてしょうがありません。

最近メニューに加わったセラードコーヒーの各銘柄をストレートで味わっていただきながら、シュトレンやケーキを、そしてお客さまにトッピングしていただいてピザを焼き、一通り飲んだり食べたりしていただいたあとは、皆さんと一緒に、とりとめなくおしゃべりして過ごしました。

その間、工房の方で、娘たちが何やらやっている気配がしていましたが、見に行ってみると、シュトレンに使って残ったバターが混ざってしまったグラニュー糖や溶かしバターから分離したバターミルクを使って、クッキーを造っているところでした。
本人たちは、「いたずらしてるんだよ。」と言っていましたが、思いっきり楽しげないろいろな形のクッキーが出来ていました。
食工房の仕事のスピリッツは、実はこんなところにあるのかも知れないと、うれしくなりました。

そしていくら忙しくても、時々こういう長閑な時間は、スパイスのように欠かせない、人生を味わい深くするのに必要な材料だと思いました。

今日は夜なべです。

個人経営の自営業は、どの道、労働時間に区切りがつけられませんが、それにしても今日はいかにも夜なべということになってしまいました。

明日、カフェクラブのイベントだというのに、コーヒー豆の在庫が心許ない状況になっているからです。
そして今日はまた、シュトレンを沢山仕込んだため、後処理で時間を食ってしまいました。
まあこんなことは、年に何回もあることではありませんし、体が動くのがありがたいと思いながら、今コーヒー焙煎をやっています。
そのちよっとの合間に、タイマーを睨みながらブログを書いているという次第。


ところで、こんなことも自宅が仕事場だから出来ることですね。
今の私は、職住接近の極めつけみたいな生活になっています。
仕事と私生活の分け目がはっきりしなくて嫌だという方もいますが、私はむしろ好みに合っています。
それに酵母の管理など、パン焼きの前日は就寝直前まで様子を見ていますから、このスタンスじゃなければ成り立たない仕事になっています。

と言うわけで、たった今やっとコーヒー焙煎が終わりました。
あとは、今日の経理をやっておしまいです。

食物環境という話

食品の偽装や毒物の混入など、食物の安全が揺らぐ昨今、一体何を食べればいいのか、食の安心はどこに求めればいいのか、どなたも頭を悩ませていらっしゃると思います。

そういった危険回避のことは、この時代の重大事になってしまいましたが、それ以前から、健康維持を考える時、毎日食べる食物は一つの重要な要素でありました。
「何喰ってたって同じだよ!」と思っている方がいるかどうか知りませんが、はっきり言ってそれは間違いです。

我々人間も含めて、動物も植物も皆、直接間接に環境の産物です。
食べるということは、肉か魚かあるいは野菜かその他何でも、それらが採れた場所の環境を体の中に取り込むことと同じです。
食生活は、その人の体にとって、ある面、気候風土以上に直接的な環境だと言えます。

「じゃあ、何を食べるのが体に良くて、何が体に悪いんだ?」ということになるわけですが、それは人それぞれに少しずつ違っているということもありますし、それから食品商売をしている私の立場上、特定の食品の悪口になることは言いたくありませんので、ここでは具体的なことは申し上げられません。

私の限られた経験からでも、個々の食品と体への影響について、つかんでいることはいくつかありますが、それらは直接お話しする機会があれば、お伝え出来ると思っています。
一つ言えることは、どんな食べ物にも適量があって、不足しても多過ぎても、健康に何らかの害があるということです。

今、私たちの回りに氾濫している食に関する情報や飽くことなき美食への志向のことなどを考え合わせると、私たちはただ贅沢なだけに止まらず、それ以上に心身の健康に対して、とても罪深い状況であると思います。

そんな時代に、パン屋をやっている自分としては、食べてくださる皆さんの体にもそして心にも良いパンを提供したい。
そのためには、体のことも心のことも全て含めて、まず自分自身のコンディションからだと思っています。
無理に達観するんじゃなくて、自然に仕事が喜びとなるだけの力量を身に付けることが肝心と、この歳になってやっと覚悟が決まった私です。

小麦粉値上り!

食工房で使用している国産小麦の粉の価格が、この11月から値上りしています。

前にも触れましたが、国産小麦自体の価格は統制価格なので変わっていないはずですが、小麦粉にして販売するまでの諸経費は、言うまでもなく上昇していて、製粉会社の経営を圧迫して来ました。
業者によって値上げのタイミングは異なったようですが、うちの場合は結構持ち堪えてくれていた方だったと思います。
しかしそれもとうとう限界が来て、この度5%余の値上がりになりました。
もっとも、小麦粉が原材料の全てではありませんので、ただちに製品価格に反映させる考えはありません。
とりあえずご安心いただきたいと思います。

それよりも、外国産の小麦の価格は上昇が続いており、量の確保も難しくなりつつあります。
これが高じてくると、ただ単に価格が上昇するだけでは済まない、大きな影響が予想されます。

それは前にも触れたとおり、国産小麦を高く買い上げるための補助金の財源を、外国産小麦を高く売ることによって得られる、差益に依存している構造があるからです。
外国産小麦があまりにも高くなれば、この構造を維持することが困難になり、最後には、国産小麦は無防備のまま市場に放り出されることになるかも知れません。
そうなれば、いくら高くなったとしても、まだまだ外国産小麦の方がはるかに安いはずですから、そこで一つの予想ですが、小麦粉製品の二極化が生じることになると、私は思います。

例えば、1斤300円くらいの外国産小麦のパンと1斤1,000円以上もする国産小麦のパン、こんな対比になるのではないかという気がします。
そしてそれは、それぞれのパンを買う人々の経済的な格差でもある、という状況になると思います。

そんな時代になった時、果たして私は、自分の焼いたパンを買えるのは裕福な人だけという状況の中で、パン屋を続けていたいだろうか・・・?と思うのです。
本当に今のうちに、日本の農業政策、食糧政策を何とかしないと、この国は滅びてしまうと、本気で心配する私です。

飯豊山食パン、新食感をお試しください。

今日は、せっかくうまく焼き上がったパンの写真を撮ることを忘れてしまい残念無念!
飯豊山食パンの小麦粉の配合を、少し変えたのです。

この夏、地元産のアオバ小麦を入手して以来、何とかして飯豊山食パンに配合している全粒粉を、ライ麦からこのアオバ小麦に変えたいと思って来ました。
ところが、意外にもライ麦全粒粉の方が生地の延びが良く、味も食感も上という感じがあり、今一つ踏み切れませんでした。
その後、研究心を燃やしていろいろ確認していましたが、その原因の一番は、小麦を粉に挽いた後の枯らし(シーズニング)の時間が決定的に短いためだったと分りました。
あと一つは、生地の水分量でした。

今日は、試みがうまく当って、軟らかくモチモチとした食感と小麦胚芽の甘み、そしてよく醗酵した生地特有の酵母のうまみがバランス良く出ていました。
飯豊山を間近に眺める、高台の上の小麦畑で収穫されたアオバ小麦を配合した、飯豊山食パンの新食感をぜひお試しください。
ちなみにアオバ小麦以外は、岩手県産の南部小麦とゆきちからを使っています。

  シュトレン、無事に焼き上がりました。

  ※やっぱり、こちらも写真撮ってるヒマがありませんでした。

おかげさまで、今年のシュトレンづくりも順調にスタートを切りました。
バターも何とかなるんじゃないかと、信じる力でゲット出来そうな気がします。
ご注文も、今年は早めに集まっています。
200個くらいで締め切りますので(文旦ピールのストックに制限があるため、それ以上は造りたくても造れません。)、ご入用の方は、ご予約をお忘れなく。

味は世界の共通語

「音楽は世界の共通語」とよく言いますが、味もやはり世界の共通語かなと思います。
甘酸辛苦鹹の五つの味を感じ取るのは、人類共通の感覚でしょう。
まあ、そんな理屈っぽい話はともかく、美味しいものを前にすれば、言葉の分らない人同士でも笑顔で頷き合えるというものです。
食工房のパンや焼き菓子は、概して外人さんにウケが良いのは以前からで、外国に行ったこともなければ英語もろくに喋れない私が造ったものでも、味覚ではちゃんと通じることがあって、うれしい驚きを味わうことが少なくありません。

今日は、デンマークの方が見えて、堅焼き黒パンやクリングラ、スコーンなどを買って行かれました。
実は、昨日も私が配達に出かけている間にお出でになって、プンパニッケルと堅焼き黒パンを買って行かれたそうで、二日続けてのご来店です。
お連れ合いが日本人で、ご本人も日本語がお上手でしたからお話しも通じましたが、食工房のパンを気に入っていただけたようで、とてもうれしく思いました。

少し前、ドイツの方が、プンパニッケルを買いに来られて、あいにく売り切れで、自家用に残しておいた半端サイズのものを差し上げるということがあったのですが、実はこの方が、今日ご来店くださった方に、おいしいパン屋があると教えてくださったのだそうです。

国や文化が違っても、同じものをおいしいと感じられればそれだけで、言葉が通じる以上の共感を味わうような気がします。
やっぱり、味は世界の共通語ですね。


  おしらせ
さていよいよ明日から、シュトレンを造ります。
材料の段取りを先ほど終えました。
みのりのパンは、当分の間お休みになります。
なお、シュトレンのご予約はお早めにどうぞ。
 シュトレン 1本 2,600円 1/2カット 1,500円
 ギフトパッケージは、プラス200円にて承ります。