今日仕入れに行ってバターを注文したところ、バターが品不足で割り当てで決まった数しか入荷せず、注文の半分の数しか仕入れられませんでした。
気になりましたので、戻って来てネットで調べてみたら、牛乳の消費が落ち込んでいて、酪農界が減産を進めた結果、そのあおりでバターの生産量も落ち品不足になっているということでした。
バターは、牛乳の中に含まれる、僅かに3%余の乳脂肪分が主成分ですから、バターを生産した後には大量の脱脂乳が出来ることになります。
それがどのように消費されているのかよく知りませんが、とにかく半端な量じゃないことは確かですね。
一方、チーズも品不足のようで、こちらは輸入品が大半を占める中、近代化目覚しい中国で需要が高まっているからだそうです。
当然、バターにしてもチーズにしても、値上り傾向です。
ところで、日本の酪農界の状況はもうすでに惨憺たる状況で、これから新たに酪農を始める勇気を持つことは、いかにも大変なことと言わざるを得ません。
畜産は、国策でこれまでに大きな開発事業が何度か敢行されましたが、ほとんど全て失敗に終わり、莫大な借金を背負わされた事業者たちが悲鳴を上げています。
おまけに牛乳は、今ではアレルギー源の筆頭に上げられてしまい、実際に飲めない人も多いし、今後も消費は増えそうにありません。
しかしこのことに関して、多くの識者たちが、牛の飼育の仕方、与える飼料、薬剤投与の有無、そして殺菌処理のされ方などによる「質」の影響を見落としています。
以前、北海道で酪農をしている知人のところで実際にあった話ですが、年間通して牧草のみで薬剤の投与も無く飼育された牛の乳を、自宅で鍋で低温殺菌したもので、乳アレルギーの子に反応が出なかったそうです。
全部が全部というわけには行かないでしょうが、これは一つの示唆を与える話だと思います。
卵でも似たような話があるのです。
こんなことが、案外今後の酪農の復活に重要な関わりを持つようになるかも知れないと、私は思っています。
ちなみに食工房では、スコーンとカネリプッラ(シナモンロール)に牛乳を使いますが、会津ではお馴染みの「会津のべこの乳」を使用しています。<参照>
低温保持式殺菌の牛乳は、そのまま飲んでもとてもおいしく、身近にこういう良質な牛乳を供給してくれる業者がいることがうれしいですね。
お知らせ
先月末の高知行きの影響で、今月の「パンだより」の発行が遅れていましたが、今日やっと出来上がり、早速先ずはホームページのダウンロードのページにPDFファイルをアップしました。
また一部配布も始めていますが、直接お送りする分は間に合わないこともあると思いますので、インターネットを使える方はそちらでご覧いただければ幸いです。
「食工房のパンだより・食欲の秋号・2007年10月」 PDFファイルへのリンクは<こちら> ※表示に時間がかかることがあります。
「食工房のパンだより」カテゴリーアーカイブ
ブラウニー再開
この夏は本当に暑くて、9月になってもまだ後を引いていましたね。 「奥会津アイリッシュコンサート」 開催日が迫りました。
おかげで、チョコレートやバターを沢山使う焼き菓子は、造ることが出来ませんでした。
特にブラウニーは、(カカオマスブラックチョコレート)とバターが主な成分ですから、30℃近い気温の下では形を保っていられません。
焼いた後一晩おいて、十分冷ましてしっかり固くならないと、切り分けることも出来ません。
そういうわけで、10月のこの時期までずっとお休みしていました。
そして昨日焼いて、今朝はそれを切り分けて包装しました。
包丁が切れないと形くずれしますので、まずは朝一番に砥石を水に漬け、ビカビカに研ぎ上げて気持ちよく仕事をと思ったら、その後でちょっとした加減で包丁がまな板からすべり落ちてものに当たり、一ヶ所刃がつぶれてガッカリ・・・。
それでも何とか切り分けて、やっと販売にこぎつけました。
明日は、もうずっとお待ちかねの駅カフェさんにも、届けなくてはと思っています。
それで切り分ける時、端の部分を少し落としたものが出るのでつまみ食いしてみましたが、自分で言うのも何ですが、おいしい!上等です。
カカオと文旦ピールがこれほどマッチするとは、レシピを考えた私でも意外なほど・・・。
スパイスワークも、実は頭をひねっていますが、レシピは今は公開出来ません。
トップシークレットです!?
そして本日も雨の中、三々五々来客あり、感謝の一日でした。
明日、明後日、お店は定休日です。
お知らせ
10月13日(土) 午後2時開演(1時開場)
会津金山町 沼沢湖畔 妖精美術館にて
出演 ショーン・ライアン 守安 功 守安雅子
アイルランド随一の笛吹き、ション・ライアンの名人芸を堪能してください。
そして、守安さんの愉快で興味深い、アイルランドのお話しも楽しみです。
チケット発売中!(まだ、定員に余裕あり。)
前売り 大人 2000円 こども1000円
☆ご予約いただければ、当日受付けにて、前売り料金でご入場いただけます。
お問合せ、ご予約は、食工房でも受け付けております。 ℡ 0241-38-3102
試聴音源(mp3ファイル)へのリンク <こちら>
※再生にはウィンドウズメディアプレイヤーが必要です。
更新情報
妖精美術館の地図をご覧になれます。
より大きな地図で 妖精美術館 を表示
三々五々来客、感謝の一日
今日はパン焼きの日で、早朝から生地をこね、午前中かかって焼き上げました。
さらに、発酵生地を使う「バタービスケット」を、午後一杯かかって焼きました。
娘二人の手を借りながら、それでも気の抜けないパン生地の扱いですから、お客さまのお相手は連れ合いに任せて、造りに集中していました。
時間をおいて三々五々、次々とお客さまがいらして、慌てることもなく、今日は仕事のバランスが良いと感じる一日でした。
地元山都町の中心街では、大きなイベントが開催され、今日は賑わっていたことと思いますが、こちらはいたって長閑でした。
昨年まで、このイベントには出店していたのですが、今年は来週には自分たちの関わる「奥会津アイリッシュコンサート」を控えていて、二週連続のイベント参加は無理と判断して、今日明日のイベント参加は、せっかくのお誘いでしたがお断りしました。
でも、こうして静かに仕事に集中出来た一日が過ぎて見て、本当はいろいろ仕掛けをしなくても、今日みたいな日が続いてやっていけるのが理想なのになァ、と思いました。
改めて、ご来店の皆々さまに感謝!
それにしても、今日のバタービスケットの出来は最高でした。
低温で長時間醗酵させたので風味は上々。
また、以前よりスティックの太さを細くしたので、火の通りが良くなってサックリと心地良い歯応えになりました。
帰って来ました。
実は、10月2日に帰って来ていましたが、たまった仕事が片付かないのでブログはそのままお休みしました。
今日は、とりあえず第一報です。
本日から、いつもどおり製造を再開しています。
パン、焼き菓子など取り揃えて、皆さまのご来店をお待ちしております。
つくりだめしています。
この夏は、品切れの連発でお客様をがっかりさせてしまいましたので、反省しまして、製造業の原点、初心に帰って、毎日品物づくりに励んでいます。
暑い暑いと言いながらも先が見えて来たようで、間もなく涼しくなるはずですから、クッキー類などは思い切って沢山つくりだめしています。
駅カフェさんでも、スコーン、マフィン、ケーキなどが好評で、このところ毎週納品していますので、スケジュールはかなりハードです。
前日仕込みで2日がかりで造るものが、全体の半分以上ですので、よく考えて段取りしないと注文に間に合わなくなります。
そしてわざわざ手間暇のかかることをやっていますので、ちょっとまとまった注文が入るとすぐに限界に達し、一時それだけにかかりきりになったりします。
同じ時間かけるのなら、もっと能率を上げるやり方もあるのかも知れませんが、とりあえず納得のいかない仕事はしないことにしています。
そんなわけですから、涼しくなってつくりだめが利くようになるなるのは、何よりありがたいことです。
これから先は、パン屋にはありがたい季節です。
休暇をいただきます。(ただし、店は開けています。)
私、明日から四国の実家へ出かけて来ます。
年々弱って行く母を見舞いに行って来ます。
いつも、今年が最後だと言いながら、案外元気で長生きしてくれていますが、かと言ってやっぱり、今年もこれが最後になるかもと思いながら帰ってくることでしょう。
そんなわけで、明日から10日間、このブログをお休みします。
実家にはネット環境はありませんし、私は携帯も持っていないし、ネットカフェに出入りする気にもなりませんので、また「脱ネット休暇」です。
その間も食工房は、在庫品を並べて営業しております。
ご来店いただければ幸いです。
パン屋志望の女性たち
ここ20年余の流れとして、女性がパン屋を開業する例が増えています。
私の知り合いでも、パン屋をやっている女性が沢山います。
そして最近でも、これからパン屋を始めたいと思っている女性に、次々と出会っています。
何故、女たちはそんなにパン屋になりたいと思うのでしょうね。
実際にパン屋に修行に入ったり、アルバイトしたりする中で、例えば25kgの粉袋を、「これを持ち上げられないようじゃパン屋はつとまらないよ!」などと厳しいことを言われても、大抵はめげるどころかかえってやる気を出して、後々本当にパン屋を開業してしまった女性たちがいっぱいいるのです。
そして、彼女たちの活躍と天然酵母パンの普及は、密接に関連していて、日本で天然酵母パンを広めたのは、こうしてパン屋を始めた女性たちだと言っても過言ではありません。
我が福島県の中で、私が知っている天然酵母のパンのお店は、只一軒を除いてあとは全部女性がやっています。
その他、郷里の高知県でも、市内や郡部のあちこちで、極めつけは私の生まれ故郷で、それも信じられないような山奥で、東京のル・ヴァンで修行した女性がパン屋をやっています。
そしてこうした女たちのパン屋は、いわゆる業界で修行した人もいれば、素人の独学で鍛え上げた人もいたりして、必ずしもパン屋業界の常識にはまらない奔放なやり方で経営していることが多いのですね。
かく言う私の食工房も、業界の中では変り種的パン屋です。
ところで、こうやって天然酵母パンのファンを増やして来た、我々の努力の成果のみを、大資本パンメーカーに乗っ取られてしまうなんてことがないとは言えませんね。
そうならないためには、単なる利潤追求のスタンスでは取り組めない質の高い仕事を、自分の喜びとしてやれる心がまえが何より大切と思います。
「パン屋は、街をたがやす百姓。」といった人がいるのですが、面白い言葉ですね。
たがやした後にまくのは、「健康」の種ですね。
食工房もそんな仕事をしたいと思って、毎日パンやお菓子を焼いています。
菓子づくり雑感
マフィン・シマリス君の朝ごはん
昨日のうちに計量、下ごしらえして、冷凍庫、冷蔵庫で予冷しておいた材料を使って、スコーン2種類、チーズ入りの塩味のクッキー、そしてアールグレーティーケーキを焼きました。
これらの焼き菓子のレシピは、全部オリジナルです。
料理やお菓子づくりの本などを参考に、また人から教わったことも取り入れながら、食工房オリジナルのテイストの表現に辿り着くまで、試行錯誤を繰り返して完成させたものです。
お菓子づくりのレシピを考えるのは、とても楽しい作業です。
全部が全部上手く行くわけではありませんが、いろいろやることで材料の性質が分かって、新しいアイディアに結びついたりします。
今定番になっているもののほとんどは、実は山暮らしをしていた頃、我が連れ合いが思いついて完成させたものです。
小さい子どもが6人もいて、ワイワイガヤガヤとにぎやかな毎日は、まるでお祭りのようでしたが、今思うと、子ども達のオヤツづくりが新しいレシピの実験場でしたね。
試作のうちはいっぱい食べさせられて、上手く出来て製品になると、今度は売れ残りの古いものしか食べられない、というのがいつものパターンでした。
そうやって出来た食工房のレシピと、14年間養い続けた酵母菌をたずさえて、会津の地にやって来て早や4年です。
こちらに来てからも、新しいレシピがいくつか出来ていますが、定番になってお客様の支持が固まるまでには、長い時間がかかります。
お菓子は嗜好品ですから、飽きられてしまうことは当然あります。
でも、飽きられても時間が経つうちにまた思い出してもらえるようだったら、それは本当に完成度のレシピということになると思っています。
お仕事、お仕事!
このところ順調に仕事がはかどって、やっと製造が追いついて来ました。
明日は久しぶりに、クッキーが全商品棚に並ぶことになるはずです。
そして今日のパン焼きも、酵母が絶好調で食パンもロールパンも、とてもいい具合に焼けました。
シナモンロールも、タイミング良く釜に入れることが出来て、一個も形が崩れずに焼き上がりました。
酵母の調子があまりに良いので、ちょっとの合間に、急きょビールを仕込みました。
その後、コーヒー焙煎を二回分やって、それから昨日届いた4種類のコーヒー豆のサンプルも焙煎してみました。
焙煎機の一釜分には全然足りない量なので、こちらは以前のように七輪に炭火を起こして、手網焙煎でやりました。
本当に久しぶりで、十年以上もやっていませんでしたが、頭も手もしっかり覚えていましたね。
道具立ては昔とちょっと違いましたが、意外に体力を使うものだなという気がしたのは、私がそれだけ歳をとったからに違いありません。
ホコリが凄いので外でやっていましたが、最後は薄暗くなって来て焼き色が判断出来なくなりましたので、途中で切り上げました。
明日また続きをやろうと思っています。
今日は、次々と違う仕事へ流れて、この時間になってもまだテンションが持続しています。
多分、風呂に入った後で、どっと疲れが出ることでしょう。
寝不足との闘い
「朝一番早いのは、パン屋のおじさん・・・」は、歌の文句でしたね。
私も、パンを焼く日は4時起きと決めていて、だいたい4時半頃までには作業場に入ります。
ところが、4時起きとして8時間睡眠をとるには、午後8時には寝なくてはならないのですが、我が家ではそんな時間に寝ることはとうてい不可能です。
午後7時まで店を開けているのですから、そもそも無理なスケジュールです。
それにパン焼きの前日は、出来る限り遅くまで酵母の手入れをしておきたいので、どうしても寝る時間は遅くなってしまいます。
そんなわけでパン焼きの日は、いつも極端な寝不足状態で始まります。
一方、酵母は毎日使えるサイクルにするには無理があり、それもあってパン焼きは一日おきで、木曜日と土曜日の週二回だけにしています。
ですから、4時起きは週二回だけです。
とは言え、4時に起きて一日仕事をして、寝るのは夜半の11時頃ですから、次の日が少し遅いとしてもけっこう寝不足が後を引きます。
私は体質的に低血圧で、朝起きは苦手な上に睡眠不足には極端なくらい弱いのです。
結局、一週間通して同じリズムで寝起きすることが出来ません。
しかし、それもここ何年やっているうちに、一週間のリズムを体が覚えてくれたようで、定休日の火、水に朝寝をすると、水曜日の午後あたりからテンションが上がって来て、土曜日の午後くらいまではずっと持続してくれるのです。
そして日、月を少しペースダウンしながらこなすと、何とか一週間が回るという感じになっています。
私も、いよいよ50代後半に入りますので、健康管理にはこれからさらに気をつけたいと思っています。
暑さが去って
暑い、暑い、と言っていた夏も束の間に過ぎ去り、早くも吹く風にどこか寂しさを感じるようになりました。
秋なんですね。
南国では、まだまだ暑い日が続いていることと思いますが、こちら東北は一足先に過ごしやすい季節を迎えています。
食工房でも、オーブンの余熱がずい分冷めるのが速くなり、店じまい後も延々と換気する必要がなくなりました。
マフィンやスコーンを焼く時の冷却対策も、トップレベルから一段下の対応で行けるようになり、本当、余計な手間が減って楽になりました。
毎年、終わってみるとあっけない夏のひと時です。
おかげさまで近頃は、ガラガラになっていた商品棚も、ずい分埋まって来ました。
ほんの少し涼しくなっただけで、こんなに能率が上がるのだなァと、ちょっと複雑な気分です。
来年の夏までには、改めて、暑さに耐えて仕事が出来る体を養っておこうと、その作戦を今から考えています。
おっと、その前に寒い冬がやって来るのでした。
湿っぽくて底冷えして来る、雪国の冬との付き合いも、今度で四回目です。
でも私としては、冬の寒さの方がどちらかと言うと耐えられますね。
とにかく体を動かしていれば寒くないですから。
阿武隈山中の山暮らし時代から数えると、東北での暮らしも通産十八年になりますが、その間に南国生まれの私も、すっかり夏の暑さの方が苦手になってしまったようです。
さて明日あたりは、熟成が進んだであろう自ビールを、そろそろ蔵出ししようかと思っています。