これまでに、コーヒーの味を決定付けるいろいろな条件について申し上げて来ましたが、今回はこれれもまた決定的に重要な条件として、皆さまに知っておいていただきたい項目です。
選別とは、言うまでもなく先日の「カフェクラブの集い」で、ご参加の皆さまが体験されたハンドピックのことです。
<参照>
もう何度も申し上げて恐縮ですが、コーヒーは農産物です。
当然のこととして、出来不出来が生じます。
同じ年度産の同じ生産者の作であっても、収穫された豆の状態がが全部揃っているわけではありません。
これはコーヒー豆に限らず、米麦、豆類、その他あらゆる農産物に共通の性質です。
どんな作物でも、必ず選別工程があります。
一方、コスト削減のために選別工程を省くこともあり、わざわざ無選別あるいは無選果などと表示して、消費者にアピールします。
しかし、コーヒー豆はそうは行きません。
選別の対象となるものを欠点豆と言いますが、欠点項目は13項目にも及びます。
そして、必ずしも生産地で十分な選別が行わるとは限らず、生産地や銘柄によって、欠点混入割合は大きく異なります。
また、保管中に管理が悪くて劣化した場合は、新たに欠点が生じます。
厄介なのは、きれいに選別されていても風味に劣るものがあり、逆に選別不完全なものの中にも風味に優れたものがあることです。
もちろん後者の場合、こちらで再選別した上での話しですが。
コーヒー豆の場合、欠点豆は残しておいて差し支えないというものではなく、確実に風味に悪い影響が出ます。
従って、選別の精度が品質つまり風味の良し悪しを決定付けます。
悪いものは確実に取り除き、且ついいものまで落としてしまわないためには、相当な熟練を要します。
その場合、米麦や豆類、またその他の農産物の状況に経験があるとないでは、選別の際の目利きに大きな違いが出ることは間違いありません。
ちなみに、コーヒー豆の品質に関して、ウォッシュド(水洗式)の方が有利とされ現在の主流ですが、私個人の感想としては、ナチュラルあるいはサンドライと呼ばれる天日乾燥方式の方が、好みにあっています。
ただし、ナチュラルのものは天候の影響を受けやすく、品質にバラツキが生じるので、そのへんは覚悟して付き合わなくてはなりません。
食工房では現在、ナチュラルが3銘柄(いずれもブラジル産)、ウォッシュドが3銘柄(ペルー、グァテマラ、ブラジル産)です。
選別にかかる手間暇は、ナチュラルの方が3~8倍くらい多くなっています。
もう一つ、基本的にほとんどの欠点は生豆の状態で発見していますが、焙煎してから炒りムラやその他の異常となって現れるものが若干あり、焙煎後の選別も欠かせません。