皆さんのお仕事は、時給いくらですか。
月給は?はたまた年収はどのくらいでしょう。
仕事の価値を言う時、得ている代価を引き合いに出すことはよくあることです。
そしてそれが、一面的な価値観に過ぎないことは分かっていても、得られる収入は生活に直結していますから、誰もが、その仕事はいくらになる?ということを気にします。
さて今、うちの娘たちが作品展に備えて、せっせと手仕事をしています。
聞いてみると、一日中頑張っても1個は完成させられないそうです。
見ていて何となく分かってはいましたが、改めて驚きました。
と言うことは、普通に労働として評価するなら、作品の値段は1個1万円でも安い、ということになります。
でもそんな値段で買う人なんかいないだろうし、1万円なら意欲がわくかと言えば、そういう問題でもありません。
結局、彼女たちが決めた値段は、1個2,000円です。
このうち30%を、手数料としてお店に払いますから、手取りは1,400円ということになります。
ですから、これで生計を立てることは不可能です。
だからそれは、仕事とは言えないでしょうか?
やる価値のないことでしょうか?
そうじゃありませんね。
考えてみると、金にはならないが大切な仕事、沢山ありますね。
家族のために食事をつくること、皿を洗うこと、洗濯をすること、便所の掃除をすることなどは、一番典型的なものでしょう。
自分の汚した皿を洗っても一円にもならないが、他人の皿を洗えばお金がもらえる。
その理屈で進んで行くと、何をするにもいくらになるかだけが、重要な価値になってしまいます。
そこで失われてしまうものがあることに、今、どのくらいの人が気づいているだろうかと、ふと思ってしまいます。
話が飛びますが、税制調査会という機関が、「配偶者控除は廃止すべき」という答申を出したそうです。
その理由の一つは、「配偶者控除は、女性の就労意欲を妨げている。」からだそうです。
こういう発想をする方々は、「家庭」というものを、どのように認識しているのでしょうか?
また、それが本当に男女平等に寄与するのでしょうか?
その辺のことについては、また改めて述べさせていただくことがあると思っていますので置きますが、そうやって私たちの社会は、やることなすこと全部を、味気ないつまらないものにしてしまいつつあるのじゃないでしょうか。
うちの娘たちの手仕事を見ていて分かることですが、創造的感覚や針を運ぶ意欲は、必ずしも金では買えないということです。
同様に、活気に溢れ意欲に満ちた社会もまた、金では買えないと、私は思っています。
マイインターネット
ブログを始めて8ヶ月近くになり、毎日の訪問者数(カウンターの数)も、安定して100を超えるようになりました。
一応、これは当初目指していた数です。
その数に達してみて思いますが、数も大事だけどアクセスの中身がさらに大切じゃないかということですね。
でもそれを直接知る方法はないわけです。
コメントをいただいたりすると手応えを実感出来ますが、無くても、ちゃんと読まれているかどうか、確信はありませんが何となく分かります。
ブログやホームページを公開する時、出来るだけ沢山の人に見てもらいたいと思うのが人情ですが、私の場合、そのためにやっていることは二つあります。
一つは、出来る限り毎日、手を抜かない記事を書き続けること。
もう一つは、友人知人に、また店のお客様や外で出会った方々に、アドレスをお知らせして「良かったら見てください。」とお願いすることです。
それ以外は、特に何もしていません。
それでも続けているうちに、少しずつですがアクセスが増えて来ました。
私は、この少しずつというのが、大事なことかなと思っています。
それで面白いのは、食工房のホームページで、「食工房」というキーワードでGoogleで検索すると、今は、トップページの6番目あたりに上がっています。
今やありふれた名称の「食工房」は、63,600件もヒットします。
その中から「食工房」だけでこのポジションにいられるのは、ブログ「飯豊の空の下から・・・」とリンクしているからですね。
ブログ「飯豊の空の下から・・・」の方は、今では、こちらが思いもかけないようなサイトに拾われて、上位にランクされていることもあり、広がり始めたという兆しを感じています。
ブログを始めて少し経った頃、ブログなんて結局、誰が読んでいるか分かる範囲の人しか読まないものだと、半ば諦めかけていましたが、これからがやっと始まりなのだということが分かったような気がしています。
ホームページも、もう少し関わりたいと思いますが、とにかく時間がいくらあっても足りません。
とりわけ今日は、忙しい木曜日。
本日はこのへんで・・・。
香りが命
今日は、パンの作業台で、コーヒーのブレンド作業です。
ただコーヒーの味がするものを飲みたいというだけなら、インスタントコーヒーだっていいのです。
最近は、インスタントコーヒーもよく出来ていて、決して悪くない・・・、という人もいます。
レギュラーコーヒーを楽しむということは、一見面倒くさい手順の数々の一つ一つに、楽しみを見つけられるということです。
そして、それらの中にある一番大きな要素、それは「香り」です。
インスタントコーヒーでは絶対に味わうことの出来ない香りを、繰り返し何度も楽しむことが出来る、それがコーヒーの楽しみの核心ではないかと思います。
お湯を沸かし準備を始めて、先ずコーヒー豆を出して来た時の香り、そこには、今日はどの豆を使おうかなと選ぶ楽しみがあります。
ミルにかけて挽く時、広がる香りは、自分だけでなくまわり中の人の気分を良くしてくれます。
そして抽出が始まると、いよいよ気分は盛り上がります。
カップに注いでテーブルに出されるまで次々と、その場にいる人をこれほど高揚させてくれる嗜好品は、他にないと思います。
さて、カップのコーヒーを口にする時、そのコーヒーの命とも言える香り(アロマ)が、口の中に広がります。
コーヒーの楽しみの中で、最高の瞬間がここにあります。
そして後味にも、それぞれの豆の個性を感じ取ることが出来ます。
何より、うまいコーヒーは、人の気持を和ませてくれます。
それが一番大きな効用でしょうね。
ところで、コーヒーの香りはとてもデリケートで、損なわれやすいものです。
炒り立てから1~2日間は刻々と変化し、3~4日目で安定します。
飲み頃は、保存温度により左右されますが、室温だと1週間から1ヶ月くらいまで巾があります。
当然気温が低い方が長持ちします。
ですから、保存は冷凍に限ります。
豆のまま冷凍しておいて、使う時は出してすぐに挽きます。
水分はなく凍結しているわけではないので、全く差し支えありません。
残りは、すぐにまた冷凍庫に戻します。
これだと、2、3ヶ月は大丈夫です。
コーヒーは、とにかく焙煎時の鮮度を保つことが肝心です。
しかし、ただ袋に密封しておけば良いというわけには行きません。
焙煎豆は、多量の炭酸ガスを内包していて、それが時間とともに放出されて、そのままでは袋が膨張してついには破裂してしまいます。
ガス抜きバルブ付きの袋に入れたり、吸収剤を入れたり、包装前に強制的にガス抜きしたり、いろいろなことをして、賞味期限は2年先なんてことになっているわけですが、本来はそういうものではないということを申し上げたいのです。
この炭酸ガスが、抽出時に泡となって立ち上がり、コーヒーの渋みや味を悪くする成分を下に落とさない仕かけなのです。<参照>
うまいコーヒーは、街の焙煎屋で少しずつ買うものと覚えていただければ、たいへんありがたいと存じます。
大根抜きと雪囲い
今日は、天気予報どおりバッチリ晴れましたので、予定通り大根抜きと雪囲いをやりました。
うちの畑は、四番目の息子がほとんど一人で取り仕切っていて、自家用野菜のいろいろをまかなってくれています。
畑は家のすぐ前にあり、歩いて1分という至近距離で、なかなか便利です。
食事の支度を始めてから、あわてて足りないものをとりに行ったりすることもあります。
面積でいうと100坪くらいで、家庭菜園としては上等です。
年間使う野菜の、かなりの割合を自給出来ます。
毎年この季節は、越冬保存用に大根と白菜を収穫します。
今日は、沢庵用に50本余り大根が必要なので、早速畑に行って抜き始めました。
大根をつくったことのある方ならお分かりでしょうが、皆が皆、スラーッとまっすぐとは限りません。
形が悪いというか、否、面白いと言った方がいいようなのが次々と出て来ますので、結局80本くらい抜きました。
それでも畑には、まだまだその2倍くらいは残っています。
あとは、生のまま保存して冬の間中食べます。
沢庵用にまっすぐなのを選び、それ以外はすぐに食べる用。
当然余るので、千切りにして干そうかと思っています。
抜いた大根は葉を切り落とし、きれいに水洗いして干します。
葉も一部は洗って干し、一緒に漬けます。
こうして、大根抜きと大根洗いで午前中が終わり、午後は雪囲いです。
うちの雪囲いは、ご近所の雪囲いと少し違っています。
たまたま、土建屋さんが使う足場パイプを沢山持っていたことと、家の軒が深いので雪囲いを壁から離して、窓を開けて換気出来るようにしたかったことの二つの理由で、ちょっとした建造物のようになっています。
特に北側は、毎年軒の高さ近くまで雪が積み上がりますが、窓を開けても間に広い空間があり上から光が入って来ますので、家の中は電気を点けなくても明るくて快適です。
今日は二時間余りの作業で、とりあえず北側の囲いの一部を残して終わらせました。
この後、プロパンガスの業者が、越冬用に大きなボンベを何本か設置してくれますので、それが終わったら全部塞いでしまいます。
もう、何時雪が降り出してもおかしくない季節なので、とりあえずこれで一つ心配の種が減ったというわけです。
こういう時、写真があればと思いますが、作業中は手が汚れているし、撮影している暇もないわけですね。
ちょっと残念。
雨天、来客あり感謝
今日は月曜日、平日でしかも雨模様のお天気、まあ普通ならお客さまは来ないところです。
ところが食工房は、雨の日に意外にお客様が見えることが少なくありません。
ゆっくり時間を取って、カフェにお茶を飲みに来てくださる方がいらっしゃいます。
その他、パンやお菓子を買いに来てくださる方もいます。
今日は雨だし、ヒマだろうなと思っていたら、お昼頃から夕方まで、三々五々ほぼ切れ目なくお客さまが見えました。
思えば、こんな他に店などないところへわざわざいらしてくださることは、どれほどありがたいことか・・・、改めて感謝を申し上げます。
作業場の方は、ケーキを二種類焼いて、昨日仕上げておいたシュトレンと共に包装するところまでやって、今日は終了としました。
お店には、シュトレンを早々と受け取りに見えた方もあり、いよいよ年末に向かって秒読みが始まったかという感じです。
来週は、「ハンドワーク・森の風展」が始まるので、連れ合いと娘たちは、今超多忙です。
私の方も、いろいろやることが多すぎるのですが、頭も体も何とか間に合うくらい動くのが、何よりありがたいことです。
でもバランス感覚人間の私は、どんな時でも、必要な休息を切り捨てることだけは、絶対にしません。
それに関しては、家族の分まで気をつけています。
仕事を優先すべきと思う時でも、譲れない時は譲りません。
それで人に迷惑をかけたり、損をしたりすることがあるかも知れませんが、長い目で見れば、その方が自分のためにも人のためにも良いことだと思っています。
おかげさまで、たまに風邪をひくことはあっても、今のところ医者にかからずに済んでいます。
明日は定休日。
畑の大根抜きと家の周りの雪囲い、買い物と、いつもに増して忙しくなりそうです。
夜来の雨に
夜来の雨に眠りを破られ、ふと熊たちのことを想いました。
自分の体一つ、それ以外に何も持たずに生きているケモノたちにとって、この雨は恵みかそれとも災いか・・・。
どちらでもあり、どちらでもないというのが本当のところなのでしょう。
間もなく冬眠に入る熊たちは、十分に食いだめ出来ただろうか、十一月の寒空の下でどうやってこの雨をしのいでいるのだろうか、そしてどんな感じがしているだろうかと、想いを巡らしているうちに歌を思い出しました。
「まんが日本昔話」というTV番組を、どなたもよくご存知だと思います。
あれのエンディングテーマに流れていた、あの歌です。
よく覚えています。
くまの子見ていたかくれんぼ
おしりを出した子一等賞
夕焼けこやけでまた明日、また明日
いいな いいな 人間っていいな
おいしいおやつに ほかほかごはん
こどもの帰りを 待ってるだろな
ボクもかえろ おうちへかえろ
デンデンデングリガエッテ バイバイバイ
もぐらが見ていた 運動会
びりっ子元気だ 一等賞
夕やけこやけでまた明日 また明日
いいないいな 人間っていいな
みんなでなかよく ポチャポチャおふろ
あったかいふとんで眠るんだろな
ボクもかえろ おうちへかえろ
デンデンデングリガエッテ バイバイバイ
こんな歌でした。
私は、冬の寒い夜布団に入る時、夜中に思いがけず用足しに起き出してまた布団に戻る時、ほとんど条件反射的にこの歌を思い出します。
そしてもう一つよく思い出すのは、宮沢賢治の「なめとこ山の熊」のお話の中で、小十郎がしとめた熊に向かって「おい、こんど生まれて来る時ぁ、熊なんぞに生まれるんでねえぞ。」と語りかけるシーンです。
昨夜は雨音を聞きながら、そんなことを思い出しながら、あたたかい寝床やおいしい食べ物にありついていい思いをしている人間たちが、実は一番弱くて罪深いということを教えられたような気持になりました。
冷え込み今一つ・・・。
シュトレンをつくっていて、昨年、一昨年のことを思い出してみると、今年は冷え込みが今一つという感じがします。
前の日につけたバターと砂糖の固まり具合が、何となく緩いし、シュトレンに触っても冷たいという感じがしません。
あまり暖かいと、熊たちも冬眠に入れないのだとか・・・。
本当は人間だって、暖かくて楽だとばかり言っていられないはずですね。
でも、暖冬で始まった冬の方が、雪が多かったような記憶がありますので、油断しないようしっかり冬支度をしなくてはと思っているところです。
あとかたづけ
今日は、20枚の天板を洗いました。
この商売を始めて、もうすぐ丸4年になりますが、当初から気がついていることがあります。
それは、製品をつくっている時間よりも、道具や機械のあとかたづけやメンテナンスをしている時間の方が多いということです。
仕事というのは、本来そういうものだと納得してはいますが、世の中のペースはそういう時間の使い方でついて行けない速さになって来ていると感じますね。
天板を洗ったり掃除したりしなくて良いための使い捨てのオーブンシート、型に入れたごと販売する紙製のマフィンやケーキの型などを使えば、製品づくりのための時間は大巾に増えることになります。
もちろん多少のコストはかかりますが、もしこうしたあとかたづけのために人員を一人増やすのだったら、人件費の方がはるかに高いですから、こういう資材がどんどん使われているのも当然と言えます。
うちでは、天板は熱いうちに使い古しの布巾で油汚れを拭き取り、その後お湯で洗って乾かしてからしまっています。
マフィンの型は、木のヘラでこびりついたものを掻き落としてから、ぬれ布巾でていねいに拭きます。
ケーキの型は、型離れのためにケーキシートを敷いていますが、やはり使い終わった後はお湯で洗います。
材料を計量したり、仮置きしたり、生地を寝かせたりするための容器も、当然一回一回洗います。
一日の大方半分は、洗い物をしているということが、改めて分かりました。
パン屋だからパンを焼くのが仕事のはずですが、実際には流しに立って洗い物をしていることが多いという感じがしています。
娘たちもよく「私たちはアライグマだよ。」と冗談を言います。
そしてまた、機械の手入れも大切な仕事です。
何しろ壊れたらそれきり、新しいのを買うなどとんでもないことですから、真剣にならざるを得ません。
こういう時私は、自分が工科系の人間であることが嬉しく思えます。
うちでは、道具も機械も、そう簡単にお払い箱にはなりません。
寿命を延ばしに延ばして使い切った後でも、目的外に役に立つこともありますから、捨ててしまうということも滅多にありません。
それから、包丁研ぎもよくやります。
お菓子づくりでも、包丁で材料を刻むことはよくあるのです。
こういう時、刻んだり砕いたりしてある材料を使うという手もあるわけですが、やはりそれをしないのが食工房のこだわりです。
良く切れる包丁は、本当にいい仕事をします。
刻んだばかりの材料は香りが立ちますし、切り口のきれいな生地は、焼き上がった後の食感がちがいます。
というより私は、単純に包丁を研ぐのが好きです。
話がそれてしまいますが、良く研いだ包丁で、空中で薄紙がスーッと切れるのは、私には快感です。
ああ、こんなこだわりばかりでは、やって行けなくなるでしょうか・・・。
でもこの性分は死ぬまで変わりそうにありません。
続、小麦の話
昨日の記事に、オリオリさんから貴重なコメントをいただきましたので、小麦の話、もう少し続けてみたいと思います。
会津産の「ゆきちから」の話は私も聞き及んでいます。
ラーメンで全国的に有名になった喜多方市ですが、どうせなら「地元で取れる小麦でつくるラーメン」を売りにしたいと考えて、栽培が始まったとか・・・。
実際、ゆきちからのラーメンも売り出されているようですが、喜多方ラーメンの主流にはほど遠い現状です。
うどんにしようというプロジェクトもあったようですが、これも今一つ成功していません。
まだまだ研究の余地が残されているというのが、本当のところなのでしょう。
会津にはもう一つ、「あおば」という品種が定着していて、こちらは一時パン向きの国産小麦としてもてはやされた経緯があります。
食工房でも、開業当初2年間くらいブレンドで使いましたが、納得が行かず止めました。
本当なら、会津産の小麦100%でパンづくりが出来れば最高なのですが、今一つです。
そう言えば以前、東北を中心に「ハチマン」という品種の小麦が奨励されていたと覚えていますが、その後どうなったのでしょう。
パン用にも使えると聞き及んで興味を持ちましたが、当時千葉に住んでいた私は、実際にお目にかかることが出来ませんでした。
その他、「鴻巣25号」とかいう品種が、パンに最適だという解説記事を読んだこともありますが、これも私には幻の小麦です。
結局私の結論は、「南部」と「ゆきちから」のブレンドに落ち着いています。
まず今のところ、これが変わることはないと思っています。
ところで余談になりますが、小麦には大別して二つの種類があるのですね。
一つはパン小麦、もう一つはマカロニ小麦(別名、デュラム小麦)です。
パン小麦の方は、私たちが普段何にでも使っている普通の小麦。
マカロニ小麦は、専らパスタ用ということになっていますが、マカロニ小麦でも、黄色い色合いのおいしいパンが焼けるそうです。
一方、パン小麦の強力粉でパスタをつくることも出来ます。
食感は大分ちがいますが、風味は悪くないです。
北海道産「はるゆたか」のスパゲティーは、実際に商品化されています。
けっこうイケますので、どこかで見かけたら、ぜひお試しを!
最後に、オリオリさんコメントありがとうございました。
小麦の話
レーズンロール 3個入り210円
カネリプッラ(シナモンロール) 近頃、近所のおばあちゃんのお気に入り
もう何度も申し上げていますが、食工房では国産小麦の粉を使っています。
小麦は、言うまでもなく農産物ですから、品種により、またその年の気候条件により、品質が異なります。
使う側の都合上は、常に一定した品質が望まれるわけですが、それは無理な相談です。
食工房では現在、岩手県産の「南部」という品種と「ゆきちから」という品種の粉を仕入れ、目的に応じてブレンドして使っています。
ご存知の方も多いと思いますが、パンの食感に大きく影響するのは、小麦に含まれるグルテンという蛋白質の量です。
グルテン量が多いほど、パン向きの小麦ということになっています。
小麦のグルテン含有量は品種によって固有ですが、栽培時の気候条件にも左右されます。
トウ熟期(開花受粉後から収穫までの期間)の気温が低い方が、グルテン率が上がる傾向にあります。
当然、冷涼な気候帯の方が、パンにとっては良質の小麦が出来ることになります。
たいていの場合、小麦は秋蒔きで越冬栽培され、初夏に収穫されますので、トウ熟期は気温の上昇期に当ります。
この点、北海道で栽培されている「はるゆたか」などは、春蒔きして秋に収穫しますので、トウ熟期は良い条件となります。
実際、北海道の小麦は、十分なグルテン量があります。
ところが、小麦の風味という別の要素があって、こちらはパンの食味に影響します。
私の経験から言わせてもらうと、グルテン量の多い小麦は、風味という点で多少劣っています。
甘みや香りという点で不満があるのです。
その点、岩手の「南部」は、素晴らしいです。
元々はうどんやソーメンなど製麺向きらしいですが、小麦らしい穀物の風味濃厚な粉で焼くパンは、酵母の醸し出す風味と相まって、とても好ましいと思っています。
以前は何でも、この「南部」100%でやっていたのですが、こちらで商売するようになって、お客さまの食感へのニーズに応えるため、よりグルテン量の多い「ゆきちから」をブレンドしています。
「ゆきちから」は、福島県の地元でも栽培されていますが、先に述べた条件を考えて岩手県産を使っています。
ちなみに北海道産の「はるゆたか」も使ったことがありますが、品質はともかく、生産量が少なく高価なこと、北海道からの運賃がかさむことなどの理由で、今は使っていません。
さて、本日も忙しい木曜日、パン焼きの日でした。
このところ酵母の調子が絶好調で、風味も食感も満足な出来になっています。
半端生地を焼いたものを、ちょいちょいつまみ食いするのが、パン屋だけの密かな楽しみとニンマリしながら、次々と焼き上がったパンを釜から出す時が、パン屋にとって至福の時です。
これが今日の朝食 豪華!
ゆっくりお茶を飲む暇がない?
「炭火でエスプレッソ」
喫茶店の数が減っているそうです。
一説によると、皆忙しくなってゆっくりお茶飲みしている時間がなくなって来たからとか・・・。
確かにそういう一面があるかも知れません。
一方では、先週のブログにも書きましたが、ファーストコーヒーの雄「スターバックス」などは大流行で、次々と新しい店舗が出来ています。
コーヒーの輸入量は増えているそうですから、決してコーヒーを飲まなくなったわけではないのですね。
最近は何でも手に入る時代ですから、家庭でも、どんなコーヒーでも楽しむことが出来ます。
抽出器具もいろいろ選べますし、豆の種類は何百種類、豆を挽くミルも、手回し、電動各種、自家焙煎をやりたい方には、生豆も焙煎道具も販売されています。
お手軽派には、コーヒーメーカー(コーヒーマシン)がこれまたいろいろ。
コーヒーに関して、こだわる楽しみに事欠くなどあり得ません。
こんな風に、材料は揃っているのですが、家でコーヒーを入れる人は逆に減っていると言います。
手間のかからない楽しみが、他にいくらでもあるからでしょうか・・・?
こんな時だからこそ、皆さんにコーヒーを趣味の一つにしていただけるよう、業界はうんと努力しなくてはならないと思います。
コーヒーの抽出や自家焙煎にまで、どんどん興味を持って手を出していただけるよう、ご案内すべきだと考えています。
そんなことをしたら、ますます喫茶店に来る人が減ってしまうでしょうか?
焙煎の仕事も減ってしまうでしょうか?
多分そうはならないでしょうね。
この時代、ものごとは何でも多様化していて、嗜好品へのお客さまの要求も高くなっています。
お客さまの方々が、プロ並みにおいしいコーヒーを入れることや自家焙煎に興味を持ち、コーヒーへの関心が高まることは、逆にプロの仕事を見直していただける良いチャンスだと思います。
そのために意欲を持って、技術やセンスを磨き、アイディアをひねって努力したいですね。
そして、自分の仕事にプライドを持てるようでありたいと思っています。
おしらせ
「カフェクラブの集い」 久々に開催!
11月25日(日) 午後2時より、終了随時
参加費 1,000円 定員6名
今回のテーマは、「抽出の仕方でこんなに違うコーヒーの味」です。
プロとして通用する、ペーパードリップの使いこなしを学びます。
参加者の皆さん一人一人にコーヒーを入れていただき、全員で批評し合います。
レクチャー担当は、私、青木が務めます。