かたい豆腐


父が亡くなって以来13年間、だいたい毎年一回、高知の実家に出かけています。
高知に行くと、いつも決まってこの豆腐を買って来て食べます。
近くのスーパーマーケットで、当たり前に売っています。
そしてけっこう良く売れているみたいで、売り切れていることも珍しくありません。
写真で分かるとおり、パックに入っていません。
そのままポリ袋に入っています。
下の方に水分が、半分くらいしか溜まっていませんね。
袋から出す時は、上から鷲づかみして持ち上げても大丈夫です。
うちの長女は、包丁でこの豆腐を切る時、チーズみたいだと言ったものです。
かたくてキッチリ中身が詰まったこの豆腐、大豆の味をすごく濃厚に感じます。
それにかたいと言っても、決して食感が悪いわけではありません。
とにかくうまい豆腐です。
高知に居る間、ほとんど毎日、毎食、この豆腐を食べています。(まるで豆腐の食い溜め・・・!)
お値段は、たしか1個98円。
半丁と表示されていますが、十分普通のパック入り豆腐一丁分に勝るボリュームがあります。
私は、以前豆腐も手づくりしていたことがあり、約15年間、豆腐は買わずに自家製のを食べました。
大豆と天然ニガリだけでつくったその豆腐と、今高知でお目にかかるこの豆腐は、同じ味、同じ食感です。
かたくて中身が詰まっているということは、同じ豆腐一丁をつくるのに使う大豆の量がずっと多いということです。
当然、濃厚な味がするわけです。
揚げ出し豆腐などは、水切りなしでOKです。
ちなみに、この豆腐をつくっている豆腐屋のホームページがあります。リンクは<こちら>
念のため申し上げておきますが、高知の豆腐は皆かたいというわけではありません。
やわらかい絹ごし豆腐も売っています。

食工房始まって以来の大仕事

食工房の開業間もない頃から、何かとお世話になっている、某有名ホテルの料理長さんから、先日お電話があり、スポットですがまとまった数のパンのご注文をいただきました。
堅焼き黒パン30本にミックスナッツロール200個です。
開業以来今まで、一度の作業としてはやったことのない数なので、今日はいろいろと緊張しっぱなしでした。
店売りと違って、相手先の商売に対しても責任を負っていますから、失敗するわけには行きません。
それに、後々のこともありますから、いつもより出来が良いくらいでなくては困ります。
まあ、そこそこ自信はありましたが、一段と気合を入れてやらせていただきました。
さて今日は、いつもは出番がなくて、メンテナンスのために時々空回しするだけの、大型のミキサー(125?)が久しぶりに活躍しました。
娘二人にも、目いっぱい手伝ってもらいながら、大方一日かかってどうにか焼き上げましたが、焼き上がりの頃は、作業場の中はパンだらけで置き場所が足りなくて困るほどでした。
おかげさまで、出来上がりも上々で一安心。
ただし、沢山仕事をした時は後片付けも大変です。
今日は、シュトレンの包装作業もあり、長い一日になりました。
明日は定休日ですが、休日返上で配達に出かけます。
と、そうは言っても、行く先は磐梯山の麓の景色の良いところですから、帰り道は紅葉を眺めながら回り道して、楽しんで来ようと思っています。

シュトレン製造開始

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いよいよ、クリスマスに向かってシュトレンをつくり始めました。
シュトレンは、クリスマスを待つ間に少しずつ楽しみに食べるものという説もありますが、元々は、冬に新鮮な果物を食べられない寒い国で、保存食として考えられたものらしいですね。
だから、レーズンなどのドライフルーツが、とても沢山入っています。
バターもずい分沢山練り込みますし、表面はバターと砂糖で固めてありますから、切り口をつくらない限り春が来るまで長持ちするわけですね。
その間に、ドライフルーツのわずかな水分がまわりに馴染んで、全体がしっとりして来ます。
そして、シュトレンの風味を特長づける、「シュトレンスパイス」と呼ばれるミックススパイスの香りが、ドライフルーツの風味と合わさって、極上の風味を生み出します。
シュトレンは、時間をかけて少しずつ食べる間に、風味の変化を楽しめる素敵な焼き菓子なのです。
さて食工房のシュトレンづくりは、全工程四日かかります。
一日目は、材料の下ごしらえ、計量、酵母の調整です。
二日目に、生地を練って成型、焼き上げ、バターとグラニュー糖で表面処理までやります。
三日目は、表面を粉砂糖で化粧し、一日寝かせます。
四日目に、一個ずつ袋に入れ、木のコンテナにしまって熟成を待ちます。
一週間もすれば、食べ始められます。
食工房オリジナルレシピのシュトレンは
1個 約800gの大型サイズ
家庭用簡易包装品 1,800円
クリスマスギフト用オリジナルデザインパッケージ 2,200円

シュトレン

ギフトパッケージの表面デザイン

皆さまのご注文をお待ちしています。
詳しいことは、「食工房のパンだより・2007年11月・晩秋号」をご覧ください。
ページへのリンクは<こちら>

おしらせ

「ハンドワーク 森の風」 会津で暮す仲間達の手作り作品展

2007年11月20日(火)~25日(日)まで
会津若松市内、ギャラリー「和」(なごみ)にて
会津若松市 南町 2-54
営業時間 11:00~18:00

出展者
あべ のぶえ
ほし としえ
かわかみ つよこ
あおき まや
あおき まりこ
あおき まちこ

場所のご案内~地図(Googleマップ)へのリンクは<こちら>

食工房

我が家の娘たちの作品 「クリスマスオーナメント」

旧知来訪、久々の酒

四年ぶりに、知り合いが家族で訪ねて来てくれました。
新鮮な秋刀魚をおみやげにいただきましたので、タタキにして一緒に私の手づくりビールを楽しみました。
普段飲まないので、ビールを少しで、もういい気分になってしまいました。
というわけで頭も回りませんので、いろいろ書くことがあったんですが、明日のことといたします。

不便は楽しい!?

そのとおりだと思っています。
とにかく人間、何かをするということは、必ずその中に楽しみを見つけられるものです。
便利ということは、自分では何もしない方向なのですから、当然そういう楽しみも味わえません。
ただ考えなくていい、やらなくていいだけで、便利であることの究極は、「退屈」ということなのです。
だから、その退屈を紛らわすためにつまらぬ娯楽が氾濫するのだと、私は思っています。
子どもの頃、カマドで飯炊きしたり、風呂を焚いたりしたこと、山暮らしの時、やっぱりマキで暮らしていたことは、今でも詳細に覚えていますが、ただ火を燃やすというだけのことが、やってみると分かりますがとても楽しいものです。
それで部屋が暖かくなったり、湯が沸いたり飯が炊けたりするのは、もう無条件にありがたく幸せなことに思えます。
それ以外のことでも、生活のいろいろな場面で、それらが自分の手の中に収まっているということは、何より心強く安心に思えるものです。
いろいろ事情があって、便利な場所で暮すようになり、便利なことのありがたさも沢山味わいましたが、やっぱりそれだけでは満足出来るものではないと思い知りました。
「自給自足」に憧れる人は沢山いますが、それを実現するには、生活を不便な方向へと目指して行けばいいのですね。
便利さも究極に辿り着いたかと思えるこの時代、飲み食いのことだけでなく、着るもの、住む所、生活資材、健康、娯楽にいたるまで、自分の手に取り戻すことは容易ではありませんが、これから先それを目指す価値はきっとあると、私は確信しています。
山の暮らしから離れてこの四年余、生活の建て直しに追われて来ましたが、また少しずついろいろなことを自分の手の中に取り戻して行きたいと思っています。


おいしい季節

11月ですね。
秋から冬へ、日はいよいよ短くなり、何となく心細くなるような感じがしますが、一方、食べるものはおいしいですね。
寒さが増すにつれておいしくなるもの・・・、いっぱいありますね。
大根、白菜、ホウレン草、ゴボー、ネギなどの野菜はもちろん、魚も肉も寒い時期の方が油が乗って身も厚くおいしいのです。
漬け物も、秋に仕込んで冬の間に食べるものが、種類も多いしおいしいですね。
そんな中で、私は、おいしい素材をいっぱい集めて煮込んだ汁物が大好きです。
先日の鴨汁は最高でしたが、塩鮭や豚バラ肉と野菜ときのこの煮込み汁もおいしいです。
和風にみそ味やしょうゆ味でもいいし、洋風にハーブやスパイスを効かせて塩味でいただくのも、なかなのものです。
さらにミルクを入れたり、トマトを入れたり・・・、役者(具)は同じでも、全然ちがったステージが楽しめます。
我が家の例で一つ紹介したいのが、ゴボーの入ったシチューです。
豚バラブロックのブツ切り、玉ねぎ、人参、きのこ、ジャガイモ、セロリ、カブ(大根でもOK)、そしてゴボーのブツ切りを入れ、トマト味(トマトペーストやピューレを使います。)で煮込みます。
スパイスワークは、にんにく(これだけ最初に使います。)とあらびきの黒胡椒と月桂樹の葉を数枚入れるだけです。
盛り付け時に、フレッシュハーブがあれば好みに合せて散らします。
さて、ゴボーの味が意外なほど洋風の味付けにもなじんでしまうことに、きっと驚かれると思います。
ぜひ、お試しください。
そして、これと一緒に召し上がっていただきたいのは、言うまでもなく「堅焼き黒パン」です。
スープに浸しながら、ゆっくりと噛みしめてお召し上がりください。



堅焼き黒パン・特大サイズ

業界誌が語る、コーヒー業界の現実


先日、生豆の取引き先から、業界向けに刊行されている冊子を回していただきました。
「珈琲と文化」というタイトルのその業界誌は、珈琲に関する興味深い記事が満載されていて、なかなか読み応えのあるものでした。
その中の一つに、コーヒー焙煎業者の売り上げが、近年減る一方で深刻な経営危機の状況にあるという記事に目を引かれました。
ところが、焙煎豆の販売が振るわなくなっているにも関わらず、コーヒー豆の輸入量は逆に増えているのだそうです。
その理由の一つに、自家焙煎する喫茶店が増えていること、もう一つに一般のコーヒー愛好者の方々の中にも、自家焙煎に挑戦する方が急速に増えていることがあるようです。
なるほど、私も素人からいきなり飛び込んだ口ですからね。
またこうした現象の背景には、喫茶店業界の激変、つまりコーヒーの飲まれ方の変化があるそうです。
例えば今、市中で飲まれるコーヒーの主流は、スターバックスに代表されるファーストコーヒーだそうで、既存の喫茶店は大変厳しい淘汰の波に洗われています。
自家焙煎を、生き残りの作戦の一つとして取り入れる店も出てくるわけですね。
それからもう一つ、最近若い年代を中心に消費者のレギュラーコーヒー離れが進んでいるそうで、つまり皆さん家庭ではコーヒーを入れなくなっているということなんですね。
これは焙煎業者にとって、とても恐ろしい現実です。
スーパーマーケットに行くと、いつも気にして見るのですが、コーヒーの商品棚の大半を占めているのは、インスタントコーヒーですね。
もうすっかり否定的状況が出揃った感がありますが、それでも私は、密かに思っています。
コーヒーは嗜好品です。
だから、何でもありなんです。
それぞれ独自の生き残りが可能だと。
そして、コーヒーだけを売っているのじゃないってことを忘れたくないですね。
付随して、目に見えない色々なものがくっ付いているんです。
センスとアイディアを大切に、どういうスタンスになっても、とにかくコーヒーと関わることを止めないでやって行こうと思っています。

  村上の紅茶



先週の紅茶の記事にコメントをくださったsumiさんが、つい先日、話題のお茶の北限の地村上の紅茶をおみやげにご来店くださいました。
しかも、同じ茶葉から加工した煎茶も一緒です。
とりあえず先に、興味をそそられた紅茶の方をいただきました。
色合いは、渋くて淡いオレンジ色って感じですが、風味に驚きましたね。
繊細でやわらかくて、甘みを感じる、やっぱり日本の紅茶ですね。
すごく良かったです。
お茶菓子も和風が合いそうな気がします。
今度、煎茶も同時に入れて、飲み比べしてみます。

売れ残ったパンはどうする・・・。



当然のことながら、いつでもピッタリ売り切れというわけには行きません。
いつも多めに焼くようにしていますから、売れ残りが出るのが常です。
たいていは、自分たちで食べてなくなってしまいますが、たまに予想外に多く残ると一週間で食べきれないことがあります。
パン好きの私たちですから、そんな時は一日二食パンになったりします。
でも、ちゃんと副食も取るよう心がけています。
最近、あらためて黒パンのおいしさを見直しているところで、私などは、ちょっとお腹が空いた時は、黒パンをうすく切ってそのままかじっています。
たとえば朝は、黒パンとチーズ1かけ、それに旨いコーヒーと手づくりヨーグルトにりんご1かけくらいあれば、十分満足です。
夕食だったら、パンとスープと惣菜が2~3品、食後にハーブティーとフルーツがあれば大満足。
もちろん、お米のご飯も大好きですが、パンでもご飯でも、どちらでも同じように満足出来ます。
ちなみに、うちはずっと玄米食です。




  スープストック
今日は、先日の鴨のガラを使ってスープを取りました。
玉ねぎ、セロリ、にんにく、ベイリーフ、黒胡椒の粒などと一緒に1時間半ほど煮込んで、熱いうちに漉してスープストックとして保存します。
使う時は、2倍くらいにうすめて使えます。
味付けの仕方で、いろいろなスープが出来ます。
ただし今日の鴨スープは、やっぱり少しクセのある臭いがしています。(肉の方は、臭いは気になりませんでしたが・・・)
カレーのような、スパイスを沢山使う料理ならいいかも知れません。
でも、最後の一滴までいただきます。

  更新情報
「食工房のパンだより・27 晩秋号」のpdfファイルを、食工房のホームページにupしました。 ファイルへのリンクは<こちら>

パンだより、編集中

本日は、「食工房のパンだより」印刷バージョン編集中につき、特に記事を書きません。
創刊号では、「パンダよりパンだより」とシャレていましたが、途中から恥ずかしくなって止めました。
五味太郎の「ことわざ辞典」には、「パンダよりパンだ!」というのがありました。
「花よりだんご」の現代版だそうです。

命を喰らう

先日、近くの知り合いから合鴨を一羽いただきました。
もちろん生きているのを。
それを自分でシメて、解体調理して、鴨汁をつくって食べました。
久々に貴重な体験をさせてもらいました。
鶏は、今までにも何度かやったことがありましたが、合鴨は初めてです。
何しろきれいな目をした、可愛い顔をしているので、手をかける覚悟を決めるまでに、少し時間がかかりました。
でも、肉を食べるということは、何にせよ相手の命を絶つことに他ならないのですから、その覚悟が出来ないなら肉を食うべきではないですね。
そう思って、家の裏にある屋敷稲荷に詣で、祈りを捧げて覚悟をいただいて来ました。
首を落として、死んで行く命に触れながら目を閉じ、「お前の痛みも、苦しみも、ひょっとして恨みも、すべて引き受けるから乗り移っておいで。」と呼びかけると、目の前が突然明るくなり、白く光る玉がいくつも自分に向かって飛んで来るのが見えました。
その日の夕食に鴨汁をいただきながら、肉はこうして年に何回か、覚悟に見合った分だけ食うべきものなのかも知れないと、思うことしきりでした。
まさに命の重みを食す、静かな喜びを味わいました。

さて、肉は食べてしまいましたが、ガラがまだ残っていて、これからおいしいスープをつくろうかと思っているところです。
脂身からとった油も残してあって、野菜炒めなどに少し使うと、ダシが出てとてもうまいです。