文旦ピール

今日は、マフィンとスコーンを焼きながら、また文旦ピールを造りました。
ピールの造り方もいろいろあるみたいなので、食工房のやり方を紹介します。


文旦は、他の柑橘類に比べて皮の苦みや渋みが特に強いので、下ごしらえやアク抜きに手間がかかります。

 下ごしらえ
文旦の皮は、昔はとても厚みがあってワタの部分がいっぱいくっついていましたが、最近は品種が変わって大分薄くなっています。
それでもそこそこ厚みがあって、この部分に渋みや苦みがありますので、ナイフで一層剥がします。
この作業をやりやすくするために、皮を剥く時から一工夫しておきます。
先ず、八つ割りに切り込みを入れて、形が目茶苦茶にならないようきれいに皮を剥きます。
下ごしらえの済んだ皮は、すぐに加工しない場合は数時間乾燥させてから袋に入れて冷蔵庫で保存します。

 アク抜き
ある程度皮が溜まってピールを造ることになったら、乾いた状態で重量を計っておきます。
それからさっと水で濯いで、容量に余裕のある鍋にたっぷりの水と一緒に入れます。
火にかけて加熱し、70℃になったら火力を調節して70℃をキープしながら1時間熱水浴します。
皮は浮き上がりますので、押し蓋をして全部が湯の中に浸るようにします。
柑橘類の香り成分は揮発性の高いオイルなので、沸騰させて茹でこぼすと大分損なわれてしまいます。
70℃は、香りが飛ばず渋みと苦みだけが抜けるちょうどよい温度です。
それが終わったらザルに引き上げ、今度は冷たい水に晒します。
二時間晒して水を替え、もう二時間水に晒してアク抜きは終了です。
ザルに上げて水を切ります。

 砂糖煮
鍋にアク抜きの終わった皮を入れ、全体が十分浸って少し底から浮く位に水を注し加熱します。
砂糖は、先ほど計っておいた乾燥重量の2倍量用意します。
色がきれいに仕上がることと、文旦の香りを殺さないため、上白糖かグラニュー糖のどちらかにします。
これを、時間を追って10回くらいに分けて足し入れて行きます。
煮立って来たら火力をグッと落として弱火にし、先ず一回目の砂糖を入れます。
その後20分毎に砂糖を足しいれます。
鍋の蓋は、蒸発を妨げないように、かといって温度が下がってしまわないくらい、適当に隙間を開けておきます。
特にかき混ぜる必要はありません。
6、7時間かけてペクチンがゼリー化するまで、しっかりと砂糖分を吸収させます。
砂糖が香り成分と結合して貴重な香りを逃さなくなります。
シロップも減って来て、下手をすると焦がしてしまいますので、火力はくれぐれも強すぎないよう気をつけます。
きれいな透明感のあるあめ色になり、しっかりした感触になったら出来上がりです。

 保存
そのまま自然に冷まして、粗熱が取れたらトングでつかんで二重にしたポリ袋に入れ、空気を抜いてきっちりと口を結びます。
十分冷めたら保存期間に応じて、冷蔵または冷凍で保存します。
残ったシロップもビンに入れるなどして冷蔵保存します。
一年間くらい、何の問題もなく保存可能です。

 その他
お菓子造りには、必要に応じて刻んで使います。
角切り、スライス何にしても、刻んでいる時から香りの素晴らしさに感激すると思います。
シロップの方はあまり香りがしませんが、それでもいろいろ使えると思います。


砂糖菓子のようにしたい時は、粗熱の取れたピールの汁気を切って食べやすい形や大きさに刻んで、表面にたっぷりとグラニュー糖をまぶします。
そして、少し乾かしてから保存します。

種蒔き桜

春の遅い東北にも、やっと桜の季節がやって来ました。
飯豊山を間近に眺めるここ山都町でも、これから花見のシーズンです。
食工房のある高野には、近所で一番先に開花する二本の桜の木があります。
「高野の種蒔き桜」と呼ばれるこの桜がここニ三日の間に咲き始め、それにピタリと合わせるように、今週末あたりはこの辺の農家はどこも苗代に種蒔きをしています。
こうして田んぼに水が入ると、春の実感もいよいよ確かなものとなり、農家ではない私でも、何やらそわそわと落ち着かない気分になります。
この季節、外の空気は清々しく気分は最高ですが、パン屋の作業場はこれからしだいにオーブンの余熱で暑苦しくなって来ます。
酵母にとっては活動に適した温度帯になりますが、人間にとってはちょっと大変です。
合い間、合い間に外に出て、外の空気を吸い花を眺めています。


ノーシュガー

砂糖なしのお菓子、自然食の業界ではずっと以前からあったのですが、最近広く知られるようになって来ました。
砂糖なしとは言っても、甘さなしと言うわけではありません。
レーズンなど、ドライフルーツを使ったり、メープルシロップを使ったりして、ほど良い自然な甘味を出しています。
低カロリーでミネラル分の豊富なヘルシーメニューとして、ノーシュガーのお菓子は静かなブームを呼んでいます。
一方、製造する側にとっては、ノーシュガーのお菓子はごまかしが効かなくて難しいと言えます。
小麦粉でも油脂でも素材の味が良く分かるので、グレードの高い材料を使わなくては満足なものが出来ません。
食感の点でも、生地の膨らみが悪くその上日時の経過とともに急激に食感が悪くなります。
でも、アレルギー体質の方のニーズや健康志向の方のニーズで、ノーシュガーのお菓子はこれからますます注目されると思っています。

 シマリス君の朝ごはん
ペットフーズではありません。
レーズンとミックスナッツを入れたノーシュガーのマフィンです。
木の実をかじるシマリスが好きそうな、と勝手に連想してつけた名前です。
BP(ベーキングパウダー)を使わず、重曹とりんご酢で膨らませています。
卵もミルクも入りません。
自家用に造っていた頃から通算すると、もう24年間も造り続けています。
一頃大方一年間くらい、昼食は毎日「シマリス」ということもありました。
自家用には、レーズンやナッツがもったいないというので、サツマイモの角切りを入れて増量したのが「いもリス」、たまに小豆あんを入れた「あんリス」も登場しました。
いつまで経っても飽きの来ない味で、今でも好んで食べています。
そんなわけで、いつの間にか食工房のマフィンは皆「○○リス」と名づけられることになったのでした。
写真は、「シマリス君の朝ごはん」略して「シマリス」、三文字で「シマリ」と呼ぶ人もいました。

余り生地のバタール

 本日の食工房
今日は木曜日、やっぱり忙しいパン焼きの日になりました。
ブログを書く暇がないかも知れないと思いましたが、配達が早く終わりましたので、ちょっとの合い間にデスクに向かっています。
 余り生地のバタール
食パンを造る時、いつも少し生地が残ります。
定番品の三種類の食パン生地の残りを合わせるとそこそこの量になりますので、何とかしなくてはいけないと思って造り始めたのが「余り生地のバタール」です。
そういうわけで「余り生地のバタール」は、厳密に言うと毎回中身が違っています。
と言っても、ライ麦全粒粉の割合が少し増減するだけなのですが、色合いや食感が違うことにすでにお気づきの方もいらっしゃると思います。
ところが最近、「余り生地のバタール」のご注文が増えて、余り生地だけでは間に合わないことがあるのです。
今日はとうとう、そのためにわざわざ生地をこねることになりました。
嬉しいことではあるのですが、これがいつものことになるともう「余り生地の・・・」ではなくなりますね。
でも、何となく気を引かれる「余り生地の・・・」、名前はやっぱり残そうかなと思います。
今度は、余り生地の・何、を造りましょうか。
頭をひねっているところです。

私とコーヒーの出会い

今でこそコーヒーを商売のネタにしている私ですが、レギュラーコーヒーを自分で入れて飲むようになったのは、大人になって独り立ちしてからのことです。
昭和20年代後半生まれの私、しかも育ったのは四国の山奥の小さな村、喫茶店もなければ日常コーヒーを嗜む人などいるわけもなし、意外にも私とコーヒーの付き合いは、中学生の頃にインスタントコーヒーから始まりました。
かの有名なネスカフェは、その頃四国の山奥の小さな村に初めて出来たスーパーマーケットの店頭にもちゃんと並んでいました。
牛乳を沸かしてインスタントコーヒーと砂糖を溶かして飲むというのが、飲み物の中では一番気が利いているという感じでしたね。
「カフェ・オーレ」なんて言えば聞こえは良かったでしょうが、そんな呼び名は聞いたこともありませんでした。
今は「コーヒー牛乳」がレトロ感覚にマッチしてウケたりするのですから面白いですね。
その後、ジャズ喫茶に通うようになったりして、レギュラーコーヒーの香りと雰囲気にすっかり浸ってしまい、以来、豆から挽いてコーヒーを入れるという手順を踏んでみたくなったのでした。
手回し式のコーヒーミルとネルドリップフィルター、それにホーローのポット、実はこれが自分で稼いだ金で買った最初の所帯道具と言えるものでした。
そしてコーヒー豆は、コロンビア、モカ、ブラジルの三種類。
今思うと最初からコーヒー通を気取っていたようで、何とも愉快な思い出です。


 
 
不思議な味わい、ネパールコーヒー
ネパールというとインドと並んで「紅茶の国」という感じがありますが、少ないながらコーヒーも生産されています。
そしてネパールのコーヒーは、コーヒーの主産地である中南米や中東、東アフリカなどのコーヒーとはちょっと違った不思議な味わいがあります。
何と言ったら良いのでしょう、お茶の雰囲気なんですね。
繊細でスッキリとした苦みがあり、酸味はフルーティーでいつまでも口に含んでいたいような爽やかさがあります。
後味もあまり残らず、何杯でも飲めそうな感じです。
今、ブラジルの豆とブレンドの相性を試しているところですが、これがなかなかイケそうなんですね。
食工房カフェブレンドに、もう一つ新しいメンバーが増えるかも。

ネット初心者です。

何しろ私はネット初心者なので、このブログサイトの使いこなしに関しても今一つ勝手が分かりません。
これから少しずつマスターして、コミュニケーションツールとして活用出来るようになりたいと思っています。
商売をしているのですから、このブログを見た方からお問い合わせやご注文が増えれば何よりなのですが、そのために住所や電話番号、メールアドレスなどを、どこまでどのように公開して良いものか、悩んでいるところです。
今まで長いこと、紙に印刷した通信をお送りして、それを見てハガキや封書でお問い合わせやご注文が届き、それからやっと品物をお送りするという、このITの時代に全く信じられないようなスロービジネスでやっていました。
でも、これはこれでとてもステキでした。
今でもハガキや封書をくださる方はいらっしゃいますし、私たちも品物をお送りする時は、必ず直筆の手紙を添えます。
今後はホームページも立ち上げて、緩急自在に使い分けてやって行きたいと思っています。
皆さんのアドバイスを、どうぞよろしくお願いいたします。


 本日の食工房

本日は定休日です。
一週間ぶりに街へ買い物に出かけました。


夜は、北欧のルーツミュージックの情報を検索して見ようかなと思っています。


写真は、私の愛聴盤CD  “OTTILIA” の裏ジャケットの一部。
フィンランドの歌姫 Liisa Matveinen と大物ミュージシャン達が顔を揃えています。

食工房の裏ワザ

 スパイスワークの楽しみ
食工房の焼き菓子類には、スパイスを好んで使っています。
ことさらスパイスの名前を冠していませんが、ほとんどの製品にスパイスが入っています。
焦げ味に深みを与えるために、控えめな糖分でも甘さを楽しめるように、焼くことで失われる香りを補うために、素材の風味を強調したり逆にクセを和らげたりするために、スパイスワークにはいろいろな目的があります。
「何だか分からないけれどいい香りがして気になる。」そんな効果を演出することが、食工房のスパイスワークの先ず一番の目的です。
そのため例えば、度が過ぎるとまるで台無しになってしまうようなクセの強いスパイスを、粉1㎏に対して耳掻き1杯など、とてもデリケートなレシピになっています。


私とスパイスの付き合いは、実は私が20代の頃から始まっています。
その頃は趣味でカレースパイスのブレンドを試していました。
それまでカレーが複数のスパイスの調合品であることも知らなかった私は、いろいろなスパイスが合わさることで、魔法のように新しい風味が生まれることに、すっかり興味をさらわれてしまったのでした。
その頃からずっと、練りに練った私のオリジナルレシピのカリーマサラは、今、食工房のメニューの一つとなって皆さんに喜んでいただいています。


 どろんこクッキー
本日はの焼き仕事は、「どろんこクッキー」。
無加糖のカカオマスのフレークとミックスナッツとラムレーズンが入っているクッキーです。ここにも、スパイスの粒を包丁で刻んだものが入っています。

自分たちで出来ることは自分たちで・・・

今日は私の住む集落で、各戸から一名ずつ出役して、道路清掃のボランティアをやりました。
朝8時までに集会所前に約50名が集合し、班を編成して分担を決め早速作業にかかります。
国道、県道、市道を含む地域の生活道路すべて、路肩に溜まった砂やゴミを掃き、沿線に捨てられた空き缶などのゴミを回収し、側溝の泥上げ、支障木の枝打ちもやります。
また集会所前広場にあった老朽化した遊具類の撤去、処分業者への搬送までも、全部自分たちでやるのです。
農業、林業はもちろん、皆さんそれぞれに土木建設業、機械設備業、電話工事業などなど、いろいろな職種のエキスパートですから、作業はどんどんはかどって午前中にはすっかりきれいに終わってしまいました。


人口の少ない地方の、そのまた周辺地区では、何でもかんでも行政任せにしていたのでは、何もはかどりません。
納税者が少ないのですから、当然執行出来る予算も少ないのですし、その上人家のまばらな田舎では、例えば、一戸あたりに必要な道路の延長も長いわけです。
わが集落の人々には、「自分たちのための自分たちの道路」という感覚がしっかり定着しています。
ですから、冗談交じりに文句を言いつつも、結局は一生懸命作業しています。
集会所になっている公民館も、管理を委託されて集落の中で役を選んで行っています。
だから遊具の撤去も、老朽化して危険で誰かが怪我をしてからでは遅いというふうに、自分たちの問題だと考えてやっているわけです。
それだけではありません。
我が集落には、まだまだ他にも自治的な取り組みがあるのです。


今や財政の大赤字を抱えている日本の社会、税金を拠出して必要なことをしてもらえるという前提が崩壊しつつあります。
そして地方は、先んじてその洗礼を受けています。
これからのことを考えると、小さな集落が高い自治意識の元に、必要なことをボランティアでやるという姿勢は、最も先進的、かつ必要とされていることではないでしょうか。


作業の後は、集会所で皆でささやかに懇親会でした。
これがまた地域の結束を確かなものにするのですね。

高野通信 2007.4.7

  柳
食工房がある高野は、飯豊の麓を流れ下る一ノ戸川が、大きく蛇行する内側に半島のようにせり出した高台です。
川岸は、いつも私の散歩コースになっています。
屋内で立ちっ放しの作業に疲れた時など、気が向くと川に下りて行きます。
そこには、樹齢も分からないくらい大きくて立派な柳の木があり、その下に立つと、神々しい霊気に緊張するのと同時に、大地の底から湧き上がって来る生命力に包まれて安堵する感じを味わいます。
この柳の木の中ほど、枝分かれの付け根の苔生した窪みには、春の一時うす紫色のスミレが咲きます。
足元にも沢山のスミレとアズマイチゲが咲いて、踏まないように歩くのが大変です。
今はまだ花の時期には少し早いのですが、もうじきかと思い楽しみに待っています。
川岸と家の周りの道をぐるっと一回りしてくると、心地良く息が弾み体が温まって元気になれるのです。



 
 今日もパン屋

いつもどおりに土曜のパン焼きですが、今日はパンを減らしてサワードゥービスケットを焼きました。
サワードゥービスケットというのは、パン酵母を使って発酵させた生地で焼いたビスケットです。
食工房のは、長さが18cmくらいの棒状ですが、ひらがなのに似た形に成型すると、プレッツェルとかクリングラと呼ばれるお菓子になります。
そして、今日も写真を撮ってもらいました。





スコーン

毎週金曜日は、たいていマフィンとスコーンを焼いています。
パンと違って醗酵時間がないので、朝もゆっくり始まります。
でも一旦始まると、すごい緊張感で作業します。
そのわけは・・・。
重曹と酢を使って生地を膨らませるやり方を採用しているからです。
ベーキングパウダー(BP)を使えばいいところなんですが、BPは成分中にアルミニウム塩を含むので使いたくありません。
アルミニウム塩は、脳に蓄積されてアルツハイマー症候群の原因になることが確認されています。
アルミフリーのBPもありますが、BPは加熱が始まってから効いて来るので、焼き菓子では理想の食感にならないのです。
重曹と酢を使うやり方だと、材料を合わせた時点から効き始めていますので、焦げ目が付いて固まってくる前に十分膨らみます。
その代わり、作業を手早くしないと焼く前に反応が終わってしまい、うまく膨らまないまま焼き上がってしまいます。
そこで、少しでも反応時間を稼ぐために、材料は全て前の日から冷凍庫、冷蔵庫で冷やしておきます。
昨日、「明日の準備」と言ったのは、実はこの事だったんです。
そして今日も、写真撮影をしてもらいました。


ちなみに、重曹と酢の使用割合は
粉100gに対し、重曹1g 酢10ccです。
あらかじめ、重曹は粉の方に、酢は水の方に混ぜておいてから合わせるようにします。
※重曹とヨーグルトを使う方法もあります。