共存は不可能、クマの性格

今日は、クマの性格に関する私見をお話します。

まずクマは、単独行動する動物です。
群を作って協力し合うと言った行動は、全くと言って良いくらい見ることが出来ません。

子育て中のメスは、子グマと一緒に行動しますが、子育て期間が終われば子グマは追い払われ、一人で生きて行きます。
複数のメスが協力し合って子育てするということもありません。

唯一の例外と言って良いかどうか分かりませんが、繁殖期だけはオスとメスが出会って一緒に過ごす瞬間があります。
この時期のオスは、交尾相手のメスを求めて広範囲に歩き回ります。

まだ子グマのいないメスなら、まだしもスムーズに交尾相手になりますが、ここで特徴的なのが子連れのメスに対する行動です。
まず、子グマを襲い殺して食べてしまいます。

この時、自分の血がつながった子であるかどうかに頓着は無く、全く見境なく無条件です。
跡形もなく食べ切ってしまうので、証拠を見つけるのも大変なようです。

それ故、この時期の子連れのメスは、オスに見つからないよう隠密に行動しており、極端なほど神経質になっています。

そうした実態を撮影することに成功したカメラマンのドキュメンタリーを、以前NHKの番組で見たことがあります。

この時のメスは、子グマを護るために激しくオスと戦いますが、最後は体格に勝るオスに押し切られ、子グマに手をかけられてしまいます。
彼のドキュメタンリー映像の中では、3年続けて子グマを失ったメスの例が登場していました。

そして子グマを失ったメスは、やがて発情スイッチが起動し、オスを受け入れます。
交尾が終わった後のオスは、メスに寄り添うなどということはなく、また単独行動に戻って行きます。

こうした一連の行動は、種の保存と繁栄の原則から見れば、ものすごく大きな矛盾です。
子グマにとって、母グマ以外のクマはすべて自分の命を狙う脅威だと認識しています。

それは自分が大人になってからも消えない感覚のようで、クマは自分の側に自分以外のクマがいることが、とても大きなストレスになるようです。
外の世界とは常に緊張関係にある、というのがクマの日常的感覚なのだと思います。

そうした矛盾を抱えたクマは、進化の過程でひたすら自分自身を大きく強くすることを選びました。
しかし、年を取り、あるいはケガや病気などで、強さを誇示することが出来なくなれば、すぐにも一生の終わりがやって来ることになります。

あの、牛を66頭も襲って世間を騒がせたOSO18の最後が、どうもそのようだったと報告されています。
いかにもクマらしい最後ではなかったかと思う私です。

大きくて強いわりには、時に憶病にさえ見える慎重さと神経質さ、その気難しさと折り合うことは、基本的に不可能です。

クマと共存と言うなら、それはこちらも同等な強い力を誇示して圧力でバランスするしか方法はありません。
その意味で、人や人の生活に害を及ぼした個体に対しては、駆除一択です。

クマに対して、あり得ないファンタジーの視点で見ている人々の能天気さは、この際害悪にしかならないと申し上げておきます。

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