日別アーカイブ: 2009年12月10日

菓子屋の功罪

製菓業界に一つの法則があって、曰く「砂糖の使用量に比例して、売り上げが増える。」とか。
つまり、甘いものほどよく売れるというわけです。

一頃、甘味離れが話題になったことを覚えているのですが、その実どうだったのでしょう。
私の実感では、その法則はずっと生きていますね。
近頃は、若い人も年配の人も、「スィーツ」と名前こそ変わりましたが、甘味品への嗜好は多様化しますます強くなっているのですね。
甘いものへの需要が陰りを見せることはないようです。


一方、甘味品の摂り過ぎが健康によろしくないということは、前々から言われているのですね。
特にマクロビオティックの考え方では、砂糖は禁忌品と目されていますし、蜂蜜や果物さえも避けるべきと教えています。
その是非は賛否両論あると思いますが、甘味中毒というのは実際に起こり得る疾病なので、軽く無視しておけば良いというものではないと、私は思います。


人間の甘味への欲求には際限がないと言われています。
※そのへんのことは、<こちら>を参照していただきたいと思います。
しかしそうなると、いくらでも甘味を強くして嗜好を誘うことが出来るわけで、限度を超えれば明らかに健康に害が出ることは否定出来ません。
その限度がどの辺にあるのか、それがまたいろいろな意見があって難しいのですね。
人の味覚は、甘いとおいしいが微妙に重なり合っていて、はっきりと分け隔てることが出来ません。
つまり、甘いものはおいしい、おいしいものは甘い、と感じるように出来ているのですから。


実はその辺りに菓子屋の功罪があると思うのです。


食工房も、甘いお菓子を造っていますので、それが皆さんの健康にとって功となるか罪となるか、やはり気にしています。
もちろん、皆さんがそれぞれ自分に合った食べ方をコントロールすれば良いことなので、私が気にしても仕方がないのかも知れません。
それでも、食べた後になって「ああ、こんなに食べなきゃ良かった・・・。」と思われるようなお菓子でないことを願い、いつもそのコンセプトに基づいてレシピを練っています。


ちなみに、食工房のクッキーやケーキなどは、時々「甘くない。」とか「味がしない。」と言われることがあって、そういう時はいろいろな意味でちょっとショックです。


売れなきゃ困るけど、妥協は出来ない、したくもない。
万人に好まれるなんて所詮無理です。
例えお一人でも、おいしいと言ってくださる方がいれば、そこからスタートと思って今までやって来ました。


これからもその方向でやって行きます。
お付き合いのほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。