投稿者「mikio aoki」のアーカイブ

ケーキ屋さん


こんなに大きなビーターで、一度に32個分の卵白を泡立てます。



数が少ない時は、家庭用のミキサーを使います。


今日の食工房は、ケーキ屋さんでした。
食工房の焼き菓子メニューの中には、当然ながらケーキもあります。
最近、このブログには登場していませんが、決して焼いていないわけではないのです。
ただ、食工房ではそう沢山売れるメニューではないし、ケーキに取りかかるとその日はもう他のことが出来なくなるので、ご注文をいただいてからスケジュールを決めて焼いています。

今回は、ギフト用にまとまったご注文が入りましたので、一日たっぷりと作業に追われました。
食工房のケーキは、すべてパウンド型(小)を使って焼いています。
多くのお菓子屋さんが、紙製の使い捨ての焼き型を使っている昨今、やっぱり金属製の型の方が火の通りがいいような気がして、以前からずっとブリキの焼き型に敷き紙を敷いて使っています。

今日は、3種類のケーキを焼きました。
全て、卵を使ったスポンジケーキですが、それぞれ油脂の種類や中身が違うので、食感が異なるケーキになっています。



エルフの焼き菓子は、ココアパウダーとカカオマスのフレークを入れた、チョコレート風味のケーキです。
油脂分はサラダオイルなので、3つの中では一番ソフトな食感です。
ただ甘いだけではない、カカオのほろ苦さと香りを楽しめる、大人のケーキです。



アールグレーティーケーキは、アールグレー紅茶の微粉末をたっぷり入れた紅茶ケーキです。
秘密のスパイスも効かせてあります。
油脂分は、バターとサラダオイルをミックスしていますので、少し重さのある食感になっています。




アプリコットケーキは、ドライアプリコットをはじめ、レーズン、クランベリー、文旦ピールの4種類のフルーツと、バターとプレーンヨーグルトもたっぷり練りこんで焼いています。
甘酸っぱくて、フルーツケーキとチーズケーキを足して二で割ったような、風味と食感になっています。


ちなみに卵は、近所で自然卵養鶏に取り組んでいる、ひぐらし農園の浅見さんから仕入れています。


食工房のケーキメニューを、どうぞよろしく。
ギフト用などに、箱や包装紙も用意しています。


 

夕立

今日は、夕方から雷雨になりました。
仕事を少し早めに上がらせてもらって、あちこちジャングルになり始めた庭の草刈りをしようと、刈り払い機の刃研ぎを終わらせて、さてエンジンをかけて刈り始めたところで、頭の上に大粒の雨が当たり始めました。
刈り払い機を片づける間もなく土砂降りに。

そして雷が鳴ったので、今度は大慌てで家の中に入り、電気器具の電源を抜いて回りました。
PCはもちろんですが、先日入れたばかりの真新しい冷蔵庫と冷凍ストッカー、その他気にし出すとその数の多さに驚いてしまった私です。
昔なら、電球が一個切れたくらいで済んだでしょうが、この時代の家の中は何もかもが電気仕掛けです。
そしてハイテクの物ほど落雷の被害を受けやすくて、おまけに高価なものが多いのですね。
直撃雷でなくても、近くに落ちた雷の衝撃が電線を伝わって、周辺の家々の器具に被害を及ぼすことはいくらでもあるそうですから、ゴロゴロッと来たらもう油断はしていられません。
つい先日も、あるお店で冷蔵庫と冷凍庫とエアコンが一度にやられて、100万円を越す出費を余儀なくされたという話しを聞いたばかりです。
うちなんかその点、自宅と店は棟続きですから、必要とあらば夜中でも対応出来るのです。

でもちょっと考えてみたのですが、年間通して全国で、雷の被害で破損する電気器具の数は、一体どれほどになるのでしょうか。
決して軽いものではないと思います。
そして皮肉なことに、それによる強制的な買い替えは、そこそこ大きな需要となっているのじゃないでしょうか。
まだそれに雷の被害を受けるのは、家庭だけではありませんからね。
例えば携帯電話の基地局などが直撃されたら、いくらガードしていても、設備は無事ではいられないでしょう。
そしてどれほどの被害額になるか、ちょっと想像出来ません。

直撃雷の凄さと恐ろしさを、我が家は一度味わったことがあるので、よく分かっているのです。

便利になったハイテク生活も、雷に対してはいつもビクビク神経を尖らせていなくてはならないのですね。
遠目に見る稲光は、とても美しいと思いますが、余裕で眺めているわけに行かなくなってしまった、今の私たちの生活がちょっと恨めしく思われる夕立でした。

日本人が壊れる

衆議院が解散になるという話しで、それも長年続いた自民党主導の政治に終止符が打たれるかも知れないと、政界はもう蜂の巣を突いたような大騒ぎの様相です。
自民党そのものも、崩壊しそうな状況だとか。

申し上げておきますが、私は政治にはとうの昔に失望し切っているし、今の政治家と呼ばれる方々には、申し訳ないけど信頼なんてものは置くわけには行きません。
今回の選挙で、何がどのように変わるのか分かりませんが、建設的方向が見えていると言うならそれもいいでしょう。
でも私には、そんな希望は見て取ることが出来ません。


それよりも自民党という政党、私は決してひいきじゃありませんが、良くも悪くも日本人の国民性が、象徴的に現われた組織だと思っています。
理屈よりも感情に動かされる傾向、大勢の動きの中に埋没するのを良しとする傾向、前例重視で変化を好まぬ傾向、この政党が提示することは、いつも概ねこの国の人々の心象に符合していたのですね。
そのせいでしょうか、時折多少の反感を持つことがあっても、結局私たちは、新しい道を歩く勇気を持たずに過ごして来たのでした。
その間に私たちに身についてしまった習性があるとしたら・・・、それは思考停止ということでしょうね。


そんな中で民主党が政権を取ったとして、果たしてどのようになって行くのでしょうね。
政治はいつも、国民が歓迎する方向へと迎合する傾向がありますから、気がついて見たら民主党がそっくり自民党の代わりをしていただけなんてことになるかも知れません。


それとも・・・、自民党が崩壊するということは、この日本人の精神性のどこかが壊れてしまったということでしょうか。
それもありそうな話しだと思う私です。


いずれにしてもこの先、油断はしていられません。
私のような零細な自営業で喰っている者は、為政者のちょっとした気まぐれの決断のせいで、足元を掬われて生きて行けなくなるなんてことが、この先いくらでも起こりそうですから。
本当に一歩一歩、どこに足をおいて進んで行けば良いか、自分だけが頼りだと肝に銘じています。

夏休み

今日は、朝のうちから近所の子どもたちが自転車に乗って走り回っているのを見かけて、「ああそうか!夏休みなんだ。」と気がつきました。

若い頃は気ままに過ごし、結婚してからもほとんど自営業。
山暮らしの時も、人に雇われて働くということはなかったので、いつでもどんなことでも自分で決めてやって来ました。
忙しくするのも暇に過ごすのも自分次第。
その結果、我が人生には労働と休暇というメリハリはありませんでした。
それが良かったか悪かったか、評価のしようもありませんが、このところの忙しさにちょっと嫌気がさしたものか、今朝は夜明け方の気持ちのいい時間に、外の空気を吸えない作業場にこもっているのが恨めしく思えました。


ああ!今、マキストーブに火を起こしているところだったら、どんなにいいだろう・・・などと、夢想していました。
思えば、山暮らしをしている時にそのチャンスはいくらでもあったのに、時間が自由な時は案外朝寝をしてばかりでした。


この夏も、また何日間か夏休みをいただくことにしていますが、私の休暇はいつも、普段手が回らないことを片づけるのに時間を費やしてしまいます。
さあ休むぞ!と思ってちゃんと休めた試しは、実はあまりないのです。


それよりも、日常のちょっとしたすき間に思いがけない安らぎの瞬間が見つかる時の方が、よほど癒される気がします。
それが自営業のいいところかなと、私は納得しています。
いわゆる OFF の時間に、どこかに行ったり、お酒を飲んだり、何か目先の変わった楽しみを求める必要は、私にはあまりないのです。
そんな時間があるのだったら、畑にいるか、山歩きをしに行きます。
もっと小刻みな時間しかなければ、「お空眺め」をするだけでも結構。
パッと表に飛び出した時、木立の向こうに月が上って来るのが見えただけで、幸せな気分で元気になってしまうほど、私の心も体も単純になってしまったようです。


さて、今年の私の夏休みはどのように・・・。

差別化の果て

物が豊富になると、売れなくなります。
それが経済社会の原則ですね。
そこで商売人たちは、いろいろと手を考えるわけです。

一つは、同じものなら一円でも安く売って数で稼ぐ。
あと一つは、同じものでも質的な違いを主張して、(つまり差別化ですね。)一円でも高く売る。
この二つのどちらかになります。
それが段々エスカレートすると、物の値段は高い安いの両極端に偏って行きます。

コーヒーのような嗜好品の世界では、差別化のネタをいくらでも見つけることが出来ますから、差別化による付加価値は、全く途方もない所まで登りつめます。
昨年このブログでも取り上げた、100g7350円のコーヒーの話題<参照>は、いまだに記憶に新しいところですが、今年産販売の企画の新聞広告を少し前に私も見ました。
そうかと思えば、スーパーの安売りコーナーでは、200g3缶で1000円のコーヒー豆(挽豆)が山積みされています。
そしてさらにランク落ちしたものは、産業廃棄物並みに扱われて、一般消費者の知らないところで加工品になって行きます。

多分、大方の生産地では、消費地でそこまで価格差が生じていることなど知る由もないでしょう。
本当に良いものが高く売れて、その分が生産者にストレートに還元されるなら、それはそれで結構なことだと思います。
しかし現実、価格の決定権は、流通業者と焙煎業者など間に立つ者たちの手中にあります。

かく言う私も、その立場にある一人には違いありません。
自分のコーヒーを認めてもらうために、差別化は避けて通れない一つの手法として、この私も使っています。
ただし、そこには必ず明確かつ消費者の方に納得していただける理由があること、これだけは守りたいと思っています。
確たる根拠も無くでっち上げた差別化は、仮に一時的な利益を生むことがあるとしても、いずれ必ず業界全体の信用を大きく損なう元になりますから。

そしてやはり、一番に考えたいのは生産地のことです。
我々が取っている差別化という手法が、生産地にも良い刺激となって、質の高い生豆の生産に意欲が増す方向を見つけなくてはならないと思っています。


そんな意味合いも込めて、いつか皆さま方に、生豆の選別体験をしていただくイベントをやってみたいと思っています。

藤島晃一 ライヴ・本番

写真撮ったのはこの一枚だけ。それどころじゃありませんでした。

正直、CDを聴かせただけでは絶対に伝わらないものがあると、いろいろな人のライヴに立ち会って来て分かっていました。
藤島さんの音楽、というよりパフォーマンスはなおさらそうだと、昨日のライヴに立ち会って実感しました。
冒頭一曲目が始まって、長いギターのイントロに続いて第一声を耳にした瞬間、頭と体がカーッというかゾクーッというか、違う世界にトランスして行くのが分かりました。
こういう感じは今までに何度も味わったことがありますが、それでもそう滅多にあるものではありません。
同じ人のステージでも、来る時と来ない時があったりもします。
またライヴの中の全部が全部というわけでもありません。
でも、たとえ一瞬でもその感覚を味わうと、ライヴの良さの虜になって、私などはこうして自分で企画してでもやりたくなるのですね。

音楽と言っても本当にその世界は無限に広く、私の場合は限定した好みというものは存在しません。
ほとんど何でも来い!です。
ですから、一昨年、さらにその前の年と二回関わった、ショーン・ライアンのライヴの時も、今回の藤島さんとは違いますが、思わず目頭が熱くなり嗚咽が漏れそうになるのをこらえるのが大変なほど感激していました。
こんな風に、音楽の種類傾向によって違った感慨を味わえるのが、またいっそう私を音楽に近づける理由でもあるのです。
でもあえて言うなら、人類にとっての音楽のルーツに近いものほど、好みに合っています。
反対に、商業主義に乗ったものほど気持ちが動きません。

そうそう忘れてはならないのは、一昨日の「チャルジョウ 納涼の宴」です。
この時のヴォイスパフォーマーのarincoさんのパフォーマンスの中にも、その一瞬があったことを銘記しておきたいと思います。

これでは、また誰かのライヴを企画したくなるでしょうね。
こうして時々変なことをやる風変わりなパン屋を、応援していただければ幸いです。

おしらせ

藤島さんの作になる写真集とポストカード、それからCDをお預かりしています。
食工房にて販売しますので、興味のわいた方はお声をかけてください。
また楽器屋DONでも、CDを販売しています。<こちら>

ありがとうございました。

今回のライヴに関し、PA(音響)には特別なこだわりのある私の意向を汲んで最高の音作りをしてくださった、「ヒロミュージック」の高橋博之さんに特別な感謝を申し上げます。
また会場になりました「風街亭」さん、その他ご協力いただきました関係各位、ご来場くださいました方々に対し、改めてこの場を借りてお礼申し上げます。

冷蔵庫、新しいのにしました。


全く恐ろしいくらい、すばらしく良く冷える。そして省エネ。


とうとうと言うか、やっとと言うか、新しい冷蔵庫が入りました。
実は開業当初以来、中古購入して使っていた2台の冷凍・冷蔵庫のうちの1台が、先週の半ば寿命が尽きて動かなくなってしまいました。
冷凍庫には、保存中の文旦ピールが入っており、一時はパニックになりました。
何とかスペースをやりくりして、大事なものだけを残る1台の方に移し、あとは保冷ボックスに入れ、家用に使っているもう1台で(全部で3台あったということ。)保冷剤を凍らせて当場しのぎをしていました。
はてさて、ここでまた以前のように中古品を探しに行こうかと思いましたが、時間もないしお金もないし、現金でパッと1台買って来るなんてとんでもありません。
そこで思案のあげく、知り合いの伝手で業務用の冷蔵庫と冷凍ストッカーの新品をリース導入することになりました。
手元にお金がないのに、かえって高い買い物をするというのも妙な話ですが、今乗っている車を買った時も全く同じ事情で新車を買うことになって、結果的にはそれが良かったという経緯がありますので、今回も思い切りました。
それにしても、先月からPCのリースの支払いが始まったばかりなのに、どうしましょう・・・。


それはそれとして、昨日から使い始めていて、早くもその実力と効果に驚いています。
スコーンの材料を予冷しているのですが、冷え方が今までと全然違うのですね。
製品の出来にも、きっと良い結果が出ると思っています。


もっとも、良い設備があれば質の高い仕事が出来るのは当然ですが、そのために支払う代償が売り上げと釣り合わなければ、何ともなりませんね。
果たして自分の判断が正しかったかどうか、これから5年先までの努力にかかっているというわけです。

無料コンテンツは、本当に無料か?

PCを使っていると、またインターネットを利用していると、無料で使えるアプリケーションやコンテンツがあまりにも沢山あって、どれを使おうか利用しようか、またどれが自分のニーズに合っているか、本当に迷ってしまいます。
新しい物好きの私でさえ、これではもう次から次へとキリがないと、かえって保守的になってしまうほどです。
そんな業界の動向に促されてか、かのマイクロソフトが看板商品のMS Office を、インターネット上で無料で利用出来るようにするのだそうです。

無料コンテンツと言われて、すぐに頭に浮かぶのはグーグルだと思いますが、あれほど多彩なサービスを全て無料で利用させて、それらの開発費やサーバーの維持管理費をどのようにしてまかなっているのでしょうか。
素人の私には、およそ想像がつきません。
ただそうに違いないと思うのは、使うのは無料でも、回り回って私たちはどこかで必ず支払いをしているはずだということです。

今の世の中は本当に複雑怪奇で、そのものの価値に一円の支払いもせずに恩恵を受けられたりするのですが、どこかで騙されていはしないか、そんなことを考えてしまう私です。


モノづくり商売で、似たようなことが出来るかどうか、ちよっと想像してみました。
例えば、食工房のパンを無料で差し上げる仕組みを作ることは可能でしょうか?
製品そのものの代価を要求しないとすれば、製造販売コストを賄ってくれるスポンサーがいなくてはなりませんね。
パンを食べる時ジャムやマーガリンなどを塗って食べるので、その方面の業界がスポンサーになってくれるでしょうか。
また無料のパンをもらいに遠くから自動車で駆けつける人があれば、ガソリンが必要ですから、ちょっと苦しいかも知れませんが石油業界は・・・?
いやいや、この程度では到底無料にはなりません。
まあ例えばの話しです。


こんな風にして、製品そのものに支払いをしなくていい仕組みが、情報産業では成り立っているのですね。
ですから、私たちがどこかでちょっと何かを買ったり、飲んだり食べたりする時、極々僅かでもグーグルのために幾らかずつ取られているということなんじゃないでしょうか。
きっと、網のように張り巡らされたお金の通り道を、グルグルと回り回っている間に、少しずつあっちに幾ら、こっちに幾らと利益が吸い上げられるのですね。
無料コンテンツで得だけしたような気になっていても、その実私たちは、それ以上の支払いをさせられているかも知れません。
それだったら、そのものの価値に見合った直接的な支払いをする方が、正道のような気が私はするのですが、皆さまはいかが思われますか。

30kgの粉

今日は朝からパンを焼きながら、いくら頑張っても何か時間が経つのが速い気がして、ずっと最後まで作業に追いかけられていました。
それもそのはずで、粉量にして30kg。
小さいパン屋にしては、結構な作業量です。
おまけに天然酵母仕立てで、手数のかかるメニューが多いと来ていますから、なおさら忙しくなるわけです。
いや、でも、自分でも気持ちいいくらいチャンチャンと作業は進んでいるのに、時計を見ると「ワワッ!」と叫び声が出てしまうほど時間が経っていて焦りました。
多分今日は、一日の作業の最大量を更新したはずです。
後片付けと洗い物がどれほどだったか、言うまでもありませんが、それも全て終わらせました。
うーん・・・、これから毎週木曜日がこんな調子だとすると、少し対応を考えておかないと・・・。
今日はもうくたびれました