投稿者「mikio aoki」のアーカイブ

コーヒークッキー、そして続・悪豆拾い

昨日の賑やかさとはうって変わって、今日は静かな一日でした。
でも、その分かえって仕事の密度は濃くなるのです。
朝は少し寝坊しましたが、まず昨日から仕込んでおいた「山の子クッキー」を焼いて、それから急いで支度をして「コーヒークッキー」を焼きました。
コーヒークッキーに使うコーヒーは、もちろん自分ところのコーヒーです。
フルシティーローストの豆を少し、うんと細かく挽いてそのまま入れます。
えっ!と思われるかも知れませんが、クッキーだから可能なんですね。
ココナツの粗い粉末も入っていますので、かなりザラザラしていますが、悪い食感ではありません。
それより、これだけコーヒーの香りがするコーヒークッキーは、たぶん他にはないと自信を持っています。
カラメルや香料など一切使っていません。



それから午後も遅くなってから悪豆拾いです。
今週末は、イベント出店で大量に豆が必要なのです。
そこへ、ご常連のお得意様からコーヒー豆のまとまったご注文をいただきましたので、まず滅多にやることのない量(10kg)の豆を選別しました。
1kgずつ缶に入れて10個並んでいるのを見て、ちょっと恐ろしくなりましたが、手伝ってくれる娘たちも手慣れているので、気合いを入れて何と2時間少々で終えることが出来ました。
悪豆拾いも、音楽聴きながらおしゃべりしながら何人かでやれば、そんなに苦痛な仕事でもないんですね。
気楽にボランティアをお願いしてもいいのかな、と思ったりしています。
代わりに、その日はコーヒー飲み放題でいかがでしょう。

続・セルフヒーリング



ドタバタと忙しい毎日を過ごしていると、しだいにストレスがたまってくるのが分かります。
何か嫌な状況に悩まされているならなおさらですが、逆に全く調子良くやっていても、ストレスはたまるらしいですね。
私たちの心身をほんとうに勇気づけ、元気づけてくれる源はどこにあるかと言えば、それはこの地球、大地、大自然そのものじゃないでしょうか。
それは、誰でも本能的に分かっていることですね。
疲れた時、山に行ったり海に行ったり、ただ空を眺めたり風に吹かれたりしたくなるのは、自分で自分を癒そうとする本能的感覚なのです。
だから、人間が造ったものばかりに囲まれて、自然の法則に従うことを忘れ人間の決めた約束事に縛られてばかりいると、人は必ず心身を病むというのは、単に私がそう思っているというより、それが自然の摂理なんですね。
そう考えると、この時代にいる人間たちは、何事によらず「やり過ぎ」状態に違いありません。
例えて言うなら、それはペダルが何千、何万もついている一台の自転車に乗って走りだしたようなものでしょう。
小回りが利かない上に、すごいスピードで走っているので降りることも出来ません。
皆が漕ぐのを止めて静かに停車しない限り、暴走は終わらないのです。
そんな巨大な自転車同士が衝突することもあれば、崖から転落することもあるでしょう。
私には、世界は今まさにそんな風に見えます。
そんなら一つ、少しでもスピードが遅くなるよう漕ぐのをサボっていようかと思っても、かえって危ない時もありそうです。
ここらでケガを覚悟で飛び降りて、自分の足で歩く方を選んでもいいんじゃないかと思ったりします。
でも、こんなブログを書いたりホームページを作ったり、インターネットを使いこなそうとしているのは、まだまだ一生懸命ペダルを漕いでいる方かも知れませんね。



 カフェクラブ満員御礼
結局12名の方のご参加をいただき、危うく椅子が足りなくなるところでした。
本当にありがとうございました。
5月6日のCHAさんの引っ越し祝いで味わったのと同じ心地よさを、ここでもまた味わった気がしています。(5/6の記事へ
大げさなことを言いますが、私にとっては、一個のパン一杯のコーヒーで喜んでいただくことが、私の平和運動なんだと自負しています。
8月には、本当にカレーパーティーを3回くらいやれるかも知れません。
皆さん、どうぞお楽しみに。

いろいろやりすぎ?

今日は、まず朝はパン焼きに精を出し、午後は昨日一部やり残したコーヒー焙煎を片付け、その後、小一時間かけて妖精美術館のある金山町の友人宅へ出かけました。
この秋に、アイリッシュコンサートを企画していることはすでに紹介しましたが、そのミーティングがあったのです。
メンバーは、私も含めて全員がボランティアでこの企画に関わっています。
何でこんなことをやっているのかと言われそうですが、いい音楽を生で聴きたい、でも東京までコンサートを聴きに行く時間もお金もない、だったら自分のいる場所でコンサートを企画して演奏家を呼べばいい、せっかくやるなら出来るだけ多くの人と分かち合いたい、という気持ちが元になっているのです。
そして、地方のそのまた辺地と言われるような場所に、わざわざ来なければ聴けないようなコンサートにしようじゃないかという意気込みで進めています。
多くの方に聴きに来ていただきたいと思っています。
どうぞお楽しみに。
いずれこのブログ上でも、詳細な情報を告知いたします。
こんなチャネルも、私にしてみればいつものことなんですが、いろいろやりすぎでしょうか?
「パン屋さんじゃなかったの。」と言う声が聞こえて来そうです。
そう、私は面白いパン屋です。
さてさて、今日はもう時間がなくなってしまいそうです。
明日は、カフェクラブの集いに10人近く集まりそうです。
また忙しくなりそうです。

悪豆拾い



「わるまめひろい」と読んでくださいね。
アクトウではありません。
今日は、午前中はマフィンとスコーンを焼いて、午後からは「悪豆拾い」とコーヒー焙煎で終わりました。
コーヒーの生豆というのは、ご覧のとおり緑色をしていて、別名「グリーンコーヒー」とも言うのです。
農作物ですから、当然出来不出来があります。
粒の大きさ、乾燥具合などのバラツキを、完全に無くすことは出来ません。
一番困るのは、腐敗醗酵した豆とカビが生えた豆、それから虫食いや割れの入った豆です。
これらは確実に風味に影響しますから、バットに広げて一粒一粒目で確かめながら、悪い豆を見つけたら拾い出します。
手選別ともハンドピッキングとも言いますが、うちでは悪豆拾いと言っています。
これがまた大変な手間で、しかしこれをやるかやらないかで、そこのコーヒーの価値が決まってしまうほど重要な作業なので、絶対に手を抜くわけには行かないのです。
大方は現地で出荷前に選別してくれていますが、輸送中、保管中に悪くなってしまうものがどうしても少しはあるのです。
この悪豆拾いをしながらいつも考えるのは、現地の人は多分、こちらの何十倍も手間がかかる選別の仕事を一日中やっているんだろうなぁ、ということです。
食工房で取り寄せているものの内、一銘柄だけ多分無選別と思われるものがあるのですが、これの悪豆拾いはさすがに音を上げたくなります。
約20%のロスが出る上、一人でやると1㎏分の豆を選別するのに小一時間かかります。
でも、この豆がどうにも捨て難い風味の良さを持っているので、止めるわけには行かないのです。
さておかげさまで、あさってのカフェクラブの準備もどうにか間に合ったようです。

いつものように

今日も、いつものように忙しい木曜日になりました。
でも、今週はご注文が少なかったので、仕事量が減って少し余裕がありました。
朝は先ずいつものように、昨日からすでに仕事をしている酵母のご機嫌を伺うことから始まります。
本当に、この酵母はただの一度も私を裏切ったことはないんです。
今朝も、このブログの5月3日の記事の写真のように、いつものように泡を吐きながら醗酵してくれていました。
そしてパン生地をこねると、いつものように、バスクの子守唄を聴きながらコーヒータイムです。
この地で店を持ち、本気でパン屋をやるようになって3年半ほどになりますが、この間ずっと、いつものように変わらぬ品質のパンを焼くことが、どれほど難しいかということを思い知らされています。
いつものことがいつものようであることの裏には、大変な努力が必要なんですね。
子どもの頃からずーっと、根気がない、一つのことが長続きしないとさんざんに言われた私は、同じことがずっと続くことに耐えられず、恐怖さえ覚える性格でした。
それがこの歳になってやっと、いつものことがいつものように出来ることの意味を悟り、「継続は力なり」の言葉の意味も骨身にしみて分かったような気がします。
今頃になって本気でパン屋をやるんなら、何でもっと若い頃からその道で努力して来なかったのかと、思ってももう遅いですよね。
でも、いろいろ回り道して来たことも、きっと死ぬまでには何かのためにはなるに違いないと信じて、これからは「いつものように」を大切に生きて行こうと思っています。




  告知情報

 「カフェクラブの集い」 開催のご案内
6月3日(日) 午後2時から、時間の許す限り
参加費 お一人1000円
今回は、コーヒー VS 紅茶。
ウィスキーフレーバーのカフェ・ラテとマサラ・チャイの対決もお楽しみに。

 「ふるさと会津 工人まつり」 出店のご案内
6月9日・10日の両日、会津三島町の生活工芸館前広場で開催される工人まつりに、「空色カフェ」応援出張カフェを開店します。
自家焙煎コーヒーとシナモンロール、スコーンをお召し上がりいただけます。
イベントや地理のご案内は、「生活工芸館のホームページ」をご覧ください。
また併せて「空色カフェ」のホームページもご覧ください。

 食工房のホームページよりご案内
「パンだより・緑雨号」2007年6月号のPDF版を掲載しました。
ご覧いただければ幸いです。
※ダウンロードのページへのリンク

どんみりとした暗褐色の液体となって・・・



以前、連れ合いの知人から届いた一通の手紙の中に紹介されていた、野上弥生子の小説「森」の中に出て来るという、コーヒーのイメージ・・・。
この「どんみり」という言葉を初めて聞いた時、思わず広辞苑を持ち出して調べてしまった私でした。
多分、造語だろうと思っていましたが、ちゃんと載っていました。
曰く、「どんより」と同意、黒い物が固まりあって澱んでいる様子、とあります。
私は、この作品を直接読んだことはありませんが、その手紙の中に紹介されている、道具立てやコーヒーを入れている時の情景描写から察するに、この小説の中に登場するコーヒー、ほぼエスプレッソに間違いありません。
ここでもまた物語の中でコーヒーが、絵になる風景を演出しているというわけです。





 エスプレッソで入れるどんみりコーヒー
エスプレッソは、イタリア語で「急ぐ」の意、その言葉どおりエスプレッソコーヒーは速いのが身上です。
電気式のエスプレッソマシンで入れるのが一般的ですが、直火ポット式の道具も趣があっていいものです。
豆は、イタリアンローストと呼ばれる超深炒りのもので、見た目はほとんど真っ黒で油分が滲み出して表面がテカテカしています。
これをまた特別細かく粉に挽いて使います。
エスプレッソコーヒーは、沸騰した湯と蒸気の圧力で抽出しますので、非常に短時間で抽出されます。
しかも、フィルターはドリップ式のような布製ではなく、漉し網のような金属製のフィルターですから、コーヒー液の中にはコーヒーの微粉末が混ざっていて、それこそ「どんみり」としています。
そのまま飲むと、ドロッとしていてたまらなく苦いという感じですが、意外に後味に残らないサッパリとした風味にはちょっと驚かされます。
「カフェ・カプチーノ」は、砂糖を入れて甘くし泡立てたミルクにエスプレッソコーヒーを混ぜ、シナモンパウダーを振りかけたものです。
また、「カフェ・ラテ」は直訳するとコーヒー牛乳の意で、エスプレッソコーヒーとミルクを混ぜた飲み物の総称です。
こんな風に、いわゆる「コーヒー」と呼ばれる飲み物も、世界中には実に沢山の種類があって、それを語りだせば全くキリの無い話になってしまいます。
ま、追々回を重ねる毎に、一つずつ紹介して参りましょうか・・・。



                               All Illusts by Machiko Aoki

価値ある情報



前に「モノづくり」という記事の中で、・・・ネット上で情報を作り出すことの簡単さに比べれば、モノづくりは手間暇がかかります。・・・と書きましたが、少し訂正させていただきます。
確かに、うわさ話や憶測を並べるだけなら簡単かも知れません。
しかし同じ情報と言っても、責任の持てる、また多くの人にとって価値のある情報を発信しようと思ったら、モノづくりと同等かそれ以上の労力と時間がかかるのですね。
時間と労力を費やして取材し、資料や文献を調査し、著作権などにも配慮を尽くすとなると、並大抵のことではありません。
私がこのブログに書いていることなどは、個人の意見を最大限良心に基づいて述べている範囲ですから、客観的価値という点では「無ければ無いで差し支えない。」程度のものに過ぎないかも知れませんが、それでもそこそこ手間暇はかけているつもりです。
さて、このブログに「庄内拓明の知のヴァーリトゥード」というサイトをブックマークしてあるのに気づいて、ご覧になった方もいらっしゃると思います。
takさんは、実は私の三十余年来の友人です。
彼の人柄をすっかり知っているから言うのですが、このサイトは本当に手間暇かけています。
アクセスの数の多さは、そのまま情報の価値を物語っていると思えるのは、きっと私だけではないと思います。
モノも情報も実は同じ、人がつくるもの、だからそこに注ぎ込まれた何かが大切なんだと思っています。

沈思黙考

忙しさの後、一息つける時間を得た時、あなたは何をしますか。
本を読む、音楽を聴く、映画を観る、外に出かける、人それぞれに状況によっていろいろだと思いますが、私は、本当に何もしなくて良い時間が与えられた時は、迷わず自然の風景の中で、あるいは静かな部屋の中で、沈思黙考することを選びます。
それで何を考えているのか・・・、それはご想像にお任せします。
そしてここもまた、沈思黙考した場所の一つでした。

ジンジャークッキー



食工房の焼き菓子には、たいてい何かしらスパイスワークがしてあります。
ジンジャークッキーは、名前からしてスパイス入りのクッキーですが、皆さんが思うほどクセのある風味ではありません。
よく「子どもに食べさせて大丈夫ですか?」と質問されるのですが、いわゆるジンジャー=ショウガの辛みはありませんので、小さい子ども達が食べても大丈夫です。
それより、ジンジャーの甘さを感じさせる香りのおかげで、砂糖控え目でも十分な甘さを味わった気分になれます。
甘い香りのするスパイスを使って砂糖控え目のレシピを考えるのは、健康志向に適っていますし、何より第一やっていて楽しい仕事です。
ジンジャー、シナモン、カルダモン、アニス、バニラ、ナツメグ、クローブなどを目的によって配合し使い分けています。
ジンシャークッキーでは、ジンジャー+シナモン少々、あとは秘密・・・です。



 ラベルにも遊び心を
最近はパソコンとプリンターのおかげで、手の込んだカラーラベルも簡単にプリント出来ますが、元になるイラストはすべて連れ合いの手描きです。
以前は、一枚ずつ色鉛筆でワンポイント色差ししていたこともありましたっけ。
春と秋で、木の葉の色を変えたり、キャラクターの洋服の色を変えたり、いろいろ遊んでいましたが、仕事量が増えてからはそういう遊びが出来なくなってちょっとさみしい気がしています。
でもまたそんな遊びを復活させたいと思っています。

バスクの子守唄を聴きながら。


                                 Illust by Machiko Aoki

食工房の作業場で、いつも音楽を流していることは前にも書きました。
パン生地にいい音楽を聴かせると、何となくパンの出来が良いような気がします。
早朝、こねあがった生地をホイロ(醗酵室)に入れると、いつも最初にかけるのは、バスク(スペインの一地方)の女性歌手Olatz Zugasti (オラーツ・ズガスティ)のblun blunka というアルバムです。
子守唄を集めたこのアルバムは、パン生地もお気に入りかどうか分かりませんが、私はとても気に入っていて、その中の9曲目がとても簡単な歌詞で曲も可愛らしいので、この曲は一緒に歌ったりします。
今まで全くなじみのなかったバスク語なので、発音がよく聞き取れませんが「アンマリシャンゴ アイタリシャンゴ ピーリンパーラン チャンチャンチャン」と聞こえます。
この文句をずっと繰り返すだけなんですが、いいですよ。
もちろん他の曲もみんな素敵ですけどね。
それから、余裕がある時はいつも曲に合わせてリコーダーを吹くんですよ。
そんな私を、「笛吹きパン屋」と呼ぶ知人もいます。
朝早くに、シャッターの閉まった店の中から聞こえて来る笛の音に、ご近所の方は気がついたでしょうか?


 プレーンロール
コロコロと丸く膨らんだロールパン、フィンランド語なら「プッラ」ですね。
赤ちゃんみたいに可愛らしく出来るのは、きっと子守唄を聴きながら醗酵したからにちがいありません。
プレーンの名のとおり、中に何も入っていませんので、いろいろな食べ方が楽しめます。
真ん中に深く切り込みを入れて、小豆あんをはさめばアンパンに、ジャムをはさめばジャムパンに、その他何でも自在にアレンジしてください。




 本日の食工房
今日は初めて、全く見ず知らずの方がインターネット上で食工房を見つけ、遠く新潟から場所を探し探し訪ねて来てくださいました。
いやー、驚きました。そしてうれしかったですね。
インターネットの影響力や使い方を、少し学んだような気がしました。