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今年は風邪を引いていません。

思い出す限り、今年になってから風邪を引いていません。

昨年は1月と3月から4月にかけても、風邪気味で体調を崩したことがあったのですね。

1月に風邪を引かなかったのは、それなりに健康管理が良かったからだろうと思っていますが、3月から4月の時期に体調を崩さなかったのは、震災の緊張感が続いて風邪を引くどころではなかった、ということなのでしょうか。


確かにそれはある、そんな気がします。


でも、風邪は引かなかったけれど、見えないところにストレスが溜まって、後になって何か出て来るのかも知れません。


まあ、何があってもおかしくない、今も非常事態が続いているのですから・・・。


とにかく毎日毎日が、とてもとても貴重な時間の積み重ねのような実感です。


重いと言うか、充実していると言うか、いつ死んでも惜しくない毎日を過ごさなくてはという気になっているのですね。


地震で揺れたのは大地だけではありませんでした。


私の心も大きく揺さぶられて、何かが変わったと思っています。

本当のところは、よく分かっていない

放射線の害について、実は何もかもが詳細に解明されているわけではないのですね。

今回の福島第一原子力発電所の事故に関して、この程度の放射線なら問題はないと言う人がいるかと思うと、もうすでに北半球はどこに行っても同じリスクだと言う人もいます。


今日までに、私が調べて理解したと思っている範囲のことについてまとめて見ました。


まず、ある程度正確に分かっているのは、極短い期間に大量の放射線を浴びた時の急性反応についてだけなのですね。


例えば、400mSvでは、白血球の一時的な減少が起こることなどが知られています。
100mSv以上では、確実に催奇形性つまり発がんリスクがあるので、危険範囲の閾値とされています。
ちなみに過半数致死のレベルは4Sv=4000mSv、100%致死は8Sv=8000mSv以上です。


※mSv→ミリシーベルト μSv→マイクロシーベルト Sv→シーベルト


これに対し、低線量(100mSv以下)と呼ばれる範囲の害については、正確なことはまだ分かっていないのです。
100mSv以下では、催奇形は確率的に発生することが、ある程度分かっているに過ぎません。

低線量になればなるほど、長い時間の経過と大量のサンプルを見る必要があることから、μSv台の放射線障害については、推測の域を出ないというのが本当のところです。


では、危険(リスク)を考えなくてはならない範囲はどの程度からかと言うことになるわけですが、その閾値を年間1mSvと決めているのですね。
武田先生も仰っているように、<参照>  年間1mSvは、全くリスクを考慮する必要のない線量と認識されています。


ここで重要なことは、年間1mSvが必ずしも科学的検証に基づいた数字ではなく、大勢の識者の見識を集めて議論の末、そのように決めた数字であるということです。


もう皆さんもご存じのとおり、放射線は自然界にも存在しており、私たちは年間1mSv以上の天然の放射線を浴びています。


元々危険な放射線を、さらに人為的に浴びることの無いようにという配慮が、年間1mSv以下という結果になっているわけです。
本当は、0 であるに越したことはないのです。


それでも一部には、年間1mSvの10倍あるいは20倍でも、多分何事も起こらないだろう・・・と言う学者もいるのですね。
  ※参照記事を見失って見つけられないので、見つけたらあとでリンクします。


実際のところそれがどうであるか、誰にも分かっていません。


今、一つ言えることは、これから十年二十年をかけて、フクシマがそれを実証するだろうということです。

何しろ、低線量と呼ばれる範囲のあらゆるサンプルが散らばっており、しかもそこに生身の人間がいて生活しているのですから・・・。


このことは、福島にいる私たちも他県の人も、否、世界中の人々全員が、事実として厳粛に受け留めなくてはならないことであると、私は思っています。

福島で生きて行くということ

福島が放射能に汚染された土地になってしまったことは、もはや否定し難い事実となりつつあります。
こんなことは、本当はとっくに分かっていたことだったのかも知れません。

国や東京電力が、ずっとウソを言い続けたため、事実を知らされなかった人たちが不必要な危険に曝されたことの責任を、今後一体誰がどのようにして償うのか、しっかりと見届けたいと思います。


ここ会津もまた、軽微とは言え汚染を免れているとは言い切れません。
事故前に比べれば、未だに2倍以上の環境放射線を観測しています。


土壌やそこから生産される農産物などが、どの程度汚染しているか・・・、規制値以下なら・・・という考え方は当然あるわけですが、その規制値が次々と緩められている現状では、私たちは一体何を信じれば良いのかわけが分からなくなってしまいます。


そしてまた実際にその場所で生活している私たちにとって、被ばく限度を勝手に緩和して年間20ミリシーベルトまで安全だと言われて、そんなことで安心出るわけはありません。


電離放射線障害防止規則という法律があって、一般公衆の被ばく許容限度は年間1ミリシーベルト以内(自然界から受ける放射線と医療行為のための放射線を除く)にすべきと決められています。


そして0.6マイクロシーベルト/毎時を超える場所は、管理区域に指定して一般公衆の立ち入りが制限されることになっています。


今は非常時なので、臨時にその限度を20倍緩和したと説明していますが、何のための20倍なのか?そこには疑い以外の何ものも生じませんね。
非常時だから、まさか20倍安全になったということですか??
とても安心には結びつきません。


※これらの詳しいことについては、武田邦彦氏のブログに詳しいので <こちら> 参照してください。


もう皆さまもご存じの通り、郡山市では市内の幼稚園保育所学校で表土を除去して、汚染レベルを画期的なほど下げることに成功していますが、県も文科省も不必要な措置だという見解ですね。


一体誰のための、何のための規制値なんだ!と憤慨に堪えないのは私ばかりではないと思います。
小さい子どもたちに対しては、大人とは異なる特段の配慮が求められることは、もうすでに多くの学者や関係機関の認めるところです。


会津若松市内の私の孫が通っている小学校では、例年通りこの時期の運動会を実施することになっているそうです。
諸々配慮の結果、昼食は屋外ではなく屋内でするようにしたそうですが、そんなことでどの程度の安全策になるのでしょうか。
それよりも、若干なりとも懸念があるのなら、この際きっぱりと中止または延期して、その間に表土の除去入れ替えをすべきです。


どうしてもそれが実現しないというなら、各父兄の判断で参加拒否があっても当然と考えます。


会津よりも数倍環境放射線値が高い福島市では、私の友人たちが測定器を用意して自主的に身の回りの放射線を計測しています。 

<参照>

また、公立の学校でいつまでも必要な対策が講じられないならと、私立の学校で独自に表土除去を敢行する決断がなされたそうです。 <参照>

こういう一連の流れを見るにつけ、もはや自分の生命は自分で守るという覚悟をせざるを得ません。


さてそこまで申し上げて、皆さまとしては食工房の製品に懸念はないのかと、当然の疑問をお持ちになると思います。


まず原材料ですが、地元産のものとして小麦と鬼クルミはまだ昨年度産のものを使用中です。
今年度の物については、検査を受けてその結果を見ますが、規制値云々ではなくND(検出されず)であることが条件と考えています。

ライ麦は、地元産の物が在庫切れになったため、カナダ産の物を使用中。
今年度産については、小麦などと同じ考え方に立ちます。

それ以外の原材料は、他県産か海外産です。


牛乳に関しては、会津中央乳業の「会津のべこの乳」を使用しています。

国の出荷制限の決定があった後、検査データを基に解除申請を行い、認められました。
もともと、この広い福島県内の一部で汚染が確認されたことを理由に、全県一斉の出荷制限を指示したことは無理があったと思っていますし、会津の乳業会社2社が連名で国に出荷制限の解除を申請した時の資料を見ても分かる通り、安全性には問題が無いと考えています。  <参照>


次に水質ですが、当地区の水道水には4月26日付で、ヨウ素セシウムともにND(検出されず)の結果が出ています。 <参照>
なお引き続き、今後のデータを注視しています。


そして作業環境や作業者については、手洗いなどの一般的な注意に終始していますが、出来るだけ早くガイガーカウンターを入手し、汚染の無いことを確認したいと思っています。


いずれにしても最後に一言申し上げておかなくてはなりません。


福島に暮らす私たちは、国や東京電力によって、故意か過失かは別にして、長期にわたる大規模な人体実験のモルモットにされようとしているのかも知れないということです。


一体誰がそんなことを望むわけがあるのですか!
そしてこんな犠牲が、何によって報われるべきか、皆さまもご一緒にお考えいただきたいと思います。

この49日間

震災発生以来49日です。

自分のこのブログを読み返して見て、分かってはいても唖然としてしまいます。
この間ずっと、震災の事と原発と放射能の事に触れない日は、ほとんどないのですね。
他に書くことが無いわけではないはずですが、それだけ震災とそれに続く原発のと放射能の状況に気持ちが捕われているということに、気が付かざるを得ません。


無理もないのです。
福島県にいる私たちにとって、軽い問題のわけはありませんから。


まあでも、こんな言い方は不謹慎かも知れませんが、この非常事態もある意味イベントだと受け止めて、緊張感を持続していけると思っています。


放射能のことも、もっと勉強しておけば良かったと思いますが、今からでもと、いろいろ資料を探しています。

今こんな資料に釘付けです。
http://www.taishitsu.or.jp/r-bio/index.html


原子力の平和利用を選択するのなら、その前にこれくらいは勉強して理解を深めておきたかったと思います。


今日はこの辺で。

孫の顔


翔君・0歳3ヶ月3週 


今日もいろいろなことがありました。

まずは早朝からのパン焼きです。
うれしいご注文にお応えして、少量多品目を焼きました。
食パン3種類、ロールパン2種類、堅焼き黒パン、プンパニッケル、みのりのパン、たまねぎパン、そしてクリングラ(プレーン、チーズ)。


本日はあいにくの雨模様でしたが、その中を三々五々ご来店いただきました。


午後、千葉にいる二男が、仕事で会津に来たついでだと言って、立ち寄ってくれました。
今大型トラックの運転手をしているのです。


それに合わせて会津若松市内にいる四男夫婦が、孫を連れて顔を見せに来てくれました。
昨年末に生まれた孫は、ちょっと見ない間にずい分大きくなっていました。


何でもないことのようですが、今日は孫の顔を見られて、とても幸せな気持ちになれました。


この子たちの未来を不安なものにしてはいけません。


まだまだ私にも役割があります。
隠居どころではありませんね。

放射能の二つの害

放射能の害その一は、放射線被ばくによる健康被害です。
これは数値で評価可能です。
もうすでに沢山の実例を基に研究がなされており、科学的に検証することが出来ます。


これとは別に、放射能にはもう一つの大変深刻な害が存在します。


放射線は、目に見えることはなくまた浴びても何の実感も伴いません。
  
   ※実感を伴うほどの強い放射線を浴びる時は、ほとんど即死ですから。


測定器で感知することはもちろん出来ますが、仮に高い数値が出ていても体には何の実感もないのが普通ですから、放射能の害というのは大変現実感の希薄な、しかしながら知らずにいたからと言って何の割り引きも無い、冷酷無比の悪霊のような害を及ぼすのですね。


そうです・・・。
放射能のもう一つの害とは、目に見えず体感することも出来ないことによる、無限大の恐怖です。
こちらは、本物の放射線よりさらに実体の無い、ある時には全く人の手に負えないとてつも無く深刻な代物となり得ます。
人の心を蝕むその害は、人から人へと恐ろしい速さで伝染します。


どうやら、その害はもうすでに蔓延し始めているようです。


でも考えてみてください。
何の実体も無いその害は、実は反応する人の心が造り出しているものだということを。


どうぞ今一度肝に銘じてください。
正しい知識を持つことで、その害を遠ざけることが出来るのだということを。

データは出揃って来た

震災発生以来40日、原発が危機的状況になって以来35日、国の情報公開に対する態度には全くガッカリさせられどおしでしたが、市民からの要望、海外からの圧力、また民間有志による自主的な測定データの公開などに促される形で、最近では詳しい測定結果が公開されるようになって来ました。


中には、「何だ、早くから測定してたんじゃないか!どうしてもっと早く公開してくれなかったんだ!」と言う例も・・・。


そんな中、一昨日あたりに発表された地域別の環境放射線モニタリングメッシュ速報値は、各市町村の複数個所において地上1m地点と地表面(地上1cm)の二地点の測定結果が出されているので、自分の居住地域の実態により近い汚染状況が分かります。


それによると、我が山都町の相川地区のデータも見られ、自分が密かに予想していたものと符合する結果でありました。 <参照>

それにしてもこうしたデータを見るにつけ、ますます線量計が欲しくなります。


放射線は目に見えないのはもちろん、においもまたその他何の実感も伴わないのですから、検知器以外に存在を確認する手段はありません。


ところで、測定器を入手したいと思いネットで検索していますが、需要が殺到しているためかどこも在庫切れになっています。
また混乱に乗じて、使い物にならないと思われる機種を販売しているケースもあり、なかなか油断がなりません。
いずれにしても、特需のせいか価格も高めで、しばらくは入手をあきらめるしかないと思っています。


それにしても思うことは、もっと早くにこうした情報は公開されるべきだったということです。
中には、いち早い避難の判断の参考になったはずだと思われるケースも見られるからです。


そして今出されたデータをどう判断するか、それは私たちが自分で引き受けるしかないと思っています。
そのために少しでも勉強して、自分の行動を自分自身決定するのでなければ、情報公開を要求する意味がありませんから。

むしろ問題は精神的疲労

震災以来一か月余りが過ぎています。

福島を除く他の地域では、着実に復旧復興に向けて動きがありますが、原発事故を抱える福島は未だに今後を思い描くことが出来ずにいます。


このことが、多くの方の精神的疲労を限界に近づけています。


毎日毎日、ふと気が付いて見ると、原発と放射能のことばかり考えたり話したりして一日が終わっている、そんな日々が続いているからです。


食工房にご来店くださる方々のお顔にも、お疲れの様子が見られます。


お迎えする私たちも、ひょっとすると疲れた表情をしてはいなかっただろうか、ふと思い出しては気にかけています。


無理もありませんね・・・。


こんな時、やはり一番の慰めになるのは、自然の営みに触れることじゃないでしょうか。

福寿草まつりは中止になりましたけど、福寿草を見に来られる方は沢山いらっしゃいます。
もうすぐ沼のほとりの「鏡桜」も咲くことでしょう。
逞しい植物たちは、何事も無いかのようにいつものように芽吹き、花を咲かせるのですね。


昨日、郡山からいらした方も、こちらはまだ空気が清々しく感じられると仰って、深呼吸をしていました。


まだ真っ白に雪をいただいた飯豊山の姿が、ことさらに美しく見えるのもこんな状況だからでしょうか。


放射能の害は物理的で割り引きの仕様は無いのかも知れませんが、心の疲れは癒す方法があるような気がします。


 



2008年春・地元、相川の桜です。






  今週のクッキーとマフィンのおしらせ


今週は、ジンジャークッキーとどろんこクッキーとバタービスケットを焼きました。
他に、コーヒークッキーの在庫があります。


マフィンは、シマリス君の朝ごはんとココリスの予定です。

ちょっと言葉を失っています。

何と言ったら良いのでしょう・・・。
震災の余りの大きさと、原発事故の途方もなさ。


否、何から何まで悲観しているのではありません。


今、ちょっと言葉を失っています。


昨年の今頃、こんな記事を書いていたんですね。<参照>


それはそれとして・・・。


私の従兄弟の写真ブログに、今回の震災に寄せて打たれる言葉がありましたので、ご紹介しておきます。
 
 「四国の山村と自然を撮る」


それからもう一つ・・・。

※頭が変になったと言わないでください。

かの福島第一原子力発電所の構内に、何かしらでも祠のようなものがあったでしょうか…?

以前、原発にもお稲荷様が祀ってあるとかないとか、小耳に挟んだ記憶があるのですが、真偽のほどはどうだったのでしょう。

私には、とても重要なことに思えます。

これからのこと

今日また大きめの余震に驚かされました。
こんな風では、なかなかこれから先のことを考えることが出来ません。
でも私は、こんな状況の中でも日常に戻っていつものように仕事をすることにしました。


物流も復旧しましたし、電気も水道もガスも万全ですし、電話もインターネットも支障ありませんから、ただ心配なのは原発と放射能汚染の状況ですが、それは警戒を怠らないという前提においてほぼ大丈夫だと判断出来るからです。


一方で、高い緊張感と情報収集の努力を持続しなくてはならないことは、言うまでもありません。


皆さまが毎日召し上がる食物を製造している者として、安心安全なものを提供することは、何より最前提ですから。


それで一つ、私の予想していることですが、放射能汚染は今どんどん広がりつつ平均化しつつあるので、これからしばらくすると日本中どこでも、平常値以上の線量が継続して観測されるようになるでしょう。


福島が一番高めなのは仕方がないとしても、それも時間と共に周辺との差が縮まって行くはずです。


相変わらずまだ放射性物質が放出され続けていますので、それがいつまで続くか、それまでにどんな種類の放射性物質がどのくらい出るか、その総量はどれくらいになるかで汚染の規模が決まるということです。


最終的に地球全体に拡散して薄まって、いつの日か無害と言える状態になるとは思いますが、それまでにどの範囲にどの程度の害を及ぼすのか、それは誰にも分かりません。


でも、自分はどの程度の害を受けた可能性があるか、それはある程度正確に計算出来るので、そのために必要なデータはずっと記録しています。


これからは、毎日放射能に関する情報をチェックするのが日課になると思っています。


どうしてこんな酷いことになったのか、その原因や責任については後々明らかにされなくてはなりませんが、なってしまった事態はとりあえず一人一人が受け留めるしかありませんから、ある意味これからは被曝しながらでも生きて行く覚悟をするしかないと、私自身はそう思っています。


今日は娘たちに買い物を頼みましたが、じゃがいもの種芋と大根ととうもろこしの種も買って来てもらいました。


畑は、もうとっくに雪が消えて、私たちが出て来るのを待っているようです。








  原発に関する情報源です。


武田邦彦氏が、テレビ番組に出演されたそうで、You Tube で見ることが出来ます。
私には、大変分かりやすくまた正論だと思われました。