日別アーカイブ: 2013年6月2日

悪豆拾い・10缶

今日は、ご注文に応じて急遽スコーン焼きを一回。
その後はブラウニーを焼き、それからコーヒー豆の選別にかかりました。

今週は、あちこちからご注文をいただいており、量にして11kgほどの生豆を選別しなくてはなりません。
いつも一工程(一釜)分を一個の缶に入れて作業しているので、今日は都合10缶ありました。
副業と言うには多過ぎる量ですが、ご注文いただいているのですから、やらない手はありませんね。

このコーヒー豆の選別というのは、なかなか奥の深い仕事で、誰でもすぐ出来る一面、知れば知るほど意外に難しいことが分かって来ると言う、一筋縄では行かない仕事なのです。
もう何度も申し上げていますが、選別はコーヒーの味を良くするためにやっています。
しかし、選別の精度が上がらないと、その効果も程々のところで留まってしまいます。

的確な選別をするためには、これももう何度も申し上げていますが、経験と勘に頼る以外方法はありません。
機械化する方法、マニュアル化する方法、いろいろ考えて見ましたが、そんな簡単には行きません。
比重による選別、色による選別、粒度による選別、どれも豆の欠点を感知するファクターとして決定的ではありません。

では、コーヒー豆のどこを見ているかと言うと、果実としての熟度・乾燥遅れによる発酵・虫食い痕・亀裂と割れ・カビの発生、こうした要素を目視で判断します。

これらの中で、一番難しいのは果実としての熟度を見抜くことです。
農産物としての果実としての、健全性を見なくてはなりません。
しかしこれは、米や麦、豆や雑穀など、粒物に数多く接して来た私にとっては、そんなに難しいことではありません。
乾燥遅れによる発酵の方が、むしろ頭を悩ませます。
それは、はっきりここまでここからという線が引けないからです。
完全に変色変質しているものは迷いなく落とせますが、中間的な段階が連続的に存在していますから、そこは経験によってこのくらいまでというラインを自分で決めなければなりません。

それに比べれば、後の三つは誰でも眼で見て分かる要素ですから、簡単と言えば簡単。
一つだけ難しいのは、小さい虫喰い穴から内部にカビが回っている時です。
これは、外見で分からないこともあります。
これも、今までに疑わしいものをカッターナイフで切り割って内部を確認するなどして、経験値を蓄積してきた結果、まず見落としはないと自負しています。

私のコーヒー豆選別に関わる哲学は、基本「疑わしきは全て処分」です。
今日の作業で出た結果は、5銘柄平均で欠点混入率が約9%でした。
我がスタッフたちも、以前に比べて格段にスキルアップしてくれたので、作業時間は大幅に短縮しています。

ちなみに、「おいしいコーヒーの真実」の中に登場したエチオピアの女性は、選別作業を一日0.5㌦の報酬で、一人当たり生豆60kgを一日10時間近くかけてやっていました。
今でもそうなのでしょうか・・・。

私たちの今日の作業では、私と上の娘とスタッフ宮下さんの3人で、約3時間ほどかかっています。
作業内容が必ずしも同じではないので、一概に比較は出来ませんが、私たちはずい分悠長にやっているし、上等に報酬ももらっていると言わざるを得ませんね。
でも、コーヒーの味は確実に良くなっていると自負しています。

食工房の自家焙煎コーヒー、本業ではないからと言い訳はいたしません。

ぜひ、貴方の舌でお試しを!