食工房のパンだより」カテゴリーアーカイブ

Meet the Wheat 山都産小麦



小麦色とは、まさにこの色合いのことです。本当に美しいと思います。


先日、当山都町内の農家の方から、小麦があるので食工房で原材料として使ってみませんか、というお申し入れをいただいていました。
今日、その方が小麦原穀と自家製粉した小麦粉を持参して、わざわざご来店くださいました。
今日、とりあえずサンプルにいただいたのは、「あおば」という品種です。
業界の方なら良くご存知のはずですね。
国産小麦の中では、比較的製パンに向いているとして、一頃もてはやされたこともある小麦です。
その方は、私などよりずっとお若い方ですが、地域の農業の行く末を真剣に悩んで、いろいろ考えていらっしゃる方です。
小麦の栽培も、遊休農地が荒れ放題になっている現状を、見るに耐えないお気持ちから思い立たれたそうです。
小さなパン屋の食工房が、地域の農業の将来に果たしてどの程度貢献出来るか分かりませんが、少しでもこの小麦を役に立てられる方法を考えたいと思っています。
さし当って、全粒粉に自家製粉出来ますので、早速現在使っている粉にブレンドして、何種類かパンを焼いてみようと思います。
地元の原材料で製品が出来ることは、以前から私が望んでいたことでもありますので、今後山都産小麦のパンがメニューに乗ることは、これでほぼ確実となりました。
どうぞ皆さま、今後の取り組みにご期待くださいますように。

 おしらせ
Blue Lace の黒田真理さんの服、入荷しました。
☆麻100%のちよっと短かめゆったりパンツ
☆綿・麻混紡のブラウス、チュニック
☆麻100%のスカーフ まりさんが、丁寧に横糸を抜いて作ったフリンジがとてもきれいです。
  ※例によって、気になる方はお早めにご来店ください。

試作品です。



新製品を試作しました。




コンセプトは、旅の行糧


先日の話題に申し上げた、クルミとドライフルーツ入りの堅焼きパンです。
他に、ライ麦全粒粉20%とオートミール10%入れています。
油脂分は入れていません。
食工房では、このスタイルのパンは初めてですが、出来上がりは、まあいいんじゃないでしょうか。
明日から、ご来店の方に試食していただいて、率直なご意見を伺うことが出来ればありがたいと思っています。
山行き用の携行食として、カロリーとミネラルを効率よく供給出来て、且つ日持ちがするように、しっかり焼き込んだつもりですが、一日経って明日どんな食感になっているか、自分でも試食してみようと楽しみです。
ただし価格の方は、まだ詳細なところを計算していませんが、かなり高くなりそう・・・。
材料を考えると、こればかりは仕方がありません。


  キーマ・ダルカリー




今日の夕食でした。
つくり方は明日のブログで。

パン生地に追いかけられる!

おかげさまで、このところは、そこそこの数のパンを焼いています。
それにしてもまあ、毎週木曜日の忙しいこと!忙しいこと!
それでもちゃんと時間内に仕事がこなせるなら、むしろ嬉しいくらいです。
ところが力量不足というか、修行が足りてないというか、あるいは・・・、そもそもこれが限界なのか、どうしても時間が押して来るのですね。

そして6月、7月と少しずつ気温も高くなり、作業場は朝一番から25℃以上、オーブンを使っている時は30度超ですから、パン生地は保温しなくても、どんどん醗酵が進みます。
時間調整のために、醗酵が遅くなるよう涼しいところに置いたつもりが、全く予測が外れて醗酵が進んでしまい、次の工程を作業しなくてはならなくなって大慌てすることもあります。
それでも手が間に合えば、どうってことはありません。
ハイテンションでバリバリ仕事をするのは、体の調子が悪くない限り、私にはむしろ快感です。

ところが今日は、もう一つ困ったことが起こりました。
手順良く生地の成型を終えたところまでは良かったのですが、次々焼き上げていくうちに最後になって、先に焼いているものが釜から出る前に、もう次のパンを釜に入れるタイミングになってしまったのです。

食工房のオーブンは、上下二段あってそれぞれ独立して使えますので、こういうことは滅多に起こらないのですが、今日は二段とも塞がっていました。
いやはやこういう時の気分は最悪ですね。
自分のがんばりでどうにかなるものではありませんからね。
ただ気を揉みながら待っているしかありません。
それでも今日のところは、全部自家用という最悪の事態は避けることが出来ました。
もっとも、幾つか自分たちのおやつになりましたが・・・。
このところ醗酵がスムーズなおかげで、全体としてはパンの出来がとてもいいのが何より嬉しいです。
この次からは、またもう少し手順を考えてやろうと思っています


お暑うございます。

このところまた晴天続きで、暑さも一段と増して来ました。
昨日も今日も日中は真夏日だったそうで、皆さま方の食欲にもそろそろ影響が出始めたのか、このところ黒パン系の食感の重いパンが売れ難くなっています。
本当は、ローカロリーで、少なく食べてなお且つお腹の持ちも良い黒パンの方が、暑い時期に向いているのですが、食感がまず敬遠されるみたいですね。
しかしそれも、食べ方次第でずい分違うはずですので、そのへんのことをお伝えして行くのが、これからの課題かなと思っています。

パンは、その場で器も何もなくても、直ぐに食べられる手軽でしかも栄養的にも優れた食品です。
今日、よく山登りに行く方から、ドライフルーツとクルミがたっぷり入っている堅いパンは焼かないの?と訊かれたのですが、携行食としてもパンは大変優れた特性を備えているのですね。

毎年夏になると、飯豊山に登りに来るある方は、行きがけに食工房に立ち寄って、堅焼き黒パンを1本買って行かれます。
翌日、日帰りで山頂を踏んで山から下りて来ると、また立ち寄ってお土産にパンを買って行かれます。
お伺いしたところ、早朝から休まずに一気に登って下りて来られるそうで、お腹が空いたら黒パンをかじりながら行くのだそうです。
多分今年もお出でになるだろうと、私もお顔を見られるのを楽しみにしています。

そうですね・・・。
今日言われた、ドライフルーツとクルミ入りの堅焼きパン、焼いてみようかなと思います。
そんなに沢山売れなくても、日持ちすることだし、季節限定の登山家ご用達特別メニューでもいいですね。




堅焼き黒パンとプンパニッケル



そうそう!7月10日から8月いっぱい、「夏こそパンだ!キャンペーン」を実施いたします。
ご来店の方には、期間中パンを1,000円以上お買い上げいただくと、その分につき2倍のポイントが付きます。
さらに、期間中にポイントが満点になった時は、通常500円のところ、600円分の値引き交換券として使用いただけます。
通販ご利用の方にも、パンのご注文が1,000円以上の場合、その分につき、通販クーポン券を2倍差し上げます。

さて、明日はまたカリーソースのつくり方です。
「ひよこ豆とレンズ豆のダルカリー」をご紹介します。

マフィン型


食工房のマフィンを焼く時に使っている焼き型です。
今は、こんな焼き型より使い捨ての紙カップ型で焼いて、そのまま販売しているお店が多くなりました。
確かにその方が、格段に効率が良いのです。
こうやって型拭きするのに、焼く時よりずっと長い時間かかりますから。
紙カップ型の価格と型拭きする時間的コストと、どっちが大きいかなどと言い始めると、ひょっとすると紙カップ型を使った方が良いのかも知れません。
あとは好みの問題ですね。
私は、5年使ってやっと黒光りして来た鉄の風合いがいとおしくてたまりません。
そして一種類一回に付き30個分は、ご覧のようにちょうど4段積みできれいなピラミッドになるのです。
今日は、こんな他愛もないことが案外楽しみで、型拭きをしている自分に気がつきました。
忙しい仕事の最中にも、正直このぐらいの余裕は欲しいです。
でも、あまり悠々としていたのでは食べて行けませんし、バランスが難しい・・・。

ナン



食工房のナン 35cm×10cm
1枚 110円


今日もカレー絡みの話題です。
インドでは、カレーと言えばナンです。
小麦粉に酵母を入れて練った生地を薄く伸ばして焼いたパンみたいなもの。
米と並んで主食として食べられています。
本来は、タンドゥールという石窯の内壁に張付けて焼くのですが、うちはパン屋なので、鉄製の天板にのせてオーブンで焼いています。
ご家庭で直前に焼き直して、熱いところを召し上がっていただけるよう、少し焼きをひかえ目にしてあります。
本当は、生の生地から一気に焼き上げて、溶かしバターの分離した油だけを塗って、カリーソースを絡めて食べると最高です。
いくら夏暑くても、ナンはさらに熱々の方が絶対いいです。

食欲が落ちる季節、ナンとカリーソースで、しっかり食べて元気を出していただきたいと思っています。
ちなみにナンは、牛の舌を模した形なのだそうです。

天然酵母パン





おいしそうなパンだと思われた方
食工房へおいでください。<こちら>



今やすっかり一般に認知された感のある「天然酵母パン」という呼び名。
私も自ら「天然酵母パン」と称するパンを焼いていますが、皆さんがこの「天然酵母パン」というものをどのように理解していらっしゃるのか、最近とても気になっています。
私たちは、たいてい「天然」とか「自然」という言葉に良いイメージを持っていますので、「天然」「自然」を冠した名称に、何となく好印象を抱いてしまいます。
もし、明確な定義や正しい理解がないままに、「天然酵母」や「天然酵母パン」という呼び名を使い続けていると、いずれ必ず足元をすくわれることは間違いないと考えています。
そう思って、インターネット上に氾濫している「天然酵母」「天然酵母パン」に関する情報を手当たり次第に閲覧していますが、残念ながら、ちゃんと説明出来ている論説には未だお目にかかれません。
逆に、「天然・・・」の名称に批判的な論説の方が、説得力があるような気さえします。
ここで少なくとも食工房の天然酵母パンについて、私の持論を申し上げておく必要があると感じました。


 「天然」の前に、そもそも「酵母」とは?

酵母は、糖(ブドウ糖、果糖などの糖分)を分解して、水と炭酸ガスとアルコールなどを生成する微生物です。
自然界に普遍的に生息しており、それを私たちは醸造やパンづくりなどに利用しています。
自然界に生息している酵母を、いつでも使いやすい状態に維持管理する方法は、世界中に沢山あります。

 「天然酵母」と「イースト」

本来、酵母は天然、自然の産物なのですから、わざわざ天然の名を冠する必要はありませんでした。
イーストが区別されるようになったのは、第一次世界大戦当時、戦時下のドイツにおいて、短時間のうちにパン生地を醗酵させるために、工業化学的手法によって醗酵環境を管理して、純粋培養された酵母が使われるようになってからです。
それまで酵母の醗酵は、果実や穀物そのものから時間をかけて培養されていたのであり、もし醗酵初期に雑菌が繁殖すれば失敗してしまう、大変扱いの難しいものだったのです。
イーストでは、醗酵力の強い菌株を選び、且つ化学的手法で醗酵のための環境をつくります。
雑菌の繁殖を防ぐためにpHを下げたり、中和したり、イーストの活性を高めるためにイーストフードと呼ばれる薬品も使われます。(現在は、ビタミンC・L-アスコルビン酸が使われていますが、以前は臭素酸カリウムが使われた。※現在は危険であるとして禁止)
イーストは、酵母の醗酵過程の中の炭酸ガスを発生するところのみに着目して開発されたものであり、単純に膨らめばいいという発想です。
しかしパンの風味は、自然な状態で醗酵が始まり、時間をかけて熟成して行く過程で醸し出されるものなので、イーストを使うことにより、それまでの風味豊かなパンは造れなくなってしまいました。

その後の時代、食品製造が次々と工業化されて行く中、その利便性ゆえ、イースト使用はパンづくりの主流になりました。
その一方で、パン食文化の層の厚いヨーロッパでは、伝統的な直接天然に由来する酵母を使うパン屋が生き残り、最近になればなるほど見直されているという状況です。

 威儀を正しておかないと・・・

さてここで、少なくとも私が「天然酵母」という時の「天然」とは何かということを申し上げておかなくてはなりません。
それは、あらゆる化学的プロセスを排除し、直接天然、自然に由来する醗酵過程を踏むことであるということです。
世の中には、定義も曖昧なまま「天然」「自然」の名を冠することに、不快感を露にする人々が少なからずいるということを承知して威儀を正しておかなければ、いずれ「天然酵母パン」という名称は使えなくなるかも知れない思っています。

※食工房の自家培養酵母についての記事があります。
ご参照いただければ幸いです。
<こちら>からご覧いただけます。

いい口実



本業の他、農作業、マキ割り、大工仕事など何でもやってしまうオーナーさんです。


木曜日はパンを焼き上げた後、配達に回ります。
毎週、おなじみの農民連直売所の他何ヶ所かを回って来るのですが、今日は、コーヒー豆を届けに「カフェ・けむりの木」まで足をのばしました。
おじゃましたいと思っていても、日頃はなかなか時間がとれず、しかもいつも、ご注文のコーヒー豆はこちらまで受け取りに来てくださることが多かったのです。
今日は私の方が都合が良かったので、お天気も良い中、夕方の日差しが残っているうちにお訪ねすることが出来ました。
配達の途中ということもあり、ゆっくりしているわけにはいきませんでしたが、冷たい飲み物をごちそうになり、眺めの良さを堪能し、オーナー手づくりのブルーベリー入りのパンのお土産までいただきました。
忙しい合間に、すてきな小休止をはさむことが出来ました。

☆「カフェ・けむりの木」の紹介記事があります。<こちら>からご覧ください。

静かな月曜日、スパイスワークの一日

今日は、パタッと客足が途絶えて、お見えになったのはお二方でした。
商売をしていると本当にいろいろなことがあり、お客さまの多い少ないに一々一喜一憂しているわけには行きません。
逆にこういう日は、途中で手の離せない仕事をみっちりとこなすチャンスです。
実は昨日から準備をして、今日はカリーマサラを調合することに決めていましたので、いい計らいでした。
昨年の7月に100袋分調合して、一年持たずに売り切れましたので、早くつくりたかったのです。
今回は張り切って、150袋分に増やしました。




ホールスパイスは、オーブンでサウナ(高温浴)してからつかいます。




グラウンドスパイスは、ふるいにかけておきます。




大型のミキサーが、ちょうどいい具合に役立ちました。




よく混ざると、全体がターメリックの黄色に染まります。


日頃はパンやお菓子を焼いているオーブンは、今日はスパイスのサウナ用に活躍しました。
天板やボール、秤なども、全ていい具合に役に立ちます。
ホール(原形)スパイスを粉に挽くのにも、製粉機が活躍しました。
そして、調合したあとの攪拌は、パンこね用のミキサーでやりました。
これもあつらえたようにいい調子でした。
まあこういう具合なので、いろいろやりたくなるのは仕方ありませんね。
忙しいと言いながら、いろいろやりたい気持ちに歯止めをかけるのは、どうやら私には無理なようです。
本当は、強烈なスパイスの香りがついてしまうので、後始末がとても大変ではありますが・・・。

おかげさまで食工房のカリーマサラは、少なからぬ方にご好評をいただいておりますが、まだまだ多くの方にお試しいただきたいと思っています。
近々、このカリーマサラを使ったカリーソースのレシピなどもご紹介いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
食工房のカリーマサラは、1袋100g入 カリーソース約60皿分つくれます。
お値段は、1袋 800円です。



クリングラとビアカクテル



クリングラ・チーズ


北欧スウェーデン渡来のクリングラ、食工房では、オリジナルなアレンジで二種類のクリングラを焼いています。
ミルクとバター入りの軽い塩味の「クリングラ・プレーン」、エダムチーズをたっぷり入れて塩味をきかせた「クリングラ・チーズ」。
いろいろな食べ方、楽しみ方がありますが、ビールのおつまみに召し上がると、なかなかよろしいです。

今日は、皆さんにご紹介しようと思い立って、自ビールベースのビアカクテルをつくってみました。
クリングラとの相性もバッチリ。
ぜひぜひ、おためしください。

 それでは、つくり方です。


まず、レモンか柚子の果汁を用意します。
ハチミツまたは白砂糖を混ぜて、十二分に甘みを付けます。
これを炭酸水で3倍くらいに割ります。
グラスに、ビールと炭酸で割った果汁をお好きな割合に注いで出来上がりです。
アルコール度数がグッと低くなりますので、普段お酒を召し上がらない方でも、気持ちよく飲めると思います。
ホップの苦みと香りは、柑橘系の香りと大変相性が良いのです。
適当に甘みを付けることで、苦みもやわらぎます。
食事の合間に、お水代わりに召し上がるのもいいと思います。



左は、昨年夏に仕込んだ「ピルスナー」。
オールモルトです。
熟成が進み、酸味が切れていい味になっていました。
右が柚子エード。
故郷高知からいただいた柚子果汁とハチミツと炭酸水をミックス。



今回は、同割りのカクテルにしてみました。
とても軽ろやかな味わいで、いくらでも飲めそうな感じです。
もちろんおつまみは「クリングラ・チーズ」。


一年に数回しか酒を口にすることがなくアルコールに弱い私ですが、これなら気分良く飲めます。