食工房のパンだより」カテゴリーアーカイブ

賞味期限にもの申す。



条件が良ければ、1ヶ月は食べられる堅焼き黒パンです。


食品商売をしていると、否が応でも賞味期限のことがいつも気にかかります。
食品に関わるトラブルの大半は、この賞味期限をめぐるものだからです。
そもそも、賞味期限というものが正しく認知されていないことが根本原因だと、私は考えています。
で、賞味期限は、これはあくまで目安に過ぎないということを、みなさんどうぞしっかりと覚えておいてください。
製造日は、はっきりその事実があった日として確定的ですが、賞味期限は確定不可能な概念です。
その食品の保存状態如何で、どのようにも変化してしまう賞味期間を、期限をつけて保証しろというのは、どだい無理な話です。
そこで私たち製造者は、いつも大きな矛盾に苛まれることになるわけです。
事故のリスクを背負わないためには、賞味期間は短い方が良く、売れ残りのリスクを背負わないためには長い方が良いという、相反する二つの条件の間で、苦渋の判断をすることになります。
実際保健所の指導では、賞味期限は、その食品のことを最も良く理解しているはずの製造者が、自分で判断して決定することになっています。
決して、「食パンは何日」などという、ガイドラインがあるわけではないのです。
ですからたいていは、絶対大丈夫だと思える期間よりは、大分短めにしているというのがほとんどです。
その証拠に、私などはいつも賞味期限切れの売れ残り品を食べています。
製造物責任法を背景に、この賞味期限というものが持ち出されて来たわけですが、食品に関してのその意味は、期限内に起こった製品の損傷は製造者が責任を持つ、期限後は購入者の責任ということになります。
賞味期限を過ぎたものが、ただちに不可食かどうか、それは全く関係のない話だということを、ご承知いただきたいと思います。

食工房の一週間


食工房にご来店くださる方、遠方からご注文くださる方のために参考になるかと考え、現在の食工房の一週間のスケジュールをお知らせいたします。

食工房の一週間は、木曜日から始まります。

(木) パン焼きの日です。
全品目が焼き上がるのは、午後2時頃になります。
食パン、ロールパンは、お昼頃には焼き上がっています。
農民連直売所へ納品に行きます。(午後4時半頃)
ご要望があれば、山都町内、近隣へも配達します。

(金) スコーン、マフィンを焼きます。
だいたい午前中に焼き上がっています。
午後は、クッキー、ケーキなど、その時々のご注文や在庫状況に合わせて、臨機応変に仕事をします。

(土) パン焼きの日です。
木曜日と同じですが、堅焼き黒パンとプンパニッケルはお休みです。(木曜日のものを販売しています。)

(日) 焼き菓子の日です。

ご注文や在庫状況に合わせて、仕事をしています。

(月) 予備日です。
基本的には、焼き菓子を焼いています。
状況により、コーヒー豆の選別や焙煎の仕事に切り替わることもあります。
※パンとマフィンの簡易包装品は、全品2割引きになります。

(火) 定休日です。
ご注文の受付けや、ご連絡への対応はしています。

(水) 定休日です。
翌日のパン焼きに備えて酵母の培養にとりかかります。
コーヒー焙煎は、ほとんどこの日にやっています。

先日の<記事>の中で申し上げましたが、食品製造販売業にとって営業上一番大切なことは、出来るだけ売れ残りを出さないようにすることです。
ロスがなければその分、価格に還元出来るからです。
しかし、店の努力だけではどうしても限界があります。
お客さまのご協力があれば、ずっと実現の可能性が高くなります。
このスケジュールを参考に、ご注文やお買い物の予定を立てていただければ、焼き立てをお求めになることも出来ますし、定休日前の処分品を狙っていただいても結構です。
またこのブログで、単発的な製造品や試作品の情報をお知らせすることもありますので、時々覗いてご活用いただければありがたいと思います。
製品値上げには、とことん抵抗して行きたいと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。

クリングラ



クリングラ
アッベ少年が焼いているのと、
ほぼ同じものを再現してみました。


今日はトントゥに厳しくブレーキをかけられているらしく、スムーズに運んだのはクリングラだけでした。
これだけは、とてもうまく行きました。
「長くつ下のピツピ」の作者として有名なリンドグレーンの作品、「おもしろ荘のこどもたち」の中に、アッベ少年が、甲斐性のない親に代わって、クリングラを焼いて生計を立てているという件が出て来ます。
このクリングラを、食工房のメニューに取り入れられないかと、試作に及んだというわけです。
バターとミルクを練りこんで、酵母で発酵させた生地は、いつもながら本当に風味豊かでうれしくなります。
これを細長いひも状にして、クルッとひねって結び目のように形をつくります。
この愉快な形にも、実はとても理に適ったところがあるのです。
それは、焼く時に火が通りやすいということです。
そして、小さいのは芯までカリッと焼けてビスケットのようになりますし、大きいのはパンのようにふっくらとさせることも出来ます。
主食にもオヤツにもなります。

さて、これをどうやって商品にするか、それが問題です。
同じ大きさにそろえて、1個いくらと決めるのが良いか、大きさはバラバラにして計り売りするのも面白そうだけど、ちょっと大変かなと思ったり・・・。
もうあと何回か試作して、食べ方も研究してみましょう。
今日は、クリングラと同じ生地で、細長い棒状のパンも焼きました。
こちらも商品になりそうです。

ところで今日は、もう一つ、裏の仕事がありました。
確定申告のための計算書の作成です。
いやはや、これだけは何年やっていても好きになれません。
そもそも、記帳するというのが苦手です。
ちゃんと帳簿が出来ていないので、今になって余計大変なことになるわけです。
それでも今回は、今まで手を出さなかった「エクセル」が、妙にすんなりと理解出来そうな気がしましたので、思い立って使い始めています。
ひょっとすると、これは私にとって画期的な出来事になるかも知れません。

トントゥのはからい?

先日、コーヒー焙煎機が故障したあたりから、どうも仕事にいろいろと支障が起こって、「休め!」とメッセージが来ているようです。
そんなことを言われても・・・と思っていたら、発注するのを忘れていたために材料が無くなってしまったり、まだまだあると思っていた包装材料が、いつの間にか底を突いていたりで、とうとう明日明後日は、通常のスケジュールどおりに仕事が出来ないことになってしまいました。
これではもうどうしようもありません。
時間が来て店じまいをしている時、「ああ!ひょっとしてトントゥ(フィンランドの妖精小人)のはからいかも知れない。」と思いました。
それにしても、どうしてこんな時に仕事をさせてくれないの・・・と、そのわけはきっと少し後になってから分かるのでしょうね。
まあ、そうは言っても、クッキーもスコーンもマフィンもみんな揃っていますし、パンも一応あるし、お店は開けていますので、どうぞよろしく。

それで明日は、クリングラというものをつくります。
かわいらしいサイズのカリッとしたタイプから、特大のパンタイプまで、いろいろやってみます。
興味のある方、試食して見たい方、どうぞいらしてください。

そうそう、それでコーヒー焙煎機の方は、首尾よく翌日には直ったのでした。

トントゥって何?という方には、この写真を。




彼らが、はるばるフィンランドからやって来たトントゥです。

当分、値上げは見送ります。

このところ材料費、光熱費、車の燃料代など、が次々と値上りしていて、製品の製造コストは上昇する一方です。
もうとっくに価格の改定をしなくては厳しい状況で、先月の「パンだより」の中で、そのことへのご理解をお願いしたところでしたが、コストの上昇はまだまだ続きそうで、今後のことが見定められません。
一旦値上げして、その後すぐまた値上げをお願いするようなことになったのでは、お客さまはもちろんですが、食工房としても大変困ります。
最大限の営業努力をして、当分は現状維持で行きたいと考えていますので、皆さま方には更なるご愛顧のほど
お願い申し上げます。
そこで正直に申し上げますが、食品製造業は売れ残りなどのロスさえなければ、もっとずっと価格を下げてもやって行けるのです。
しかし実際には、それはとても難しくて大変なことです。
そのへんのことについて、さらにいろいろ知恵をしぼってみたいと考えております。
今後とも食工房を、どうぞよろしくお願いいたします。

  本日の食工房

酵母は絶好調、パンの出来も上々。
明日は、マフィンとスコーンです。
今日は、その下準備もあって、早朝から夜までずっと忙しくしていました。

山の子クッキー



山の子クッキー
これも正統マクロビ.メニューです。


今日は、「山の子クッキー」と「どろんこクッキー」を焼きました。
両方とも飛び切り手間のかかる、非効率的製品です。
特に山の子クッキーは、重曹とリンゴ酢を膨張剤として使うので、反応時間の関係で、一度に沢山つくることが出来ません。
ですから、山の子クッキーが品切れしていないということは、食工房は少し暇になっているということです。
とは言え山の子クッキーは、他のクッキーにはない特長があって、食工房としては一押しのメニューとして、いつも棚に並べておきたい商品なのです。

その第一の特長は、ノーシュガーであるということです。
それでも、ドライフルーツのカレンツ(フサスグリの一種で、レーズンよりも格段においしい。)を、ザランザランするほど沢山入れていますので、甘みは十分あります。
そして、クルミをあら砕きしたものとオートミールで、コクのあるおいしさとザクザクと心地良い食感を実現しています。
マクロビオティックメニューとしても、申し分のない「山の子クッキー」です。
ただ一つの難点は、いい材料をふんだんに使用するため、価格がどうしても高くなってしまうこと・・・。
それほど大盛りでもないクッキー1袋に、550円も出していただくのは気が引けますが、何ともいたし方ありません。
一方ではそれだけの中身があると思っていますし、たまに計量残りが出た時口に入れると、自画自讃で申し訳ありませんが、しみじみおいしいと思います。
これはひとえに材料の良さと、何も小細工しないシンプルなつくり方が出した結果です。
一度に11袋くらいずつしかつくれないので、棚に並べてもすぐに無くなってしまいます。
ですから、まだご覧になったことのないお客さまもいらっしゃるかも知れませんね。
そして、もしこればっかりが人気が出ると、食工房としてはちょっと難しいことになってしまう、悩みの多いクッキーでもあるのです。

パンの思い出

今こうしてパン屋をやっている私ですが、子どもの頃を思い出して見ると、やっぱり下地があったのだなぁと思うことがいくつかあります。
「食パンの思い出」もそうですが、母がいつも焼いてくれたパンも、今思うと、私をパン好きに育てた一つの要因でした。
母の焼いてくれたパンは、生地を醗酵させてつくるいわゆる本式のパンではなく、重曹を使って膨らませるパンでした。
家には、専用のパン焼き用の鍋があり、炭火を起こした七輪の上に乗せて、何日分かのおやつになるよう、分厚い特大のパンを焼いてくれたものです。
卵を入れたり、脱脂粉乳を入れたり、またサツマイモを刻んで入れたり、その時々にあり合せの材料がプラスされるのも楽しみでした。
近所の子が遊びに来ると、一緒に一切れか二切れずつもらって、喜んで食べていました。
そしていつ頃からのことか忘れましたが、私も自分で真似をして、このパンを焼くようになりました。
鍋で焼くパンは、途中で天地返しをしなくてはならないのでそのタイミングが難しく、上手にひっくり返せるようになるまでには何度か失敗もしました。
そんな手づくりのおやつも、私が中学校を卒業してからは食べる機会もなくなり、母も忙しくなって、いつの間にかつくることがなくなりました。



by Mikio


そしてそして時は流れて、今はすっかり年老いた母は、私の焼いたパンやスコーンをとても喜んでくれるのです。
やっぱり私は、パン屋になるのが運命だったのでしょうか・・・。
おかげさまで今日も、すごくいい具合にパンが焼き上がりました。

  おしらせ
ホームページで使っているサーバーが、機能改善のためのメンテナンス中のため、メールやその他の機能が一時的に使用出来なくなっています。
昨夜(2/1夜)以降、現在までに、食工房宛にメールを発信された方、ただいまのところ受信出来ておりません。お急ぎのご用の方は、お電話またはファックスをご利用ください。
また差し支えない場合は、このブログにコメントしたいただいても構いません。

更新情報 08.02.03 16:25現在 メールの受信可能になりました。
ホームページの更新もとりあえず可能なので、「パンだより・30」節分号をアップしました。  <こちら> からご覧になれます。

マフィンの製造再開しました。



久々に、店頭に並びました。


今日は久しぶりに、食工房のマフィンの定番メニューを全部焼きました。
そばマフィンだけは、会津に来てからつくり始めたメニューですが、他の3品目はもうずい分前からつくり続けて来たものです。
元々、マクロビオティック畑で仕事をしていた私なので、そこらのお菓子屋さんのマフィンとは、風味も食感もちょっと違っています。
特に「シマリス君の朝ごはん」はノーシュガーで、乳製品も卵も使わない、そしてベーキングパウダーの代わりに重曹とリンゴ酢を膨張材として使っている、正統マクロビ.メニューです。
そしてどのマフィンも、岩手県産の地粉を使っているため、もっちりとした少し重い食感ですが、焼き立てはすごくおいしくてしかもお腹にたまるボリューム感があります。
ただ無添加品の宿命で、日にちの経過につれ極端なくらい食感が変わってしまいます。
でもそんな時は、上手な焼き戻し方がありますので、少し手間をかけていただければ、きっとご満足いただけるはずです。
☆スコーンの焼き戻し方の記事をご参照ください。
マフィンも同じ方法でOKです。 <こちら>




「シマリス君の朝ごはん」
レーズンとミックスナッツ入のマフィンです。
正統マクロビ.メニュー



「ココリス」
ラム酒とバニラオイルとスパイスワークが効いて、
ココアの風味が一段とすばらしいものに・・・。



「スィートハート」
文旦ピール入のマフィンです。
ピールをつくった時のシロップも入っています。
柑橘系の芳しい香りを、秘密のスパイスワークでさらに引き立てています。




「そばマフィン」
こちらは、ずっとお休みしないで製造し
ていましたので、もうおなじみですね。
「駅カフェ」さんでも、定番メニューになっています。


マフィンは、4種類ともに
5個入 簡易包装 1袋 500円
2個入 脱酸素包装1袋 290円
 です。

☆通販でもご利用いただけます。


 おしらせ
ただいま「食工房のパンだより 30・節分号」、編集中です。
近日中にホームページに掲載いたします。

朝のごほうび



今日は木曜日、忙しいパン焼きの日でした。
朝、一しきり作業を終わらせてからシャッターを開けると、空は明るいのですがまだ日が差していなくて、夜中に降った雪で化粧した樹木がとても美しく見えました。
何がなくても、私には、こうした風景が一番のごほうびです。
どうせ店を開くなら、何でもっと街の中にしなかったんだと言われたことは、一度や二度ではありませんが、毎日眺める風景が、例えば、立ち並ぶビルと信号機と車の列だとしたら、私は半年も持たないで具合が悪くなるに違いありません。
お客さまが少なくても、売り上げが厳しくても、私にとって、やっぱり他のものに代えられないのは、自然の風景の中に居るということです。
そしてまた、こういう環境だからこそ、おいしいパンが造れるのだと思っています。

 おしらせ
ここしばらく製造をお休みしておりましたマフィンを再開いたします。
明日(2月1日)は、久しぶりにシマリス君の朝ごはん、ココリス、スィートハートなど、全品顔を揃えて皆さまのご来店をお待ちしています。

雪対策で過ぎる一日

このところの降雪で、にわかに雪対策に駆り出されるようになり、食工房の仕事も小刻みに中断しています。
思いがけない時に、屋根の上に残っていた雪が落ちて、出入り口や道路を塞いだり、除雪車が脇にせり上げていった雪も片づけないと、出入りの邪魔になったり駐車スペースが無くなったりします。
そんなこんなで、今日は朝から3回ほど雪かたしをやりました。

ところで雪国では、一定以上雪が降ると除雪車が出動して、道路の雪を片付けて交通の確保をしてくれます。
夜中のうちから出動して、朝の出勤通学時間までには、生活道路はすべて開通させます。
特別雪がひどい時は、日中にも帰り道の確保のために出動します。
運転席が、民家の2階の窓くらい高い位置にあり、タイヤの直径が大人の背丈くらいもある巨大な除雪車が、この山都町内だけでも10台以上は走り回っています。

もう半ば当たり前のようになった除雪車の出動ですが、こんなに隅から隅まで除雪が行われるようになったのは、聞くところによると昭和50年代に入ってからだそうです。
私が知っている限りでは、それはユンボやローダーと呼ばれる高性能の建設重機が出現した頃と一致します。
この頃を境に、雪国の冬の風景は一変したと言われます。

考えてみると、こんな山里で風変わりなパン屋を開店し、遠来のお客さまもお迎えし、宅配便を使って地方発送もこなすというのは、今だから出来ることなのですね。
一方でエコロジカルな生活を目指して来た自分としては、この大きな矛盾に、ちょっと今すぐには答えが出せません。

それより、このところの経費削減で、除雪の体制も以前に比べて後退しています。
もし、必要な交通の確保に支障が出るほどになったら、食工房もここで商売を続けていくことが出来なくなりますね。
差し迫った心配というわけではありませんが、今日は雪かたしに汗を流しながら、ふとそんなことを考えていました。

今日こそは、屋根から雪崩落ちた雪の山を写真に撮ろうと思っていましたが、気がついた時にはもう片づけてしまった後でした。
道路を塞いでいるのを目の当たりにしたら、どうしたって悠長にカメラを構えているわけにはいきません。