朝晩の温度差でたっぷりと露を含んだ地面から、朝もやが立ち上っています。
我が集落の農業志願青年、仲間に「大ちゃん」と呼ばれている彼の麦畑の様子です。
播きっ放しだった割には、しっかりと育っています。
来年の収穫も楽しみな、食糧生産の現場です。
一年一作、収穫は100~120kgというところでしょうか。
来春の畑の管理次第にかかっています。
この畑でとれた小麦を、私は、1キロ300円で買う約束をしています。
メチャクチャ高いじゃないかと、業者サイドの人間は眉をしかめます。
確かに・・・。
でも考えて見てください。
それだけのためではないとは言えいろいろと機械を揃えて、肥料や種にもお金をかけて、一年の上がりがいいところ4万円です。
写真に写っている面積の10倍作っても、たったの40万円です。
生活の足しにするには、あまりにも報われない労働です。
正規に補助金を申請して作ると、1キロ当たり100円の内麦振興奨励金が下ります。
しかし政府買い上げルートでも、私の買い上げ価格以上にはなりません。
小麦を作るのだったら、もう何百トンという規模で作らなかったら、とても引き合いません。
そうなったら、私だってとても付き合い切れませんし、第一そんな広い畑はこのあたりにはありません。
小麦は、安い外国から買えば良しとして来た国の政策によって、作る人がいなくなったのです。
食糧自給に国が責任を持つと言うなら、この辺のことを先ず考えてもらいたいですね。
農業は補助金漬けでけしからんと言う意見がありますが、それはそれとして、その前に解決しなくてはならない、認識を改めなくてはならない問題が沢山あるでしょう。
さてさてそんな話に終始するつもりではありません。
来年は、この大ちゃんの小麦とすでに実績が出来つつある沼ノ平の小麦とライ麦と、地元産の原材料で焼いたパンを、出来るだけ大勢の方に食べていただこうと、張り切っているのです。
とりあえず損得はおいておきます。
皆さまには、食糧生産の現実をよく知っていただきたいと思っています。
食糧の自給、地産地消は、どのようにして実現出来るのか、私たちと一緒に考えていただければ幸いです。