日別アーカイブ: 2012年2月21日

やりがいのある仕事とは・・・

若い頃は、やりがいのある仕事なんてないと思っていました。
と言うか、お金を稼ぐためにすることは、何であれどこかしらつまらなくなるものだと決めてかかっていたような気がします。

今は違います。
お金を稼ぐことは、解りやすく言えばエサの獲り方の一つに過ぎないと思っています。
足りればそれでよろしい。

では、やりがいとは何でしょう・・・?
稼げるお金の額でしょうか?それもあるかも知れませんが、それだけではないような気がします。
達成感?プライド?・・・、どれも該当すると思いますし、それら全ての要素が関わると思います。
そして何より、やりがいとは人それぞれの主観に負うものなのですから、人それぞれに異なっていても不思議はないのですね。


では私は・・・ということになります。


食工房の仕事は、どれもやりがいを感じています。
パンを焼くことだけではありません。
天板一枚洗うことにも、やりがいを感じるのです。


そしていろいろある作業の中で、どれが一番?と言われたら、多分これです。
コーヒー豆の選別、そうですあの「悪豆拾い」と答えるでしょう。 <参照>


何と言ったら良いのでしょう・・・。
農産物であるコーヒー豆は、工業製品のように画一的な性質と外観を持っているわけではありません。
極端な話、一粒一粒皆顔が違うわけです。
その中に、風味を悪くする欠点を持った豆が混ざっているわけです。


ではどういう粒が悪い豆で、どういうのは良い豆かという基準をマニュアル化出来るかと言われれば、答えはNOです。断じて!
第一、銘柄ごとに基準が変わるし、外見だけでは判断が付かないことも稀ではありません。
外から見て、小さな虫穴が開いているだけのように見える豆をカッターナイフで切り割って見ると、中にカビが入り込んでいるということが時々あります。
こういう粒を見逃すと、確実に風味が悪くなります。
だからと言って、一粒一粒割って見るわけには行きませんからね。


ただもう経験を積み重ね、勘を養う以外に方法はありません。
それも、焙煎作業まで一貫してやって、初めて選別の結果の良否が見えて来るのです。


自分が拾った豆は確実に味が良くなっていると確信が持てるようになって来ると、そこからやりがいを感じるようになるのですね。
何しろ選別そのものは、目減りさせる作業なのですから、何かを産み出すこととは違い、直接的な喜びはないのですよ。


今日は休みだったのですが、あのモカ・マタリ1kg余りを一人で二時間ちょっとかかって選別しました。
選別分が1007g、落とした分が362g、結果欠点混入率は26.4%でした。
まあとにかくこの豆は難しい・・・。
私の二時間分の時給など、とても計算には入れられません。

だったら何故やっているの?と仰いますか。
お答えいたしましょう。
これが「食工房病」と言われる所以です。