日別アーカイブ: 2012年3月25日

藤沢集落のこと

こちらに移住して早や8年と半年余り、ご近所の方々とも親しくなり、この二年ほど行政区の役員も務めさせていただきました。

それで気がついたと言うか面白いというか、いわゆる正式な住所番地と地区の人たちが呼び習わしている集落名は違うのですね。
ここは住所で言うと、喜多方市山都町相川字高野と言いますが、地元の人たちの間では、藤沢(集落)の中島上(組)ということになります。
相川という範囲は、実は藤沢よりもずっと広い範囲のことを言っており、藤沢他3集落を含んでいます。

昔は、相川村という一つの自治体だったのですが、昭和の大合併で山都町になり、さらに平成の大合併で喜多方市になってしまいました。
この藤沢とか中島という呼称は、住所番地の中には出て来ませんが、地元の方にとっては、一番親しみと実感のある呼び方です。

ただ今、藤沢集落は52戸。
その中の中島上組は8戸で、中では一番個数の多い班です。


さて今日は、山都町内の各集落で年一回の定例総会が催されたようです。
当藤沢集落でも、午前中集落の全戸の世帯主が集って、集落の運営について話し合いました。

行政区としての集落と言っても、何も権限が与えられているわけではありませんが、中に暮らしている私たちにとっては、一番かかわりの深い現実的な重みのある組織です。


今、合併につぐ合併によって、本来身近であるべき行政は、どこか遠く上の方にあって否応なくお達しが来る所という感じがしています。
地方の中山間地の小さな集落の衰退など、大した問題でもないかのように、子どもの数が減ればさっさと小学校の統廃合を決めてしまいます。
昨年はバス路線も廃止になり、一気に不便になりました。
そういう情勢の中で、やがて私たちは生活環境そのものを維持出来なくなる時が来るのではないか、という危機感を感じ始めています。


地方の切り捨て、その中でも僻地の切り捨て、それがこの国の方向ですね。


しかし、私は思います。
地方のそれも辺境の地に、土に根ざした人々の生活が息づいていることの重要さを・・・。
そこには、人類が、長きにわたって培い携えて来た生存のための智慧があります。
それは、あらゆる科学技術、芸術文化のリソースに違いありません。

最先端の遺伝子技術の研究でも、最も大切なのは原種であることを、思い出してください。
原始に近い暮らしから、私たちはいつでも多くの貴重な示唆を得られるのだということを忘れてはならないと思います。

田舎での暮らしが、そうした大切なリソースを守っているのです。
それを失うことがどれほどの損失か、また活性化が単なる都市化であってはならないことなど、まだまだ気が付いていない人が多いことは、とても残念です。


今はまだそこそこ人数もいるし、若い世帯も子どももいるので、今の内なら打つ手はあると思います。
藤沢集落に限らず、地方の小集落が今後も活力を保って行けるかどうかということは、実はこの国の未来を左右するほどの重大事だと思っている私です。