レーズン、つまり干しぶどうのことですが、パン・菓子屋にとっては欠かすことの出来ない素材です。
たいていどこのパン屋だって、レーズンの入ったパンは定番品に入っています。
お菓子だってレーズンを使うものは、実に沢山あります。
それほど愛されているレーズンですが、世の中にはレーズンが苦手、レーズンの入っているパンもお菓子も食べられない・・・という方が、結構な数いらっしゃるのですね。
ええっ、どうして・・・?と、私などは思うわけですが、一方、市中に出回っているレーズンのことを思うと、あるいはそうかも・・・と思うことがあります。
食工房が使っているレーズンは、オーガニックレーズンと言って、無農薬有機肥料で生産され、天日乾燥で仕上げた後は何も加工処理をせずに出荷されます。
一方市販品でよくあるのは、乾燥後レーズンが固まってしまわないよう、表面にオイルコーティングを施すことです。
これにより、いつまで経っても粒同士がくっ付くことがなくサラサラとした状態保ちます。
取り扱い上は都合が良いのでしょうが、油分がまとわりついているのは、何と言ったって食感が良くないし、味も良くないのです。
また油は酸化しやすいので、酸化防止剤などの添加物も使用されているかも知れません。
これらは、確実に風味を悪くする原因です。
そんなレーズンを食べてレーズン嫌いになったのだとしたら、お気の毒なことこの上ありません。
否、それが、家の孫の一人がその「レーズン苦手」で、人事ではありませんでした。
年末のシュトレンも、警戒して手を出そうとしません。
何しろ中身はレーズンがみっちり詰まっていますからね。
でも、是非にとすすめて、やっと一口食べてもらうことが出来ました。
そうしたら、「おいしい!」と言って、そこから先はスムーズに手が出てくるではありませんか。
やっぱりなー・・・、と思いました。
またある別なお客さまも、お振る舞いのシュトレンを、「私、本当はレーズンは食べられないんですけど、これはとてもおいしいです。」と言って、パクパクお口に運んでいました。
そうなんですよね・・・。
違うんですよ。
同じレーズンにあって、決して同じではない!のですね。
ちなみに、食工房で使っているレーズンは、カリフォルニア産オーガニック・レーズン(赤黒い色)とトルコ産オーガニック・サルタナレーズン(黄緑色)です。
たいてい粒同士がくっ付いて固まっていますので、使う前にぬるま湯をかけてバラバラにもみほぐします。
ザルに上げて水切りすると同時に若干水分を吸わせて、食感を良くすることが出来ます。
さて、いかがでしょう?
たかがレーズンと言えど奥が深いと言うこと、お分かりいただけましたでしょうか。
今度から、レーズンの入っているメニューをお求めの際は、これらのことをちょっと思い出していただければ幸いです。