食工房畑のライ麦です。
面積にすれば2坪余、ライ麦の成長の様子を知るために試験的に栽培しています。
今年で3年目です。
こんなことでも、実際にやって見ると、ライ麦に関する理解度は格段に上がります。
文献を調べるにしても、目の前に実物のモデルが有ると無いでは、読み取ることの出来る情報量に雲泥の差が生じます。
おかげさまで、ライ麦だけでなくその他の麦も含めて、信頼に足るデータベースが出来つつあります。
今年は初めて、麦角の実物も目にすることが出来ました。
恐ろしい害毒を持つ麦角ですが、麦や米などイネ科の植物に広く感染する病気です。
ライ麦は特に感染しやすいと言われていますので、以前からずっと気にしています。
業者から仕入れたライ麦粒でさえ、微妙に麦角菌汚染粒ではないかと思える粒が混ざっていたことがあり、目視で選別したあと精米機にかけるなどして使ったこともあります。
食工房が作付けをお願いしている農家では、収穫後籾摺り機にかけています。
ゴムのローラーで揉むように擦ることで、物理的に脆い麦角は擦り潰されて振るい落とされます。
穂発芽粒や未熟粒も、同様に落とすことが出来ます。
また発生そのものを防ぐノウハウもあります。
種子の消毒を兼ねた塩水選や温湯処理、圃場を移して連作を避けるなど、出来ることは何でも試しています。
ただし、農薬の使用は避けています。
生産現場では、この他にも栽培に関する様々な苦労があります。
このようにして収穫されたライ麦を、プンパニッケルや堅焼き黒パンにする仕事が、どれほど喜びの大きい仕事であるか、想像していただけると思います。
同時に、畑で育った命が食べる人の命になるまでの間に立って橋渡ししている、責任の重さも感じながら・・・。