今日は、二人のお客様からのご注文で、フレンチローストとフルシティーローストを焙煎しました。
お二人とも、山暮らしをしていた頃からの長いおつきあいです。
お一人は、何度もあの山の中まで遊びに来てくださいましたし、もうお一人も毎月毎月、ご自分が関わっている会の通信を送ってくださいます。
個人商売は、お金と物のやりとりの他にも行き交うものがあって、そちらの方が大事と思えることが多いですね。
さて、フレンチローストもフルシティーローストも、焙煎度では少しの違いなのですが、質的にはずい分違います。
焙煎のノウハウで言うと、最高到達温度と持続時間が大きく違います。
これによりフレンチローストは、表面に油がにじみ出して光沢を帯びた外観になり、ロースト香の中に独特の異臭(※)が混ざります。
炒り上がりの頃になると、猛烈な煙で息が詰まります。
ミディアムローストなんかとはえらい違いです。
こんなに真っ黒になるまで炒って、ほとんど炭じゃないかと思いますが、抽出して飲んでみるとちゃんと味わいがあって驚きます。
それから、コーヒー豆には微量ですがタンパク質成分が含まれていて、フレンチローストくらいの焙煎度になると、※それが焼かれて肉や魚が焦げた時の臭いに似た異臭が混ざります。
そんなに嫌な臭いではありませんが、良い香りかというと、ちょっと微妙です。
でも、コーヒーにして飲む時には、全く気になりません。
それよりも、ミルクやクリームとすごく相性が良いので、ウィンナーコーヒーやカフェ・オ・レ、あるいはカフェ・ラ・テなどの魅力的な飲み方が楽しめます。
カフェ・オ・レカップのお話し
カフェ・オ・レとは、フランス語で「コーヒーと牛乳」という意味です。
何の変哲もないそのものズバリの名前ですが、日本人の私たちには、コーヒー牛乳とは違う何かとてもシャレた飲み物だと思えるから不思議です。
ところで以前、私の友人の奥さまが本式のカフェ・オ・レの器が欲しくて、それも形や絵柄に特別なこだわりがある一品を、探しに探してやっとのことで手に入れたということがありました。
それまでカフェ・オ・レカップを、見たことも聞いたこともなかった私は、まず初めにその大きさと、とっ手がないことに驚きましたね。
そして、「これって、丼じゃない?」と思ったものです。
説明を聞くうちに分かったのですが、これに熱いカフェ・オ・レを並々と満たし、焼きたてのフランスパンをちぎって浸して口に入れるのだそうです。
つまりカフェ・オ・レは、スープの代わりなんですね。
だから器も、中のものが冷めにくいように、肉厚でどっしり重さのある容量の大きなものになっているわけです。
とっ手は、付いている意味がないから付いていないだけなのですね。
ちなみにその時、彼女は朝食に、大好きなバターつきパン(自分で焼いた天然酵母パンでした。)を、ちぎって二つ折りしてカフェ・オ・レに浸して食べるのだと言っていました。