日別アーカイブ: 2007年11月14日

香りが命


今日は、パンの作業台で、コーヒーのブレンド作業です。


ただコーヒーの味がするものを飲みたいというだけなら、インスタントコーヒーだっていいのです。
最近は、インスタントコーヒーもよく出来ていて、決して悪くない・・・、という人もいます。
レギュラーコーヒーを楽しむということは、一見面倒くさい手順の数々の一つ一つに、楽しみを見つけられるということです。
そして、それらの中にある一番大きな要素、それは「香り」です。
インスタントコーヒーでは絶対に味わうことの出来ない香りを、繰り返し何度も楽しむことが出来る、それがコーヒーの楽しみの核心ではないかと思います。
お湯を沸かし準備を始めて、先ずコーヒー豆を出して来た時の香り、そこには、今日はどの豆を使おうかなと選ぶ楽しみがあります。
ミルにかけて挽く時、広がる香りは、自分だけでなくまわり中の人の気分を良くしてくれます。
そして抽出が始まると、いよいよ気分は盛り上がります。
カップに注いでテーブルに出されるまで次々と、その場にいる人をこれほど高揚させてくれる嗜好品は、他にないと思います。
さて、カップのコーヒーを口にする時、そのコーヒーの命とも言える香り(アロマ)が、口の中に広がります。
コーヒーの楽しみの中で、最高の瞬間がここにあります。
そして後味にも、それぞれの豆の個性を感じ取ることが出来ます。
何より、うまいコーヒーは、人の気持を和ませてくれます。
それが一番大きな効用でしょうね。
ところで、コーヒーの香りはとてもデリケートで、損なわれやすいものです。
炒り立てから1~2日間は刻々と変化し、3~4日目で安定します。
飲み頃は、保存温度により左右されますが、室温だと1週間から1ヶ月くらいまで巾があります。
当然気温が低い方が長持ちします。
ですから、保存は冷凍に限ります。
豆のまま冷凍しておいて、使う時は出してすぐに挽きます。
水分はなく凍結しているわけではないので、全く差し支えありません。
残りは、すぐにまた冷凍庫に戻します。
これだと、2、3ヶ月は大丈夫です。
コーヒーは、とにかく焙煎時の鮮度を保つことが肝心です。
しかし、ただ袋に密封しておけば良いというわけには行きません。
焙煎豆は、多量の炭酸ガスを内包していて、それが時間とともに放出されて、そのままでは袋が膨張してついには破裂してしまいます。
ガス抜きバルブ付きの袋に入れたり、吸収剤を入れたり、包装前に強制的にガス抜きしたり、いろいろなことをして、賞味期限は2年先なんてことになっているわけですが、本来はそういうものではないということを申し上げたいのです。
この炭酸ガスが、抽出時に泡となって立ち上がり、コーヒーの渋みや味を悪くする成分を下に落とさない仕かけなのです。<参照>
うまいコーヒーは、街の焙煎屋で少しずつ買うものと覚えていただければ、たいへんありがたいと存じます。