日別アーカイブ: 2007年11月16日

価値ある仕事

皆さんのお仕事は、時給いくらですか。
月給は?はたまた年収はどのくらいでしょう。
仕事の価値を言う時、得ている代価を引き合いに出すことはよくあることです。
そしてそれが、一面的な価値観に過ぎないことは分かっていても、得られる収入は生活に直結していますから、誰もが、その仕事はいくらになる?ということを気にします。
さて今、うちの娘たちが作品展に備えて、せっせと手仕事をしています。
聞いてみると、一日中頑張っても1個は完成させられないそうです。
見ていて何となく分かってはいましたが、改めて驚きました。
と言うことは、普通に労働として評価するなら、作品の値段は1個1万円でも安い、ということになります。
でもそんな値段で買う人なんかいないだろうし、1万円なら意欲がわくかと言えば、そういう問題でもありません。
結局、彼女たちが決めた値段は、1個2,000円です。
このうち30%を、手数料としてお店に払いますから、手取りは1,400円ということになります。
ですから、これで生計を立てることは不可能です。
だからそれは、仕事とは言えないでしょうか?
やる価値のないことでしょうか?
そうじゃありませんね。
考えてみると、金にはならないが大切な仕事、沢山ありますね。
家族のために食事をつくること、皿を洗うこと、洗濯をすること、便所の掃除をすることなどは、一番典型的なものでしょう。
自分の汚した皿を洗っても一円にもならないが、他人の皿を洗えばお金がもらえる。
その理屈で進んで行くと、何をするにもいくらになるかだけが、重要な価値になってしまいます。
そこで失われてしまうものがあることに、今、どのくらいの人が気づいているだろうかと、ふと思ってしまいます。
話が飛びますが、税制調査会という機関が、「配偶者控除は廃止すべき」という答申を出したそうです。
その理由の一つは、「配偶者控除は、女性の就労意欲を妨げている。」からだそうです。
こういう発想をする方々は、「家庭」というものを、どのように認識しているのでしょうか?
また、それが本当に男女平等に寄与するのでしょうか?
その辺のことについては、また改めて述べさせていただくことがあると思っていますので置きますが、そうやって私たちの社会は、やることなすこと全部を、味気ないつまらないものにしてしまいつつあるのじゃないでしょうか。
うちの娘たちの手仕事を見ていて分かることですが、創造的感覚や針を運ぶ意欲は、必ずしも金では買えないということです。
同様に、活気に溢れ意欲に満ちた社会もまた、金では買えないと、私は思っています。