たまに何の前ぶれもなく、真夜中にフッと目が覚めることがあります。
皆寝静まって、シーンと静まり返った夜の空気の中で、とりとめのないことを考えながら夢と現の境に意識を漂わせるのが、私の密かな喜びでもあるのです。
そう・・・、こうして夜を静かに過ごせることにも重要な意味があり、奇跡でもあるのだと思うからです。
敵を欺き、奇襲攻撃をかけるのも夜・・・・。
一方、恋人たちが愛を語り合うのもまた夜・・・。
夜が静かに過ぎて行くことは、とりもなおさず平和の証であると、そう思うからです。
今、世界のあちこちで、夜を静かに過ごすどころか、かえって白昼より不安と緊張が増す中、文字通り眠れぬ夜を息を殺して、朝が来るのを待たなくてはならない人々が少なからずいることを知れば、こうして布団の上に横たわり安心に身をゆだねていられる自分は、この幸せの代償に何を差し出せるだろうか・・・。
そんなことが頭に浮かんで来ると、あとはもう祈るのみです。
でも、神々の世界に言葉を送っているうちに、間もなく眠りに引き込まれ、いつもより少し眠気の抜けない朝を迎える私です。