ライ麦の品種改良

ライ麦

浸水発芽させたライ麦を薬剤処理してあります。
もちろん見た目では、何も分かりません。


ライ麦

筋蒔きしています。
全部で5m×7列になりました。

昨年来、大麦を提供してくださっている農家さんのご縁で、新潟の農業試験場の研究員の方と知り合いになり、お付き合いしています。

最近、健康食として大麦が注目されていることは、皆さますでにご存知のことと思います。
その研究員の方は、麦の品種改良が主なお仕事で、大麦の普及や最近注目のモチ麦の品種改良などを手がけて来られました。

食工房で大麦を使い始めたことがきっかけで、この研究員の方が度々ご来店くださるようになりました。
現場のニーズを知りたいというのが一番の理由だそうです。

そんな交流の中でご提案いただいたのが、ライ麦の短稈種の開発でした。
私としては、それでどんなメリットが生じるのか、まだよく理解出来ない部分もあるのですが、品種改良という仕事がどのように進むのか興味もありますので、一協力者としてお付き合いすることになりました。

今日は、その研究員の方が来られ、試験栽培地として提供することにした家の畑の一角に、事前に薬品を使って突然変異誘発処理したライ麦の種(うちの畑で穫れたものを提供)を約2000粒ほど蒔きました。

来年、健全に実った株を全量収穫します。
次年度はその種を、何と10cm間隔で一粒ずつ約10000粒(そのくらいは収穫出来ているだろうということです。)を蒔き、変異種の出現を観察します。
※変異種は、多くの場合孫の代に現れるそうです。
その中から丈の短いもの(短稈)や実の付きの早いもの(早稲)を見つけ、選別して収穫します。

ひょっとすると、ライ麦のモチ種が現れるかも知れないとのこと。
もちろん、それをパンにしてどうこう・・・は、遠い先の話しで現実味は今一つです。

さらに次の年度、選別した種だけを蒔いて栽培し、これを性質が安定して来るまで数年間繰り返します。
性質の固定化が確実となった時点で、新しい品種の誕生ということになります。
何とも気の長い作業です。

それはそれとして、研究員の方からいろいろと麦に関する貴重な知見をいただくことが出来て、私としては大変良い勉強になっています。
一切れのパンが口に入るまでに、どこでどんな仕事がなされているのか、パンを造るのはパン屋だけの仕事ではない、パン屋以前にも長い道程があることを、食べる皆さまにも垣間見ていただきたいと思っている私です。
これからも、折に触れお伝えしていきたいと思っています。