最近、新しい道具や機械を見たり、実際に使ったりする度に思うことがあります。
それは、科学技術の進歩によってより便利で安全になったはずの道具や機械が、案外使い勝手が悪いことです。
例えば、ガスコンロの立ち消え防止機能。
感熱センサーの働きが、ちょっとしたことで鈍くなり、何度点火してもすぐ消えてしまうことがあります。
初めのうちは汚れを掃除すると直っていましたが、そのうちに汚れに関係なくいつまでも着火しななりました。
あまりの使い勝手の悪さにとうとう頭に来てしまい、持ち前の好奇心も手伝って、分解して安全装置の仕組みを確かめて見ました。
メーカーや機種によって仕組みは違っているかも知れませんが、うちのはリンナイ製の一番低価格の機種。
仕掛けはいたって簡単で、部品はサーモカップルと呼ばれる二つの異なる金属で作られた電気回路とバネと磁石だけです。
完全に解除することも出来たのですが、この時はバネを切り詰めて反発力を弱くすることで、上手く行きました。
こんなことをして、事故が起こったらそれこそ自己責任ですが、どの程度のことをすればどの程度危険なのか、理解出来ない時はもちろん手を出しません。
オーブントースターでも、似たようなことがありました。
過熱防止のためにサーモスタットが入っていて、続けて何回か焼いていると、三回目くらいで早くも安全装置が働いて、いい具合に焦げ目が入り始めたところで、プツンとヒーターが切れてしまいます。
待っているうちに冷めて自動的に復帰しますが、その頃にはパンが硬くなってしまっています。
ピザトーストの時なんか、ひどいもんです。
いくら安全でも、役に立たない道具じゃしょうがないでしょ!と言うわけで、こちらは中を開けて電線をつなぎ変えてサーモスタットを解除して使っています。
ちゃんと最後まで、その場を離れず見張っていればいいのですから。
それが出来ない状況では使わないことです。
とまあ、こんな例はハイテクというほどのものではありませんが、家庭で使う道具や機械には、得てしてユーザーの無知を予め想定しているかのような、過剰な安全配慮で機能性が損なわれているものが少なくありません。
あくまでも事故防止が最優先だと言われればそれまでですが、私などは、それでは何か今一つ釈然としません。
昔は、茅葺き屋根の家の中で火を焚いて生活していたのですから。
何と言ったら良いのか分りませんが、今の私たちは、生きることに対する緊張感がなくなってしまったということを思います。
新しい技術の成果に出合う度、背後にある危険について何も学ばず、知ろうともせず、ただ使い方を覚え便利さだけを受け取ろうという私たちの態度が、状況を悪くして行くのだと思います。
それが繰り返されているうちに、いつか私たちはとんでもない目に合いそうな、そんな予感が頭を離れない私です。
投稿者「mikio aoki」のアーカイブ
間のいい話し・Ⅱ
今年は天候不順の収穫期でしたが、
適切な施肥で、倒伏を免れたコシヒカリ
すばらしい出来栄えです。
昨日は、打ち立ての生そばをいただいて間が良かったのですが、今日は何と、玄米が届きました。
ちょっと出来過ぎな感じがする間の良さに、唖然としてしまいました。
届けてくださったのは、毎週うちのパンを買ってくださっている、町内のSさん。(公職にある方なので、お名前を公開しても差し支えないとは思いましたが、とりあえずイニシャルのみで。)
もうずい分前から、有機肥料、減農薬栽培の米づくりに取り組んで来られた方です。
それにしても会津は、農産物は何を作っても良く出来る土地柄です。
つくづく豊かだなぁと思います。
近い将来に懸念されている食糧危機も、会津には関係ない話しのようにさえ思えます。
この環境を、ぜひとも大切にしなくてはなりませんね。
地粉うどんを造ります。
先にご紹介した、地元山都町沼の平産の小麦<参照>がまだ沢山ありますので、乾麺に加工して販売することにしました。
無農薬有機栽培(認証こそ取っていませんが、間違いのないものです。)で、特定農家の作になる小麦から造られた乾麺は、滅多にない貴重品です。
どうぞご期待ください。
来月には発売出来る予定です。
間のいい話し
今日は、パン焼きで忙しく作業のあとは、小休止を兼ねて配達へ。
いつものコースで、先ずは農民連直売所へ伺ったところ、私宛に発泡スチロールの箱が託けられてありました。
中は、打ち立ての生そばでした。
依頼主は、いつもこちらでパンを買ってくださっている、北塩原の蕎麦屋さん「あらさと」さんです。
あらら・・・!パンを買いにいらしたはずですが・・・、と思ったら、後にまたいらっしゃるとのこと。
でも、私の方が待っているわけに行かず、失礼してしまいました。
一回りして家に帰って来ると、何も連絡していないのに、夕食はそばの段取りでした。
ひょっとして、「あらさと」さんから電話があったのかなと尋ねたら、「えっ何で?」と全く承知していない様子。
そう言えば、玄米を切らしてしまい、今日はご飯が食べられないはずでした。
連れ合いは、買い置きの乾麺を使う予定だったのです。
まあ何という、間のいい話なんでしょう。
と言うわけでここは一つ、「あらさと」さんの宣伝をさせていただきます。
先ずは、センスのいいホームページを開設していらっしゃいますので、<こちら>をご覧ください。
そばへのこだわりは、私が申し上げるまでもありませんので、下手な口上は止めておきますが、つゆに使っている醤油とみりんについては一言申し上げないわけには行きません。
以前、自然食品の仕事をしていたことのある私は、こちらで使っている醤油とみりんがいかに秀逸な品質のものか、重々承知しています。
厳格に自然食をなさる方でも、こちらのメニューはいずれも安心して召し上がれます。
ところで、肝心のそばの写真を撮ることが出来ませんでした。
早々と腹の中へ。
おいしく食べることしか考えてませんでした。
おしらせ
間のいい話しのあとに大変恐縮ですが、都合により、農民連直売所でのパンの販売を今月で終了いたします。
来週木曜日が、最終納品となります。
ご愛顧いただいた方には申し訳ありませんが、どうぞご了承ください。
もしご要望があれば、直接配達に伺うことも可能ですので、ご遠慮なくお問い合せください。
TEL. 0241-38-3102 食工房へ
追加更新
食工房のホームページに、「食工房のパンだより37・晩秋号」 2008年11月 のpdfファイルをアップしました。
<こちら>からご覧いただけます。
おいしいコーヒーの真実
「おいしいコーヒーの真実」というタイトルの映画をご存知ですか。
恥ずかしながら今日まで、フェアトレードコーヒーを取り扱って来ていながら、私はこの映画のことを知りませんでした。
今年の5月に公開されたこの映画は、コーヒーを生産する国と消費する国の経済格差とそれに伴う貧困や飢餓の問題、フェアであるべき貿易も結局先進国の利益優先で動いている現状など、一杯のコーヒーを通して見えて来る世界の真実に迫ろうというものです。
とりあえず、公式サイトで予告編を見ただけの印象ですが、私たちがおいしいコーヒーを飲んで満足する陰に、そのコーヒーを生産するために汗水流しても、自分たちの生活を賄えない人々がいることは、是非とも知っておくべきことだと強く思いました。
一場面では、大勢の女性がずらっと並んで、作業台に広げられたコーヒー豆を手選別していました。
これこそ、私が何度もブログに書いている「悪豆拾い」の風景です。
想像はついていましたが、やっぱり人の手が仕事をしていたのですね。
一日8時間働いて、彼女たちの日給はたったの0.5ドル!
フェアトレードは、そういう現状に少しでも光を当てようという取り組みなのです。
とは言え、世界貿易の中に占めるフェアトレードの割合は、もっとも先進的とされるコーヒーに限っても、取引に占める割合は僅かに2%に過ぎないそうです。
世界のコーヒー市場で、巨大企業がどんな動きをしているのか、その如何によって、私たちのような個人規模の業者は、欲しい銘柄が買えなかったりするのですから・・・。
そしてそれは、消費者の皆さんの動向にかかっているということも、申し上げておこうと思います。
あなたは今日、どこでどんなコーヒーを召し上がりましたか?
映画「おいしいコーヒーの真実」 公式サイトは<こちら>
※予告編が見られる他、沢山の資料が掲載されています。
大滝参り
今日は、三年ぶりに飯豊山の麓の、御沢の大滝に行って来ました。
行くか行くまいか、朝になるまで決まっていませんでしたが、いざ起き出したら出発の準備をしていました。
私にとって今日の山行きはレジャーではなく、山の水の恵みに感謝するための儀式なので、山が呼んでくれない限り足を向けることはしないつもりでした。
熊が出没するような場所でもあるし、お天気が悪い時は危険な場合もあるし、また他に人出があることも出来れば避けたかったので、その時の計らい次第と思っていました。
今朝の感じは、自分が動けば状況は協力してくれるというインスピレーションだったので、迷わず出かけることにしました。
おかげさまで無事に行って帰って来ることが出来ました。
先ずは、飯豊山登山口の大杉に詣でます。
行く先々で、老木には必ず手を合わせて挨拶をします。
途中にある、長滝を過ぎたあたり。
この沢の奥に大滝があります。
最後に沢の中を上って行くと、
山ひだの間に忽然と大滝が姿を現します。
急斜面を一気に登って、滝を見下ろす位置から
いよいよ大滝の上段直下へと接近して行きます。
ここは一の戸川の源流大白布沢の最奥。
私は、ここを竜の頭だと思っています。
今日は、竜の頭の上に乗らせていただき、
みのりのパンをお供えして、
そのあとその場で口に入れました。
静かに静かに時間が過ぎて、神々と交わることが出来ました。
また来年もここに立てるよう、一年間の精進を誓いました。
それにしても日頃の運動不足のせいか、三年前より上りがきつく感じられ、少し疲れました。
急ぐ必要はなかったとは言え、ペースも落ちていました。
これから冬に向かって、さらに運動が不足がちになる時節柄、うんと気にして体を動かしたいと思っています。
おしらせ
今週は、木曜日・カネリプッラ、土曜日・クリングラです。
みのりのパンは、相変わらず土曜日です。
朝もやの季節
店の前の見慣れた風景も、朝もやの中では
どこか別の場所のように見えます。
夜間の冷え込みが強くなるこの季節、朝は一面の霧の海です。
会津は水量豊かな大きな水系があり、これらの川から発生する霧があたり一帯に立ち込めて、私は見たことはありませんが、上空から見ると霧の海の中に飯豊山や磐梯山やその他の山々が、まるで島のように頭をのぞかせていることでしょう。
朝霧が立つ日は、必ず晴天と相場が決まっていて、陽がさして気温が上がって来ると、白い炎のように空に向かって上りながら消えて行きます。
そのあと、青い空と暖かい日差しの下には、まだ少しひんやりとした空気が残っていて、そんな時私は、もうたまらなく興奮して、ピョンピョン飛び跳ねたくなってしまいます。
このところ何日間かずっと、そういうお天気が続いていて、どうやら明日も晴天らしいです。
定休日だし、休日返上する必要もなさそうだし、久しぶりにお山の精気に触れに行って来ようかと思っています。
チョコレートの香りに包まれた午後
今日はちょっと頑張って、手間のかかるメニューを三品目、ジンジャークッキー、どろんこクッキー、そしてブラウニーを焼きました。
先ずは朝一番にジンジャークッキーを焼いて、午後はどろんこクッキーとブラウニーでした。
おかげで、午後はずっと店内も店先も、チョコレートの香りに包まれました。
ご来店のお客さまも、甘い香りに気分を良くされていました。
チョコレートの香りは、別名「幸福の香り」とも呼ばれ、人を幸せな気分にする香りなんだそうです。
皆さんご承知の通り、コーヒーの香りとチョコレートの香りは、この広い世界の中でも特別好まれています。
私は、二つとも自分の仕事にしていますので、この世界の二大芳香に毎日接することが出来て、幸せなことこの上ありません。
ところで、チョコレートの原料は、皆さんご存知のとおりカカオ豆です。
生産地はアフリカや中南米で、コーヒーの生産地と重なります。
チョコレートの風味は、このカカオ豆を醗酵させたり、ローストしたりすることで生まれます。
こちらも、コーヒーとよく似た工程を経るんですね。
それでコーヒーでもそうなのですが、カカオの香りの中には、微妙に異臭が含まれています。
皆さんがお気づきになる機会は、ほとんどないと思いますが、我々のように原材料として大量のカカオマス(苦チョコレート・カカオの固まり)を取り扱っていると、結構気になります。
何の臭いだと、敢えてお知らせしたくはないような、ちょっと嫌な臭いです。
これが最終的に製品として焼き上がった時、あの素晴らしい幸せの香りになるためには、ちょっとした魔法が必要です。
それは、一緒に合わせて使う原材料の選び方とそしてスパイスワークです。
そのあたり重要な企業秘密なので、何もかもお教えするわけには行きませんが、少しだけヒントを差し上げましょう。
ご存知の方も多いと思いますが、チョコレートには柑橘系の香りが、またラムレーズンの香りが、とても良くマッチします。
食工房では、どろんこクッキーにはラムレーズンを、ブラウニーには文旦ピールを入れています。
また、香ばしさを引き立てるために、どちらにもミックスナッツを加えています。
そしてこれも皆さんご存知かもしれませんが、チョコレートにはバニラです。
本当に!チョコレートを使う時、バニラの香りは絶対必要不可欠といえるほどに最高のパートナーです。
そして最後の決め手はスパイスワーク。
こちらは、残念ながら公開出来ません。
ヒントになるかどうか分かりませんが、どろんこクッキーには三種類、ブラウニーにも三種類、それぞれ異なるスパイスを使用しています。
この次、どろんこクッキーやブラウニーをお口になさる時は、ちょっと気にしながら召し上がってみてください。
ひよっとすると、何が入っているか分るかも知れませんよ。
マリア・ソリーナ/Maria Solina
マリア・ソリーナ、これは歌の題名。
以前ご紹介した、カルロス・ヌネス(ヌーニェス)<参照>の、「オス・アモーレス・リーブレス」というアルバムの4曲目に入っています。
皆さん、ご存知かどうか分かりませんので少し触れますが、カルロスは、スペイン・ガリシア地方の出身で、やっている音楽もガリシアの伝統音楽(ルーツミュージック)です。
このガリシア地方というのは、イギリスの西隣のアイルランドと同じくケルト民族の末裔たちの国です。
私は、アイルランドのルーツミュージックや、またこのガリシアのルーツミュージック、つまりケルトの音楽の中でいくつかの曲を聴いた時、条件反射的に涙が流れます。
子どもの時からずっと、泣くこと、涙を見せることに極端なくらい抑制力を働かせて来た私にとって、これは大変なショックでした。
これらの音楽は、私の我慢をはるかに超えて強い力で、心を揺らすのです。
バッハやモーツアルトを聴いて、その美しさ素晴らしさに感動することはあっても、音楽を聴いてこんな風に感情が揺れたことは今までありませんでした。
そして、目を潤ませながら一緒に笛を吹き鳴らしていると、幸せってつまりこういう瞬間だよねって思うのです。
意地っ張りの私もこの歳になって、やっと泣けるようになりました。
では、そのマリア・ソリーナをどうぞ。
マリア・ソリーナ/ Maria Solina ~ひとりぼっちのマリア
海賊に、漁師の夫を殺されてしまったマリアの悲しみを歌った歌です。
歌っているのは、ポルトガルの女性歌手、テレサ・サルゲイロ。
バックはカルロス・ヌネスと彼のグループ。
ご心配なく。
今日は、会津若松市方面へ配達に回りました。
行った先で、「お体の調子は大丈夫ですか。」と質問され、ハッとしてしまいました。
先週、「微妙に風邪かも。」とブログに書いたからなんですね。
次の日には、回復に向かいそうだと書きましたが、ちゃんと治ったと申し上げてなかったですね。
他にも何人かの方に、ご心配をかけてしまったようなので、後日談を申し上げる次第です。
あの後二日くらい、娘に風邪が移った様子でしたので、仕事量を調整していました。
週末が過ぎて、月曜日には少し頑張って沢山仕事をしましたが、娘共々大丈夫でした。
定休日には、連れ合いと一緒に出かけたりして、すっかりリフレッシュしました。
今回は、体の変調を見逃さず早めに対応したのが、よほど功を奏したと思えます。
いつもこういうふうに行けば良いのですが・・・。
と言うわけで、風邪に関しては、すでに全快していますので、ご心配なく。
ところで、巷では風邪をひく人が増えているらしいです。
このところ、不意に冷え込みがやって来てますからね。
皆さまも、どうぞお気をつけください。
気候の変化に細かく対応するのが、何より先ず一番の風邪予防法だと思います。
外出から帰宅した時は、手洗いとうがいの励行を。
そして食べ物にも気をつけていただきたいですが、何をどのようにと細かいことは今日は申し上げません。
ただ、昔から腹八分目に医者要らずと言われるように、食べ過ぎはよろしくないようです。
いくら食欲の秋でも、調子に乗り過ぎないよう、気をつけたいものです。
あとは、寝る時間を惜しんでまで、仕事なんかしないことですね。
結局後で、ツケは払わなくてはならなくなりますから。
そばの郷山都町の新そば祭り
来る 10月18日・19日 の両日、我が山都町では、毎年恒例の新そば祭りが開催されます。
今年は何と25回目を数えるそうで、関係者の方々は張り切って準備に余念がありません。
一口に25回目と言いますが、25年前にそばで地域おこしをしていた所は、珍しかったと思いますね。
そしてまた元々、山都はそばの郷だったという話を、地元の人から聞いています。
昔は、大晦日になると山都からそばを売りに来たものだと、会津若松に住む年輩の方から伺ったことがあります。
50年、100年を遡る歴史になります。
そういう背景もあるのでしょうが、我が山都町では男の人たちは、皆そば打ちが出来るというのが相場です。
中には人に教えられるほどの人もいます。
昨年の11月23日のブログ<参照>にも書きましたが、そうやってそば打ちが出来る人が、町内には沢山いるわけです。
その層の厚さが、山都のそばのおいしさを支えていると思います。
そば打ちの段位認定制度があるそうですが、山都には有段者はもちろん、名人位が3人もいます。
そして、そば屋さんが28軒もあるのですよ。
この時期、どこでも新そば祭りをやっていますが、今年は一つ、山都の新そば祭りへいらっしゃいませんか。
山都町観光協会のホームページ <こちら>