先日のこと、普段テレビを見ることのない私が、ほとんど奇跡的と言える計らいで、貴重な番組を見ることが出来ました。
その番組は、全編フィンランドの森のことを取り上げていました。
皆さんもご存知かも知れませんが、フィンランドは森と湖の国です。
フィンランド語では、自国の名称はSuomi(スオミ)と言います。
これは「沼」という意味です。
国土の70パーセントが豊かな森林に覆われているこの国は、世界一水質保全の良好な国としても知られています。
世界一きれいな水環境は、当然のことながら豊かな森林環境の賜物です。
ところが驚いたことに、この番組の中で私は、フィンランドの森が全て人が手を入れた森で、原生林ではないのだということを、初めて知りました。
全く・・・、それはうれしい驚きでもありました。
人間が関わりつつ、これだけ豊かな自然環境を維持出来る、そういう方法があり、そういう考え方があり、知恵の使い方がある、しかもそれが現実になっているのです。
しかも、それではフィンランドの人々は自動車に乗らず、石油も電気も使わないのかと言えばそうではありません。
一方でフィンランドはハイテク先進国であり、国際経済競争力は2000年以来ずっと世界のトップクラスです。
人口520万の国の小さな会社であったNOKIA製の携帯電話は、今や世界シェアの30パーセントを占めています。
人々の暮らしは前時代的どころか、とても先進的でおしゃれです。
そういう社会や暮らしと自然環境が、矛盾することなく両立可能なことを、この国の行き方は示唆してくれていると思います。
ただし、同程度の面積に20倍以上の人口を抱える日本が、すぐに真似が出来るかどうかは熟慮しなくてはならないと思いますが・・・。
例えば、人々の暮らしの自然環境への負荷を、20分の1に出来るかというあたりから、早くも難しい課題に直面することになりますね。
それにしても、番組の中で印象に残ったシーンの一つは、広大な農場の中を丹念に歩いて、野鳥の巣のあるところに目印を付けて行き、後でそこを避けながら大型トラクターが耕して行く場面でした。
以前はフィンランドでも農薬を使って害虫を駆除している時代がありましたが、その結果周りに野鳥がいなくなり、じきに別な害虫や鼠が大発生して、かえって収穫が減ってしまったことから、こうした取り組みが始まったのだそうです。
どこかの国なら、そこでさらに強力な農薬や毒餌を撒いたりして、根絶やしになるまで皆殺しにするのでしょうね。
結局は、自分たちは何を大切にするのか、という哲学論に行き着くのでしょうか。
カラマツ林 獏の空の下から・・・