「おいしいコーヒーの真実」から見えて来る、世界経済の構図そして日本の農業の現実。
先日来、映画「おいしいコーヒーの真実」を見て、改めて気がついたことがあります。
それは、この映画の中でも語られている、1989年にコーヒーの国際価格協定が破綻しコーヒー豆の価格が暴落した前後、先進国(特にアメリカ、日本)ではバブル経済が始まり、一方開発途上国、中でもアフリカ諸国の貧困が一層厳しいものになったことです。
また、1990年以降コーヒーの売り上げ高が、それまでの年間300億ドルから800億ドルに増えたという事実。
生産者価格が暴落したのに、コーヒーの売り上げは伸びたのですから、間で商売している者は大儲けしたということになりますね。
これまでにも申し上げて来たように、コーヒーを生産する国は貧しい国、コーヒーを飲む人がいる国は裕福な国、1990年前後を境に、この構図がいっそう際立つことになったと言えそうです。
この頃からでしょうか、日本でも、ドトールやスターバックスなどファーストコーヒーと呼ばれるコーヒーショップを見かけるようになったのは・・・。
そして最近のコーヒーを巡る動向を見ると、差別化が進んで価格にものすごく大きな格差が生じています。
独自の営業作戦が成功した一部の産地や生産者は良かったと思いますが、注目度の低い産地や銘柄は品質が良くても報われないことが少なくありません。
そして、そういった隠れた逸材を探し回って掘り当てて来るのが、バイヤーたちの腕の見せどころであったりするわけです。
それはそれでいいのですが、今コーヒービジネスに群がり、次々と儲けのネタを創り出す商売人たちのやり方に、私は少々辟易しています。
消費者には、おいしいコーヒーを出来るだけ安く提供し、生産者には労働に見合った、また品質に見合った正当な報酬を支払うこと、間の仕事は出来るだけ省いて最低限の利益で奉仕すること。
これが業者に課せられた社会的使命だと、私は思います。
そうでなくては、この世界は平和になんかなりませんから・・・。
さて約20年の時間差で、今この日本で起こっていること。
それがお米の値段の暴落です。
今年は、一俵60kgが7,000円とも6,000円とも言われています。
20年前には、22,000~25,000円はしていたコシヒカリ玄米の価格です。
1/3、1/4になってしまって、これでは生産コスト割れです。
自由競争にさらすのはいいけれど、地域間の生産現場の実情を無視したのでは、格差が広がるだけです。
国際間ではその傾向がなお強く、日本の農民は意欲を失うばかりです。
どこか外国の大金持ちに、特別な価格で直取り引きしてもらわないと生き残れない現状になりそうな・・・。
すでに中国で、日本の米が高値で取引されているそうで、日本国内よりもいい商売になるのだとか!?
それはまさしく、世界各地のコーヒー生産者の現実と重なりますね。
経済の真の目的は、物と物の等価な交換をスムーズに運ぶことにあるのであって、決して富の偏在と貧困を作り出すことには無いはずだと思うのですがいかがでしょう。
おしらせ
8月30日(日) 午後2時より 「カフェクラブの集い」を開催します。
今回のテーマは、コーヒー生豆のハンドピックです。
「おいしいコーヒーの真実」のDVDも見られます。
参加無料です。(コーヒー1杯付き)
参加ご希望の方は、ご連絡ください。
当日の朝まで受け付けています。