月別アーカイブ: 2007年10月

銘柄を選ぶ楽しみ。


昔はコーヒーの銘柄と言えば、国別に一つか二つずつくらいで、たいていそれで通用していたわけです。
でも考えてみたらわかることですが、コーヒー豆は農産物ですから、同じ国の中でも地域によって品種によって、ずい分品質が違って来ます。
その年の気候にも左右されますし、脱果精製法の違い、農薬の使用状況、肥料の質(有機か、化成か)の違いなどにより、農園ごとに、またその年ごとに、品質は異なるわけです。
例えば日本で、お米だったらコシヒカリが、それも新潟県魚沼郡産のものにプレミアムが付いたりするわけですが、今コーヒー業界でも、銘柄別に差別化して取り引きするようになって来ていて、特定の銘柄に人気が集まったりする現象が起こり始めています。
確かに良いものは良いで歴然とした差があり、良いものを探し当てるセンスが、なお一層求められる時代になりました。
消費者の方々も、いろいろ選ぶ楽しみが増え、自分のこだわりを持つことが出来ますから、これはこれで嬉しい状況であると言えます。
今はまだ過渡期のようで、銘柄間の価格差は、一部のものを除いてさほどではありませんが、そのうちに人気が集中する銘柄の価格が高騰したりするかも知れません。
一方、コーヒーは嗜好品であるが故、最終的には人それぞれの好みに左右され、客観的評価は付け難いと言えます。
業界にはプロの鑑定士もいますし、評価基準もありますが、専門的で一般の方には分かり難いし、第一それでその銘柄の個性を全て言い当てることは、元々不可能です。
そこでどうしても、「軽やかな」とか「深みのある」とか「キレの良い」とか「厚みがある」とか、皆さんが何か共通のイメージを連想してくれそうな言葉を使って伝えようとするしかないわけです。
こうなると、詩や俳句ほどではないにしても、表現力を試される世界ですね。
果たしてそれでどのくらい伝わるのか、微妙と言えば微妙です。
面白かったのは、仕入先の一つ<アタカ通商>のホームページ上でユーザーレビューが紹介されているのですが、そこに私の評価レポートが掲載されたことがあり、偶然かどうか分かりませんが、その中で秀逸と評価した3つの銘柄が、その後間もなく全て売り切れとなっていたことです。
こちらは驚くと同時に、後の仕入れが出来なくなって参りました。
今、コーヒー業界はちょっと面白い状況なんじゃないか・・・、そんなことを思うこの頃です。

バターが品不足!?

今日仕入れに行ってバターを注文したところ、バターが品不足で割り当てで決まった数しか入荷せず、注文の半分の数しか仕入れられませんでした。
気になりましたので、戻って来てネットで調べてみたら、牛乳の消費が落ち込んでいて、酪農界が減産を進めた結果、そのあおりでバターの生産量も落ち品不足になっているということでした。
バターは、牛乳の中に含まれる、僅かに3%余の乳脂肪分が主成分ですから、バターを生産した後には大量の脱脂乳が出来ることになります。
それがどのように消費されているのかよく知りませんが、とにかく半端な量じゃないことは確かですね。
一方、チーズも品不足のようで、こちらは輸入品が大半を占める中、近代化目覚しい中国で需要が高まっているからだそうです。
当然、バターにしてもチーズにしても、値上り傾向です。
ところで、日本の酪農界の状況はもうすでに惨憺たる状況で、これから新たに酪農を始める勇気を持つことは、いかにも大変なことと言わざるを得ません。
畜産は、国策でこれまでに大きな開発事業が何度か敢行されましたが、ほとんど全て失敗に終わり、莫大な借金を背負わされた事業者たちが悲鳴を上げています。
おまけに牛乳は、今ではアレルギー源の筆頭に上げられてしまい、実際に飲めない人も多いし、今後も消費は増えそうにありません。
しかしこのことに関して、多くの識者たちが、牛の飼育の仕方、与える飼料、薬剤投与の有無、そして殺菌処理のされ方などによる「質」の影響を見落としています。
以前、北海道で酪農をしている知人のところで実際にあった話ですが、年間通して牧草のみで薬剤の投与も無く飼育された牛の乳を、自宅で鍋で低温殺菌したもので、乳アレルギーの子に反応が出なかったそうです。
全部が全部というわけには行かないでしょうが、これは一つの示唆を与える話だと思います。
卵でも似たような話があるのです。
こんなことが、案外今後の酪農の復活に重要な関わりを持つようになるかも知れないと、私は思っています。
ちなみに食工房では、スコーンとカネリプッラ(シナモンロール)に牛乳を使いますが、会津ではお馴染みの「会津のべこの乳」を使用しています。<参照>
低温保持式殺菌の牛乳は、そのまま飲んでもとてもおいしく、身近にこういう良質な牛乳を供給してくれる業者がいることがうれしいですね。

 お知らせ
先月末の高知行きの影響で、今月の「パンだより」の発行が遅れていましたが、今日やっと出来上がり、早速先ずはホームページのダウンロードのページにPDFファイルをアップしました。
また一部配布も始めていますが、直接お送りする分は間に合わないこともあると思いますので、インターネットを使える方はそちらでご覧いただければ幸いです。

「食工房のパンだより・食欲の秋号・2007年10月」 PDFファイルへのリンクは<こちら
※表示に時間がかかることがあります。

ブラウニー再開



この夏は本当に暑くて、9月になってもまだ後を引いていましたね。
おかげで、チョコレートやバターを沢山使う焼き菓子は、造ることが出来ませんでした。
特にブラウニーは、(カカオマスブラックチョコレート)とバターが主な成分ですから、30℃近い気温の下では形を保っていられません。
焼いた後一晩おいて、十分冷ましてしっかり固くならないと、切り分けることも出来ません。
そういうわけで、10月のこの時期までずっとお休みしていました。
そして昨日焼いて、今朝はそれを切り分けて包装しました。
包丁が切れないと形くずれしますので、まずは朝一番に砥石を水に漬け、ビカビカに研ぎ上げて気持ちよく仕事をと思ったら、その後でちょっとした加減で包丁がまな板からすべり落ちてものに当たり、一ヶ所刃がつぶれてガッカリ・・・。
それでも何とか切り分けて、やっと販売にこぎつけました。
明日は、もうずっとお待ちかねの駅カフェさんにも、届けなくてはと思っています。
それで切り分ける時、端の部分を少し落としたものが出るのでつまみ食いしてみましたが、自分で言うのも何ですが、おいしい!上等です。
カカオと文旦ピールがこれほどマッチするとは、レシピを考えた私でも意外なほど・・・。
スパイスワークも、実は頭をひねっていますが、レシピは今は公開出来ません。
トップシークレットです!?

そして本日も雨の中、三々五々来客あり、感謝の一日でした。
明日、明後日、お店は定休日です。

 お知らせ



「奥会津アイリッシュコンサート」 開催日が迫りました。

10月13日(土) 午後2時開演(1時開場)
会津金山町 沼沢湖畔 妖精美術館にて
出演 ショーン・ライアン 守安 功 守安雅子

アイルランド随一の笛吹き、ション・ライアンの名人芸を堪能してください。
そして、守安さんの愉快で興味深い、アイルランドのお話しも楽しみです。

チケット発売中!(まだ、定員に余裕あり。)
前売り 大人 2000円 こども1000円
☆ご予約いただければ、当日受付けにて、前売り料金でご入場いただけます。
お問合せ、ご予約は、食工房でも受け付けております。 ℡ 0241-38-3102

試聴音源(mp3ファイル)へのリンク <こちら> 

※再生にはウィンドウズメディアプレイヤーが必要です。

更新情報

妖精美術館の地図をご覧になれます。
より大きな地図で 妖精美術館 を表示

土佐ネタ日記・タテタカコ編

映画「アルゼンチンばばあ」の主題歌を歌って、ちょっとはその名を知られることになった彼女、タテタカコのことを知った訳はこうだ。

長旅の果てに辿り着いた高知の実家で、夕方仕事から帰って来た妹が、いつものように、取り溜めておいてくれた新聞の切り抜きを、私の前に置いた。
一番大きめの一枚に、少年のような不思議な風貌の女の子の立ち姿の写真が載っていて、タテタカコとあった。
「フーン、そんなコ知らないなァ・・・。」と思いながら記事を読んで行くと、よく知った男の名前が出て来た。
藤島晃一、通称 Fuji と呼ばれていて、彼は、私の生まれ故郷土佐町のとなりの本山町で、Mississipi Cafe という名の、シブシブ、エグエグの南部系ブルースミュージックを聴かせる店をやっている。
そして彼自身、バリバリのブルースミュージシャンであり、絵描きであり、フォトグラファーであり、エッセイストでもある。
で、そのタテタカコがどうした?と思って先を読んでみたら、彼女は最近 Fuji のところに逗留し、アルバムを一枚レコーディングしたという話であった。
そこで、土佐町に出かけたついでに Mississipi Cafe に寄って、コーヒーを飲みながら話を聞こうと思ったが、話の流れは他の事で盛り上がり、タテの話はほとんど聞けなかった。

仕方がないので、帰って来てからインターネットで検索した。
オフィシャルサイト、ファンサイト、試聴サイト、いろいろあり、本人のブログもある。

音楽好きで人生を過ごして来た私だが、今までこんな詩を曲に、それもやさしく淡々とした旋律に乗せて歌う歌を聴いたことがなかった。
人は誰でも、自分だけしか知らぬ心の闇を抱えて生きている。
その弱みを、鎧を着ることで、バリアを張り巡らすことで隠し、明るく力強く振舞っている。
タテの歌は、全く唐突にそこに風穴を開けるのだ。
不意に涙がこぼれたり、頭の中がジーンとして真っ白になってしまったりするのを、どうすることも出来ない。
いつか機会があったら、彼女のライヴに行こうと思っている。

ところで、 Fuji のことで紹介したい話はいっぱいある。
そいつはまた別な機会に・・・。
来年の春から夏の間に Fuji を東北に呼びたいと、実は誘いをかけている。

☆タテタカコのオフィシャルサイトは<こちら>
☆試聴サイトは<こちら>
☆Fujiのオフィシャルサイトは<こちら>
☆FujiのCDを聴きたい方、食工房にも二枚あります。

三々五々来客、感謝の一日

今日はパン焼きの日で、早朝から生地をこね、午前中かかって焼き上げました。
さらに、発酵生地を使う「バタービスケット」を、午後一杯かかって焼きました。
娘二人の手を借りながら、それでも気の抜けないパン生地の扱いですから、お客さまのお相手は連れ合いに任せて、造りに集中していました。
時間をおいて三々五々、次々とお客さまがいらして、慌てることもなく、今日は仕事のバランスが良いと感じる一日でした。
地元山都町の中心街では、大きなイベントが開催され、今日は賑わっていたことと思いますが、こちらはいたって長閑でした。
昨年まで、このイベントには出店していたのですが、今年は来週には自分たちの関わる「奥会津アイリッシュコンサート」を控えていて、二週連続のイベント参加は無理と判断して、今日明日のイベント参加は、せっかくのお誘いでしたがお断りしました。
でも、こうして静かに仕事に集中出来た一日が過ぎて見て、本当はいろいろ仕掛けをしなくても、今日みたいな日が続いてやっていけるのが理想なのになァ、と思いました。

改めて、ご来店の皆々さまに感謝!

それにしても、今日のバタービスケットの出来は最高でした。
低温で長時間醗酵させたので風味は上々。
また、以前よりスティックの太さを細くしたので、火の通りが良くなってサックリと心地良い歯応えになりました。

土佐ネタ日記・道中編

9/25から10/2まで、郷里の高知に出かけて来ました。
高齢の母と一人きりの妹の顔を見るのが第一の目的、父の墓参り、親戚や友人知人のところへ顔を出して来ることが、もう一つの目的です。
たいていは一人で高速夜行バスで出かけるのですが、今回は娘二人を伴って車で出かけました。
旅費の節約と、出先で気ままに移動出来るのも魅力と思ってのことでしだが、実はこれが大変でした。
何しろ車は軽貨物1BOX車ですから、乗り心地は悪いし、エンジン音はうるさいし、以前普通車で出かけた時とは大違いで、すっかりくたびれてしまいました。
片道1000km超の道のりは、全線高速道路でもやっぱり遠かったです。
コースは、往きは、磐越自動車道→北陸自動車道→名神高速→中国自動車道→山陽自動車道→神戸淡路鳴門自動車道→徳島自動車道→高知自動車道、帰りはその逆です。
夕方5時に出発して翌日の午前10時まで、17時間かかりました。
往路は、免許取立ての娘に3回ほど、合計1時間半くらい運転を交替してもらい、ウトウト仮眠出来て大変助かりました。
帰路は、娘が疲れ気味だったため、30分間1回のみの交替で、私もさすがにくたびれて仮眠休憩し、18時間かかってしまいました。
今回の道中、何と言っても気がついたことは、名神高速のトラックの多さと、競い合って走る凄まじさでした。
深夜の高速道路は、まさに物流の現場です。
走っている車の90%以上はトラックです。
運転が素晴らしく上手いのですが、狂気スレスレの走りの車も沢山いてスリル満点でした。
こちらは軽自動車で、80km/hで定速走行していましたからほとんど抜かれる一方で、物凄い追い越しバトルを観客のように見ていられましたが、ごくたまにすごく遅い車がいて、どうしても抜かなくてはならないハメになった時、右車線に出るのはよっぽど勇気が必要でしたね。
それにしても、こんなトラックの走りで日本の産業と経済が支えられているのかと思うと、ちょっと複雑な気持ちになりますね。
トラックドライバーの労働環境の苛酷さは常々話題になっていて、それを目の当たりにしましたからね。
そして、サービスエリアのトイレでよく見かけたのは、結構年輩の運転手さんでした。
私と同じくらいの感じの人も多くて、何か身につまされる思いがしました。


写真は、往路高知県に入って最初のパーキングエリアで撮ったもの。
ここで、3人でそばを食べましたが、うどんのように太いそばで新鮮でした。
そしてそれがとても美味しくて感激でした。

帰って来ました。

実は、10月2日に帰って来ていましたが、たまった仕事が片付かないのでブログはそのままお休みしました。
今日は、とりあえず第一報です。
本日から、いつもどおり製造を再開しています。
パン、焼き菓子など取り揃えて、皆さまのご来店をお待ちしております。