貿易を語る時、国家間の経済格差を無視することは出来ません。
その格差によって、恩恵を受ける国と不利益に甘んじねばならない国が、必ず存在するからです。
たいていの場合、文明先進国と言われる国々の経済レベルは、開発途上にある国々のそれよりも高く、格差の率は数十倍から数百倍に達します。
日本で千円と言えば、昼食代とコーヒー一杯で消えてしまう金額ですが、世界には、その千円が一ヶ月の生活費に相当する国が沢山あります。
そしてコーヒーに関して言えば、コーヒーを輸入し楽しむ国は、経済レベルが高くお金持ちの豊かな国、一方コーヒーを生産する国は、経済レベルが低く物資に乏しい貧しい国という図式になっています。
経済格差の恩恵によって、日本の私たちはコーヒー豆を安く買うことが出来ますが、生産国の人々は、農業機械や設備、肥料や農薬など、自分たちの国でつくれないものを大変な負担を覚悟で購入しなければなりません。
つまりフェア(公平)ではないのです。
そうした不公平によって、貧困から抜け出せない構造の中に置かれているというのが、第三世界と言われる開発途上の国々の立場です。
そこで先進国の側から、そうした不公平を無くそうという動きが、一部ではありますが起こっており、それが「フェアトレード」と呼ばれる取り組みです。
いろいろな品目についてフェアトレードの取り組みがなされる中、コーヒー豆は、現在最も進んでいる品目なのだそうですが、アメリカ、ドイツに次いで世界第三位のコーヒー輸入国の日本で、フェアトレードコーヒーがコーヒー豆の市場に占める割合は、僅かに0.2%だそうです。
(ちなみに、アメリカでも2%。それでも日本の10倍です。)
現実は、あまりにも厳しいと言わざるを得ません。
さて、コーヒーについてフェアトレードを考える時、ほとんどの場合、オーガニック(無農薬有機栽培)を一緒に考えることで成功しています。
農薬や化学肥料を使わず、自分たちの足元で生み出すことの出来る有機肥料を使うことで、資材の購入を減らせることや、オーガニックが付加価値になることで、農家の手取りが増えるからです。
そして、フェアトレード団体と直接取引きすることで、流通コストを減らすことにも成功しています。
この他、フェアトレード団体の支援によって、農業機械や設備の導入が進んでおり、これも現地の人々にとっては大きな恩恵となっています。
それらのプロジェクト(取り組み)全体を支える元になるのが、私たちがそのコーヒーを買うことによって生じる売り上げ利益です。
いかがでしょう。
私たちが、もう少しでもフェアトレードに関心を持ち、第三世界の現状に手を差し延べようという気持ちになれば、それで救われる人の数は、決して少なくないのではないかと思います。
一方に、そういう支援は本来国家レベルでやるべきことだという意見も耳にしますが、政府レベルの支援は、往々にして双方の国の一部の経済産業界の人たちの利益にしかならないことが多いのです。
先進国の私たちが、一旦手にした利権を自ら手放すことはよほど難しいと言わなければなりません。
でも、私たち一人一人が少しの痛みに耐えることで、貧しい国々の人々をいくらかでも助けられるのなら、私は喜んでそうしたいと思います。
既に効果を上げているプロジェクトが、そこにあるのですから・・・。
※このブログの中の、フェアトレードに関する他の記事があります。 <参照>