日別アーカイブ: 2009年10月7日

コーヒーに対する、日本人独特のスタンス

先日来、コーヒー業界紙を読んでいて、コーヒーに対する日本人の感覚は世界の中でも独特のものがあること、またその故に、例えば私のような極小規模の怪しげな焙煎屋も、商売が成り立つことに理解が及んだという一件。
その記事の中から私が読み取ったことをまとめてみました。


先ず、日本は自家焙煎店が世界一多い、という事実。
これは焙煎に、殊の外こだわっている証拠と受け取れます。
焙煎がコーヒーの味を大きく左右すること、昔から職人の技や人の手の巧を珍重して来た気質、微細な違いを介する感覚、それらがが呼応し合って自家焙煎をもてはやす環境が出来上がっているのだと思います。
この事例一つからしても、コーヒーに対する日本人のスタンスが独特のものであることを物語っています。


ご存じのとおり日本では、コーヒーは高度な嗜好品と認知されています。
これに対し、コーヒー消費のメインルートである西欧諸国では、嗜好品というよりは一般的な飲料の一角に位置付けられています。
そこで何が違うかと言えば、嗜好品は嗜む人の好みがまず最優先ですから、本当に何でもありの世界だということです。


ところで、コーヒー豆は世界各地で生産されていますが、その品質の世界的な統一基準は、未だかつてなかったのです。
これでは、品質の向上を期待するのは、ある意味難しいと言えます。
そこで先ずアメリカで、「スペシャルティーコーヒー協会・オブ アメリカ(SCAA)」という組織が作られ、品質の高いコーヒー豆をスペシャルティーグレードとして認定する事業を始めたのでした。
これにより、品質の高いコーヒー豆が、アメリカに集まるようになりました。
この動きには、彼のスターバックスも一枚噛んでいて、スターバックスの成功は、SCAAの成功と大いに関係があるのですね。


これに倣って、日本でも「日本スペシャルティーコーヒー協会・SCAJ」が立ち上げられ活動を開始していますが、日本ではスペシャルティーの認定は協会が行うのではなく、各企業の判断に委ねるとしています。
もっとも業界でも認めている通り、スペシャルティーの概念は未だ十分に固まっていないのが現状です。


そんなこともあってか、品質の差別化とプレミアム付けは、生産者や販売者、焙煎業者などが思い思いにやりたい放題になっている一面があります。
まるで戦国時代の様相を呈しているわけで、まあそのおかげで私のような一匹狼でも、生き残れる隙間があるのかも知れません。


本当においしいコーヒーなら、必ず誰かが拾ってくれる・・・。
件の記事には触れられていませんでしたが、支持してくださる方との小さいコミュニケーションで成り立つ極小規模のロースターの活路は、案外あるのではないかと思っている私です。