月別アーカイブ: 2011年4月

明日は、パンを焼きます。

3月11日以来、毎日毎日が特別な日のような気がして仕方がありません。
それまでの時間とそれ以後の時間は、全く違う時間のように感じています。

だからこうして、「明日は、パンを焼きます。」と宣言しておかなくてはならないような気持ちになっているのです。
いつものように、また忙しい木曜日がやって来るだけのことなのですが・・・。


酵母は、絶好調です。
明日もきっと、いい焼きになるはずです。


そう・・・やっぱり特別なんですね。
いつもと同じようにパンを焼けるということが。


何もかも失ってしまった人が、いっぱいいらっしゃるのですから。


明日も、おいしいパンを焼いて、皆さまのご来店をお待ちいたしております。

データは出揃って来た

震災発生以来40日、原発が危機的状況になって以来35日、国の情報公開に対する態度には全くガッカリさせられどおしでしたが、市民からの要望、海外からの圧力、また民間有志による自主的な測定データの公開などに促される形で、最近では詳しい測定結果が公開されるようになって来ました。


中には、「何だ、早くから測定してたんじゃないか!どうしてもっと早く公開してくれなかったんだ!」と言う例も・・・。


そんな中、一昨日あたりに発表された地域別の環境放射線モニタリングメッシュ速報値は、各市町村の複数個所において地上1m地点と地表面(地上1cm)の二地点の測定結果が出されているので、自分の居住地域の実態により近い汚染状況が分かります。


それによると、我が山都町の相川地区のデータも見られ、自分が密かに予想していたものと符合する結果でありました。 <参照>

それにしてもこうしたデータを見るにつけ、ますます線量計が欲しくなります。


放射線は目に見えないのはもちろん、においもまたその他何の実感も伴わないのですから、検知器以外に存在を確認する手段はありません。


ところで、測定器を入手したいと思いネットで検索していますが、需要が殺到しているためかどこも在庫切れになっています。
また混乱に乗じて、使い物にならないと思われる機種を販売しているケースもあり、なかなか油断がなりません。
いずれにしても、特需のせいか価格も高めで、しばらくは入手をあきらめるしかないと思っています。


それにしても思うことは、もっと早くにこうした情報は公開されるべきだったということです。
中には、いち早い避難の判断の参考になったはずだと思われるケースも見られるからです。


そして今出されたデータをどう判断するか、それは私たちが自分で引き受けるしかないと思っています。
そのために少しでも勉強して、自分の行動を自分自身決定するのでなければ、情報公開を要求する意味がありませんから。

むしろ問題は精神的疲労

震災以来一か月余りが過ぎています。

福島を除く他の地域では、着実に復旧復興に向けて動きがありますが、原発事故を抱える福島は未だに今後を思い描くことが出来ずにいます。


このことが、多くの方の精神的疲労を限界に近づけています。


毎日毎日、ふと気が付いて見ると、原発と放射能のことばかり考えたり話したりして一日が終わっている、そんな日々が続いているからです。


食工房にご来店くださる方々のお顔にも、お疲れの様子が見られます。


お迎えする私たちも、ひょっとすると疲れた表情をしてはいなかっただろうか、ふと思い出しては気にかけています。


無理もありませんね・・・。


こんな時、やはり一番の慰めになるのは、自然の営みに触れることじゃないでしょうか。

福寿草まつりは中止になりましたけど、福寿草を見に来られる方は沢山いらっしゃいます。
もうすぐ沼のほとりの「鏡桜」も咲くことでしょう。
逞しい植物たちは、何事も無いかのようにいつものように芽吹き、花を咲かせるのですね。


昨日、郡山からいらした方も、こちらはまだ空気が清々しく感じられると仰って、深呼吸をしていました。


まだ真っ白に雪をいただいた飯豊山の姿が、ことさらに美しく見えるのもこんな状況だからでしょうか。


放射能の害は物理的で割り引きの仕様は無いのかも知れませんが、心の疲れは癒す方法があるような気がします。


 



2008年春・地元、相川の桜です。






  今週のクッキーとマフィンのおしらせ


今週は、ジンジャークッキーとどろんこクッキーとバタービスケットを焼きました。
他に、コーヒークッキーの在庫があります。


マフィンは、シマリス君の朝ごはんとココリスの予定です。

これからのこと 2

皆さまご存じの通り、本日、東京電力の正式な見解として、原発事故の収束までの時間的な見通しが示されました。

これで私たちとしても、今後への対応を考える根拠が得られたことになります。


とは言えこれは、決して楽観出来る見通しでも何でもなく、大変厳しいと言わざるを得ません。


放射線量が着実に減少傾向となるまでに3ヶ月、放射性物質の放出が管理され、線量が大幅に抑えられるまでにさらに3~6カ月程度かかる見通しだそうです。


逆に言うと、まだこれから3か月間はある程度の放射性物質が漏れ続けること、さらにそれから半年間は不測の事態が起こる可能性を排除出来ないということです。


大きな余震あるいは誘発による巨大地震の発生があれば、再び大きな損傷によって手が付けられなくなるかも知れません。
また予想しない困難にぶつかって、スケジュールが大幅に遅れる可能性もあります。


それでもまあ順調に運んだとして、今後どの程度の放射性物質が放出され、どのくらいの範囲に汚染が広がるのか、ある程度正確な予測が出来ないものでしょうか。


多分ですが、ここ会津でも場所によっては危機的状況が生じる可能性があると、私は思っています。
やはり、個人的に測定器を入手して、ローカルな放射線の測定を実現したいものです。


またもっときめ細かに土壌や農作物の汚染度を検査する体制を整備するよう、行政に要求することもして行かなくてはならないと考えています。


放射能との付き合いは、まだまだこれから先が長いのです。
今は福島だけがまるで被爆地のような扱いですが、いずれそのうちに日本中が要警戒地域になると思います。


そうなった時に、食工房のパン造りにどんな意義が見出せるでしょうか。
そのことは今のうちから考えておかなくてはならないと思っています。




  ご来店ありがとうございました。


本日も、多数の方にご来店いただきました。

パンも次々売れて、新発売のたまねぎパンは早々と売り切れてしまいました。

おかげさまで、毎日忙しく仕事させていただいております。

パンを焼いております。

何はともあれ、パンを焼いております。

放射能汚染の問題は、全く掴みどころのない実感の伴わない、そうかと言って危険であることには変わりない、もううんざりするような厄介な問題です。


そして、これまでの経過で気が付いていることは、汚染は結構細かく地域差があるということです。
もう一ヶ月が過ぎているのですから、もっと混ざって平均化するかと思っていましたが、濃い所はずっと継続して濃いままだし、薄い所はずっと薄いままです。


環境放射線量の高い所は、結果的に土壌の汚染も進んでいるようです。


全体として見れば高濃度の汚染を免れているかに見える会津ですが、その中にもかなりの地域差があります。
今後時間の経過と共に、土壌や水源の汚染が無視出来ない箇所が発生するかも知れません。
そうなった時には、やはりその事実を厳粛に受け止めて対応するしかないと思います。


食工房は、今のところ支障なくパンを焼いております。


先日出荷制限がかかった「会津のべこの乳」もその後制限解除となり、また従来通り「会津のべこの乳」を使用して、クリングラやバタービスケット、カネリプッラなどを焼けるようになりました。


あとは一日も早く汚染の拡大が終息して、再び出荷制限の事態とならぬことを願うのみです。


それから、今成長を再開したばかりの小麦とライ麦ですが、どうなるか・・・全く分かりません。
検査するつもりでいますが、どこに持ち込んでどんな検査をしてもらえば良いのか、どのくらいの費用がかかるのか、これから調べなくてはなりません。


その方面に精通しておられる方がいらっしゃいましたら、ご助言をいただきたいと思います。


最後に、今回の事態に対し、多くの方から励ましのお言葉やご注文などを賜っております。
この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

ちょっと言葉を失っています。

何と言ったら良いのでしょう・・・。
震災の余りの大きさと、原発事故の途方もなさ。


否、何から何まで悲観しているのではありません。


今、ちょっと言葉を失っています。


昨年の今頃、こんな記事を書いていたんですね。<参照>


それはそれとして・・・。


私の従兄弟の写真ブログに、今回の震災に寄せて打たれる言葉がありましたので、ご紹介しておきます。
 
 「四国の山村と自然を撮る」


それからもう一つ・・・。

※頭が変になったと言わないでください。

かの福島第一原子力発電所の構内に、何かしらでも祠のようなものがあったでしょうか…?

以前、原発にもお稲荷様が祀ってあるとかないとか、小耳に挟んだ記憶があるのですが、真偽のほどはどうだったのでしょう。

私には、とても重要なことに思えます。

沼ノ平産ライ麦、使い切ってしまいました。

ライ麦のパンが、どの種類も好評です。
ライ麦入り角食パン、堅焼き黒パン、プンパニッケル。
おかげさまで、沼ノ平の農家さんに作っていただいた貴重なライ麦も、新年度の収穫を待たずに無くなってしまいました。
これからまた、カナダ産のオーガニックライ麦を使用することになるのですが、この度の震災による混乱も手伝って、発注するのを忘れていたのですね。


大変申し訳ありませんが、明日のパン焼きでは、堅焼き黒パンとプンパニッケルはご注文分しか焼けません。
来週以降、またよろしくお願いいたします。


ちなみに、小麦の方はまだ十分な量を確保しています。
飯豊山食パン、麦畑通信・136、みのりのパンなどをお奨めしたいと思います。




  コーヒー豆、値上げのお願い。


すでに一度お知らせしていますが、コーヒー豆の価格を改定させていただきます。
コーヒー豆の国際相場が高騰していますが、今回の値上げはそれが理由ではありません。


選別によるロスが無視出来なくなったことが理由です。
元々サイドビジネスと位置付けていたコーヒー焙煎ですが、ある程度の時間を割く以上、持続可能な適正価格にさせていただきたいと思っての決断です。


今回値上げ幅が相当なものになりますので、これがきっかけでお付き合いいただけなくなる方も出るかも知れませんが、それもある程度覚悟しております。


ご理解とご納得の上、お付き合いいただけるようでしたら、どうぞよろしくお願いいたします。




  コーヒー豆 価格表  ※5月1日より実施


ブラジル産・樹上完熟・ミディアムロースト 500円/100g
ブラジル産・パウリーニョ・ミディアムロースト 600円/100g
ペルー産・コチャパンパ・ミディアムロースト 500円/100g
ペルー産・コチャパンパ・フルシティーロースト 550円/100g
ペルー産・コチャパンパ・フレンチロースト 600円/100g
食工房オリジナルブレンド・No.1   510円/100g
食工房オリジナルブレンド・No.18  550円/100g ※パウリーニョベースで復活


  追って、「パンだより」紙上でも告知いたします。

これからのこと

今日また大きめの余震に驚かされました。
こんな風では、なかなかこれから先のことを考えることが出来ません。
でも私は、こんな状況の中でも日常に戻っていつものように仕事をすることにしました。


物流も復旧しましたし、電気も水道もガスも万全ですし、電話もインターネットも支障ありませんから、ただ心配なのは原発と放射能汚染の状況ですが、それは警戒を怠らないという前提においてほぼ大丈夫だと判断出来るからです。


一方で、高い緊張感と情報収集の努力を持続しなくてはならないことは、言うまでもありません。


皆さまが毎日召し上がる食物を製造している者として、安心安全なものを提供することは、何より最前提ですから。


それで一つ、私の予想していることですが、放射能汚染は今どんどん広がりつつ平均化しつつあるので、これからしばらくすると日本中どこでも、平常値以上の線量が継続して観測されるようになるでしょう。


福島が一番高めなのは仕方がないとしても、それも時間と共に周辺との差が縮まって行くはずです。


相変わらずまだ放射性物質が放出され続けていますので、それがいつまで続くか、それまでにどんな種類の放射性物質がどのくらい出るか、その総量はどれくらいになるかで汚染の規模が決まるということです。


最終的に地球全体に拡散して薄まって、いつの日か無害と言える状態になるとは思いますが、それまでにどの範囲にどの程度の害を及ぼすのか、それは誰にも分かりません。


でも、自分はどの程度の害を受けた可能性があるか、それはある程度正確に計算出来るので、そのために必要なデータはずっと記録しています。


これからは、毎日放射能に関する情報をチェックするのが日課になると思っています。


どうしてこんな酷いことになったのか、その原因や責任については後々明らかにされなくてはなりませんが、なってしまった事態はとりあえず一人一人が受け留めるしかありませんから、ある意味これからは被曝しながらでも生きて行く覚悟をするしかないと、私自身はそう思っています。


今日は娘たちに買い物を頼みましたが、じゃがいもの種芋と大根ととうもろこしの種も買って来てもらいました。


畑は、もうとっくに雪が消えて、私たちが出て来るのを待っているようです。








  原発に関する情報源です。


武田邦彦氏が、テレビ番組に出演されたそうで、You Tube で見ることが出来ます。
私には、大変分かりやすくまた正論だと思われました。



 



 


無事、一週間の終わりを迎え・・・

震災以来一ヶ月、やっと通常営業で一週間を終えることが出来ました。
ありがたいことに、いつも以上のご来店を賜り、本日までにぱんも大方売り切れました。


製造の方も、今クッキー類その他の在庫回復のため、フル稼働で作業していました。


明日は定休日で、ちょっと小休止を。


それで今日また久しぶりに大きめの余震があり、グラグラと体に覚えのある揺れが襲って来ました。
外を見ると、電柱や電線が大きくゆれていました。


震源が福島県の浜通りと聞いて、まず原発のことが気になります。
ニュースからは、大きな変化はなかったことしか伝わって来ませんが、現場は一時騒然としたことでしょう。


今後の放射線量速報値に注目していたいと思います。


それはそれとして今日の日中、店の前の畑では、例年通りおばあちゃんが出て来て、畔の枯草に火を放っていました。
放射能がどうだろうが、やることやっておくしかないのが百姓ってもんだ!と、背中からそんなメッセージを放っているように見えました。


私も、畑やりますよ。

本日もご来店ありがとうございました。

本日は、昨日とはうって変わって暖かな晴天でした。

午前中、この集落の人足があり、道路周りの清掃作業、集会所会館の清掃などで軽く汗をかきました。

午後は、食工房の仕事を。
コーヒー豆の選別作業と、それからあとコーヒークッキーを焼きました。


店には、この陽気に誘われてでしょうか、沢山の方にご来店いただきました。
こんな大変な時に、本当にありがとうございました。
この場を借りても、お礼申し上げずにはいられません。


いつもの年なら、この時期は沼ノ平の福寿草まつりが開催中ですが、今年は中止されました。
それでもいつもと変わりなく、100万株とも言われる福寿草が咲き誇っているそうで、見に来る人がいるそうです。


今日いらした中のお一人は、福島市から来られたのですが、会津に入った途端空気が違ったと言います。
「平和だなァ・・・」という実感だったそうです。
福島市は、以来ずっと環境放射線量が高めで、多くの方の心にそれが重荷となっていることは確かです。


また南相馬市から避難して来られたご家族も立ち寄られました。
お年寄りご夫婦とお母さんと娘さんたち、どなたのお顔も何かに耐えているように見えました。


会津は本当に運が良かった・・・。
ほとんど何事もなかったようなものです。

だからその分、厳しい目に遭った方々に、いろいろして差し上げられることもあると思っています。

食工房に立ち寄って、何かしらでも皆さんのお気持ちが和らぐなら、こんなうれしいことはありません。
そのためにパンやお菓子が役に立つことを願って、これからも心を込めて仕事を続けたいと思っています。