以前、連れ合いの知人から届いた一通の手紙の中に紹介されていた、野上弥生子の小説「森」の中に出て来るという、コーヒーのイメージ・・・。
この「どんみり」という言葉を初めて聞いた時、思わず広辞苑を持ち出して調べてしまった私でした。
多分、造語だろうと思っていましたが、ちゃんと載っていました。
曰く、「どんより」と同意、黒い物が固まりあって澱んでいる様子、とあります。
私は、この作品を直接読んだことはありませんが、その手紙の中に紹介されている、道具立てやコーヒーを入れている時の情景描写から察するに、この小説の中に登場するコーヒー、ほぼエスプレッソに間違いありません。
ここでもまた物語の中でコーヒーが、絵になる風景を演出しているというわけです。
エスプレッソで入れるどんみりコーヒー
エスプレッソは、イタリア語で「急ぐ」の意、その言葉どおりエスプレッソコーヒーは速いのが身上です。
電気式のエスプレッソマシンで入れるのが一般的ですが、直火ポット式の道具も趣があっていいものです。
豆は、イタリアンローストと呼ばれる超深炒りのもので、見た目はほとんど真っ黒で油分が滲み出して表面がテカテカしています。
これをまた特別細かく粉に挽いて使います。
エスプレッソコーヒーは、沸騰した湯と蒸気の圧力で抽出しますので、非常に短時間で抽出されます。
しかも、フィルターはドリップ式のような布製ではなく、漉し網のような金属製のフィルターですから、コーヒー液の中にはコーヒーの微粉末が混ざっていて、それこそ「どんみり」としています。
そのまま飲むと、ドロッとしていてたまらなく苦いという感じですが、意外に後味に残らないサッパリとした風味にはちょっと驚かされます。
「カフェ・カプチーノ」は、砂糖を入れて甘くし泡立てたミルクにエスプレッソコーヒーを混ぜ、シナモンパウダーを振りかけたものです。
また、「カフェ・ラテ」は直訳するとコーヒー牛乳の意で、エスプレッソコーヒーとミルクを混ぜた飲み物の総称です。
こんな風に、いわゆる「コーヒー」と呼ばれる飲み物も、世界中には実に沢山の種類があって、それを語りだせば全くキリの無い話になってしまいます。
ま、追々回を重ねる毎に、一つずつ紹介して参りましょうか・・・。
All Illusts by Machiko Aoki