コーヒーの仕事をするようになってから、ずっと思っていることがあります。
それは、コーヒーを通して見えて来る、世界の国々の不公平と格差の問題です。
「コーヒーを飲む人の国はお金持ち、コーヒーを作る人の国は貧乏。」、この図式がもう200年間もずっと変わらず続いています。
コーヒー、紅茶、スパイスは、ヨーロッパの国々にとって錬金術の材料でした。
そのおかげで、生産地各国は次々と植民地にされて行きました。
その後大方の国々が独立を果しましたが、経済的支配の構図は今でも変わっていません。
世界一のコーヒー生産地ブラジルでは、昔はコーヒーはお金にするために専ら海外に輸出するものでした。
自分たちは、選別下となった豆の中から少しはましなものを拾い出して、それにいろいろ混ぜ物をして量を増やして飲んでいたそうです。
〇〇コーヒーと様々に名付けられたコーヒーの中身は、大豆、麦などを焦がしたものが大半混ざっていたのだそうです。
そして、その他ありとあらゆる植物の種子が試されたようですが、中でもオクラの種が絶品だったと、どこかで聞いた覚えがあります。
妨害されたフェアトレード
私がコーヒー焙煎を始めた時に、一番最初に仕入れた豆はペルー産のもので、日本の支援団体の協力で無農薬有機栽培に取り組み、フェアトレードで日本に輸入されていました。
原住民の人たちに、農業技術と商取り引きのノウハウを教えることによって、現地の振興に貢献出来そうな兆しが見えてきた頃、あろうことか現地に派遣されていた指導者リーダーが、武装集団に命を狙われるという事件が起こりました。
結局このプロジェクトは挫折せざるを得ませんでした。
その後、私が覚えている限り、ここの豆は何年か後になって、ある大手商社の通販サイトで格安のオーガニックコーヒーとして販売されています。
さらにその後はどうなったか知りませんが、その武装集団は、大方現地のブローカーたちがけしかけたものに違いないし、さらにその後ろで糸を引いていた力があったのでしょうね。
コーヒーの生産地の国々は、今でも往々にして政情不安で、戦争の危機に瀕している場合が少なくないのです。このペルーの豆の他にも、内戦で出荷不能となったまま、その後途絶えてしまった銘柄もあるのです。
どうぞ皆さん、一杯のコーヒーを召し上がる時、ちょっとこれらのことを思い出してください。
コーヒーの飲み方一つで、世界が変わることもあり得る、私はそんな思いでコーヒー焙煎をやっています。
イベントのご案内
6月9日(土)と10日(日)の両日、会津三島町の「工人まつり」に出店します。
当日は、日頃お世話になっている空色カフェさんの応援ということで、出張カフェを開店いたします。
空色カフェさんでも使っていただいている、食工房の自家焙煎コーヒーとシナモンロール、スコーンを召し上がっていただけます。
空色カフェさんも素敵なメニューを沢山準備しているそうなので、皆さまどうぞお楽しみにお出でください。
なお、工人祭りへのお問い合わせはこちらへ。 http://www.town.mishima.fukushima.jp/kougeikan/
空色カフェさんのホームページもご覧ください。
http://www.okuaizu.jp/sorairo/