モノづくりを仕事にしている人の習性として、道具を集めるというのはどうしてもあると思います。
いい材料といい道具と、もちろんいい腕があって、いい仕事が出来るというわけですから。
仕事に打ち込めば打ち込むほど、気がつけば道具に囲まれることになるのは、当然のことなのですね。
私の知っている限り、モノづくりを仕事にしている人は、少しでも稼ぎがあるとまず欲しくなるのはいい道具なんですよね。
そして仕事より楽しいのは、道具の手入れだったりするわけです。
さて、パン屋もご多分に漏れず、機械設備が沢山必要な商売です。
うちの場合は、何しろ資金が無かったので、全部中古品です。
もちろんそれでも十分役には立ちます。
無くても済みそうなものは無しで行こうと思っていましたが、丸ごと一式譲っていただいて、最初はこんなものは要らないと思ったものでも後になって、手に入れておいて良かったというものがいくつかあります。
皆、うちに来たからにはとことん大切にして、最後まで使い切りたいと思っています。
自慢じゃありませんが、壊れた道具を直して使うのは、私の特技なんです。
そして実は、集まるのは商売道具だけではありません。
趣味でも生活上でも、いろいろと道具を集めるのが私の宿命みたいです。
要らないと思っても、向こうからやって来ることさえありますから。
考えてみると、私が見ていて一番辛いのは、役に立つはずの道具が顧みられることなく錆びついて行く姿です。
その気持ちが、引き寄せるんでしょうかね。
ああそれにしても、何をするにも先ず我が手に勝る道具は無し、それだけは間違いありません。