イギリスのファンタジーの大作、J.R.R.トールキンの「指輪物語」、数年前に映画化されたおかげですっかり知名度が上がり、原著も以前よりはずっと沢山の人に読まれたことと思います。
そのおかげでと言っては何ですが、食工房のケーキメニューの一つ「エルフの焼き菓子」は、微妙な立場に立たされることになりました。
何を隠そう、私も家族の者も大の指輪ファンです。
もう20年以上も前、瀬田貞二さんの名訳による赤表紙本全6巻を、半年かけて子ども達に読み聞かせしたものです。
それも一度だけに止まらず、二度も・・・。
そして子ども達のうち、長男と長女はその後何度も読み返し、「シルマリルの物語」も含めて、登場人物のせりふを暗唱出来るほどの指輪フリークになってしまいました。
映画化の話が聞こえて来た時、長女は自分の中にすっかり出来上がっている、物語や登場人物のイメージが壊されると言って憤慨していました。
さて、そんな私たちでしたから、かのエルフの奥方の焼き菓子は一体どんなものだろうと想像を膨らませながら、いろいろ造って楽しんでいました。
トールキンは、アイスランド語の研究に通じていたそうで、その他北欧の神話や民話からも沢山ヒントを得ていたそうです。
今になって分かったのですが、あの「エルフの焼き菓子・レンバス」は、北欧の板状の堅焼きパン(クリスプブレッド)そのものなんですね。
日本でも、神田精養軒が「クネッケ」という名称で、同じようなものを発売していたのをご存知の方がいらっしゃると思います。
そんなことも何も分からず、エルフの奥方もきっといろいろなお菓子を焼いたに違いないので、そんな中にチョコレート味のケーキがあってもいいんじゃない、と軽いノリで「エルフの焼き菓子」と名付けてしまったのでした。
それが今、大多数の方が映画のイメージでうちの「エルフの焼き菓子」をご覧になりますので、そんな時は私たちも戸惑ってしまいます。
いっそのこと名称を変えようと思ったのですが、これがなかなか難しくて頭を抱えています。
ちなみに、私も映画は見ていません。
食工房の「エルフの焼き菓子」は・・・
カカオマスのフレークとミックスナッツとココアパウダーとココナツミルクの入った、やわらかい食感のケーキです。
油脂分は植物油だけでバターは使っていませんので、意外にあっさりした味わいです。
コーヒーでも紅茶でもどちらにも合います。
一名「幸福の香り」と呼ばれるカカオの風味を、思いっきり堪能していただけるケーキ、それが食工房の「エルフの焼き菓子」です。