「大草原の小さな家」と言えば、もうどなたも良くご存じでしょう。
我が家でも子ども達が小さい頃、よく読み聞かせしたものです。
私は、テレビで放映していたものも、ほとんど欠かさず見ていました。
物語の中で、ローラの母さんが焼き菓子を造ります。
それがあまりにおいしいので、近所の奥さん方が「あなたの焼くビスケットはどうしてこんなにおいしいの?」と質問します。
母さんは答えます。「それは、サワードゥが入っているからですよ。」
そのサワードゥこそは、今、食工房でも使っているパン種のことです。
当時の翻訳では、サワードゥ=酸っぱい練り粉、となっていたりして、天然酵母パン種など全く認知されていなかったことがよく分かります。
西洋の家庭でサワードゥは、日本の家庭ならどこにでもあった糠床のように、家宝のように大切にされていたのです。
とは言え、最初はそれが分からず、ただどんなものだろうと想像しているだけでした。
それが、天然酵母パンを研究するようになって、すぐに合点が行きました。
早速、ローラの母さんが焼いたサワードゥビスケットを再現してみたい意欲をそそられ、いろいろ試しました。
試行錯誤の結果、正しく再現出来ているかどうかは別にして、現在、食工房の製品として3種類のサワードゥビスケットを焼いています。
そのうちの一つが、「森のパン屋のビスケット」です。
プレーンなパン生地に、植物油とミックスナッツとカレンツ(すぐりの一種のベリー類のドライフルーツ)を混ぜ、細長い棒状に成型して焼きます。
今風なサクサクの軽い口当たりではありませんが、しっかり噛みしめて食べると、本当にしみじみうまいと思います。
そして私は必ず、「大草原の小さな家」のその一節を思い出します。