日別アーカイブ: 2008年2月27日

コーヒーと音楽/フォークロアセンターの思い出

コーヒーと音楽の関わり、これもまた語り出せばキリのない話しになります。
音楽に耳を傾ける時、そこに一杯のコーヒーがある・・・、お似合いの風景だと思います。
今はどうか知りませんが、私の若い頃は、ジャズ喫茶、ロック喫茶、ブルース喫茶、フォーク喫茶等々、それぞれのジャンルの音楽を専門に聴かせる喫茶店が沢山ありました。
このブログでもすでにお話ししましたが、私のレギュラーコーヒー入門は、ジャズ喫茶通いから始まっています。<参照>
その後東京に出て来た私は、ロック喫茶、ブルース喫茶を見つけて、あちこち出没していました。
昔から、音楽とコーヒーと自分のスペースを、頭の中で結びつけて想像を膨らませ続けていた私が、店を持つことに大きく一歩を踏み出すきっかけになったのは、東京の両国に今もある、「フォークロアセンター」という店に、スタッフとして関わったことです。
1974年9月から1975年3月まで、短い間ではありましたが、非常に中身の濃い、私にとっては人生の一大転換点でした。
それまで、客としてコーヒーを飲んだことしかなかった私は、客にコーヒーを淹れて出す側に回り、コーヒーと好きな音楽三昧の毎日を過ごしました。

ところでフォークロアセンターは、アメリカのフォークミュージックに関わりが深いのですが、それに止まらず、今で言うところのルーツミュージックへの手がかりを得られる貴重な場所でもありました。
客の中には、珍しい音源や楽器などを持参で来店する人もあり、音楽的刺激には事欠きませんでした。
店内にも、アイヌの「ムックリ」や「トンコリ」、また当時はまだほとんど知っている人もなかった「ダルシマー」なんかも置いてありました。

加えてライヴハウスでもあったフォークロアセンターで、私は、沢山のミュージシャンたちと出会うことも出来ました。
今は有名人となりメジャーな世界で活躍していて、当時はまだ無名だった、久保田麻琴、井上憲一、佐久間順平、ウィーピングハープ・セノオなどと、親しく話しをする機会があったことも楽しい思い出です。
私も、当時はブルースバンドでハープ(ブルースハーモニカ)を吹いていて、フォークロアでも演奏したことがあるのです。

さてさて、そこで忘れてはならないのが、フォークロアセンターで出していたコーヒーのお話しです。
当時、この手の店としては珍しく、ウィンナーコーヒーを出していたのですね。
そしてコーヒーメニューは唯一それだけでした。
あとは、バヤリースオレンジドリンク、コーラ、そしてビールでした。
ところが、このウィンナーコーヒーに使う生クリームには、オーナーの特別なこだわりがあって、中沢乳業の純生クリームでなくては承知しませんでした。わざわざこれを買い求めに、東京駅の大丸デパートの地下食料品売り場まで、しょっちゅう出かけていました。
そしてコーヒー豆は、当時すぐ近くに店があった、愛川コーヒー店という小さい焙煎店から仕入れていました。(その後、このお店は隅田川の向うの日本橋の方に移転してしまいました。)
すぐに私も、店用の他に自分用の豆をそこで買うようになり、こうして私がコーヒーの世界へと深入りして行く第一歩、その足跡は、東京両国の地に印されたのでした。

ちなみに、フォークロアセンターは現在も健在で、オーナーの国崎さんもお元気らしいです。
2002年からホームページも開設され、文筆の達者な国崎さんの沢山のレポートの中には、私も良く知っている懐かしい方々のお名前を、何人か見ることが出来ました。
日本の音楽シーンの底辺で貴重な役割を果して来た、フォークロアセンターに興味をもたれた方、どうぞ<こちら>からお訪ねください。

もしいつか出来ることなら、こうした方々に私のコーヒーをご馳走しながら、昔を語り合ってみたいものだと思っています。