以前、「デルスー・ウザーラ」という物語を読んだことがあります。
ほぼ事実に沿って書かれたこの物語は、沿海州の一帯を調査したロシアの軍人によって記されたものです。
この中で、調査に同行しガイド役を務めた、現地の先住民ゴリド人(正式には、ナナイ氏族)の男の名、それがデルスー・ウザーラです。
この物語の中でデルスーは、行く先々で出会う鳥や獣、虫たちはもちろんのこと、太陽や月や星、雲までもを「人」と呼びます。
私は、直感的にその自然観にとても親しみを覚え、その通りに違いないと思ったものです。
その物語を読んだ時の感激は、以前文章に書いて発表していますので、今ここでは申し上げませんが、今日、「ナショナルジオグラフィック・2008年3月号」に、「動物の知力」というタイトルで大変興味深い記事があるのを見つけ、読んでみて驚くと同時に膝を打ちました。
最近の研究で、動物たちがこれまで考えられていたのとは大違いの、大変優れた知的能力を持っているらしいことが分かったというのです。
その記事の一部始終をご紹介することは到底出来ませんが、そこには例えば、自分から自発的に人間の言葉を覚えてコミュニケーションしようとするヨウム(オウムの一種)の話などがレポートされています。
これを読みながら、私は科学がやがて発見し証明するのは、例えば先に申し上げた、デルスー・ウザーラの自然観は間違っていなかった、というようなことなんじゃないかと思っています。
その時人間は、鳥や獣や虫たちを、そして人間自身を、どのように捉え付き合って行くことになるのか、ちょっと楽しみです。
正直に言えば、私はむしろその時を待っているのですから。