月別アーカイブ: 2009年5月

仕事の合間


甘い匂いが漂って、まるでおとぎ話に出て来そうな光景に、頭がポーッとなってしまいました。


一昨日、ウワミズザクラの写真を撮ってからというもの、窓から見える外の様子が気になって仕方がありません。
今日も雨が降らず、暖かく明るい晴天でした。
ホウの花はどうなっただろうかと、見に行きたい気持ちを夕方までこらえて、クッキー焼きを終わらせてすぐ自転車に飛び乗って現場に急ぎました。

昨日の夕方は、まだ蕾のままで今日の開花はないだろうと思えましたが、道行く途中、覚えのあるあの甘い香りが自転車に乗って走っている私の鼻をかすめました。
見回すと、山のあちこちにホウの木があって白い花が点々と見えていることに気づきました。
こんな離れたところまで匂いが漂ってくるとは、何というすごいエネルギーなんだ!と気持ちが高ぶって来るのが分かりました。
そのまま自転車を飛ばして、たどり着いて見るとアッと驚く光景がありました。

明日には満開という状態で一輪。
他はまだ蕾。
どうやら今年は幸先がいいようです。


 



庭のイチョウの新緑もやわらかくていい感じです。


 



先日のイタヤカエデの幹に近づいて見たら、先客がいました。
オオススメバチが3匹、どうやら樹液が出そうなところを探している様子です。(そのうちの一匹、体長4、5cmほど)
ひょっとすると、近くの地面の下に巣があるのかも知れないと思い、怖々退散いたしました。

沼ノ平、麦畑通信・2


こちら、ライ麦です。さすが、よく育っています。



小麦は、今一つ。雨が降るのを待っています。


今日は、夕方ちょっと時間の隙間を使って、沼ノ平の農家さん宅まで出かけて来ました。
小麦の原穀がなくなったので、またいただきに上がるのが主な用でしたが、ついでなので麦畑に回って見ました。
このところすっかり日が長くなったおかげで、夕日が差している麦畑は、なかなか良い眺めでした。
ただ、ここしばらく雨が降っていないので、成長は今一つです。
それでもライ麦は、さすがに痩せ地でも育つ作物だけあって、すでに50cmほどの丈になっています。
小麦の方はかなり出遅れた感じで、雨が降るのを待っているというところ。

とにかく作物は、お天気次第。
本当にこの後どうなるか、最後に収穫された麦粒を見るまでは、「まだまだわからん!」の台詞どおりです。
とにかくも、無事の収穫を祈るしかありません。

来年は、もっとずっと作付けを増やしていただくことになりそうです。
そして出来ることなら、この店の前の畑も小麦で覆いたい。
そうなったらどんなにいいだろうかと思う私です。

地産地消、自給自足、昔は当たり前だったことが、これからの新しい時代にマッチする生き方として、また注目されて来るに違いありません。
ここで出来たお米や麦で、おいしいご飯やパンが食べられて、それで健康に生きていけるとしたら、それこそがユートピア(理想郷)というものに違いありませんね。
どんなふうに展開して行くか分かりませんけど、パン屋としてやれるだけやって見ようと思っています。


  麦畑通信・1 <参照>
  麦畑見学会のご報告 <参照>


風のいたずら




イタヤカエデの実ザヤです。
まだ中の実が熟していませんが、今日の強い風に煽られて落ちてしまったようです。
こんな形の実ザヤが、新緑の葉の数に負けないほど沢山ぶら下がっています。
秋になると、この羽根の付いた実がクルクル回りながら、パラシュートのようにゆっくりと地上に降りて来ます

ウワミズザクラ


本当に美しいと思います。



こちらは、とても可愛く見えます。


 


この季節、山の中は次々と木の花が咲いています。
そして新緑が濃くなるに連れ、白い花が目立ちます。
私の好きなホウの花も、早い所ではもう咲き始めています。
今年、ちょっと狙いを付けている所があって、そちらはまだ蕾です。
今年は、久々にまたホウの花の写真が撮れるでしょうか・・・。


それで、今日は仕事が早めに終わったので、犬の散歩に付き合って近くを歩き回っていると、ウワミズザクラが咲いているのを見つけました。
でもかなりの大木で、花はずーっと高い所にあって、写真を撮るには遠すぎます。
そうしたら上の娘が、別な所でずっと低い位置に咲いていて、写真を撮るのにちょうどいい場所があると教えてくれました。
早速途中から分かれて、その場所に行って見ました。

聞いたとおり、絶好の場所です。
道路沿いの藪にちょっと入っただけで、ご覧に入れたような写真が撮れました。
ちなみに、これは2枚ともノートリミングです。

それで実は、ウワミズザクラには類似した種類がいくつかあって、本当にこれがウワミズザクラかどうか、図鑑で調べてみました。
こういう時、図鑑の写真って結構微妙なんですよね。
もうちょっと、ここのところをよく見せて!と思うところが写っていなかったりします。

そんな時、我が家の取って置きの虎の巻は、「原色牧野植物大図鑑」です。
写真よりも、説明入りのスケッチの方が、はるかに正確で頼りになります。
その結果、これはウワミズザクラかシウリザクラのどちらかだと思われるが、ほぼウワミズザクラに違いないという結論に達しました。

遠くから眺めると、枝に無数のタンポンか毛ブラシのようなものが付いているように見えますが、近寄って見ると小さい花が房状に集まったものであることが分かります。
そして、どんなに小さくても、ちゃんと桜や梅などと同じくバラ科の花の特徴を備えているのが見て取れて、ここでも自然の営みのサプライズに感激する私でした。


そうそうちょっと余談ですが、散歩しながらまた娘に教わりました。
イタヤカエデのイタヤの名の由来は、大きな葉がびっしりと重なっていて水も通さない、つまりこの木の下に入れば雨に濡れないで済む、まるで板の屋根のようだ言うところから「板屋根」・イタヤと呼ばれるようになったとか・・・。
今日は、先日にも増して緑が濃くなっていました

連休も終わり・・・

ゴールデンウィークも終わって、また静かな毎日になりました。
ご来店くださるお客さまの顔ぶれも、ほとんどいつものご常連の方だけになり、お相手は連れ合いに任せて、私は作業場で黙々と仕事をこなしています。
ありがたいことに、ご注文がほど良いペースで次々と入るので、パニックにならずに落ち着いて仕事が出来ます。
今日のスコーンも上出来でしたし、明日のパン焼きに備えて酵母の調子も上々です。
明日は、パン焼きの後コーヒー焙煎も予定していて、仕事の密度を少し上げなくてはなりませんが、まあ大丈夫そうです。
こうして、皆さまに喜んでいただける仕事が出来るようになったことが、実は最近の私にとって一番うれしいことなのです。
明日も良い仕事が出来るようにと念じつつ、今日は早寝することといたします。
明日は、4時起きです。

味と香り

味と香りは別物ではないと、いつも思います。
おいしいものは、先ず鼻に来ると言われますね。
その通りだと思います。
ところが最近、どうもこの香りがいかにも偽物っぽい食べ物が多くなったような気がします。
私は、以前からずっと自然志向で暮らして来ましたから、人工的な香料の放つ香りを心地よいと感じたことは、ほとんど記憶にありません。
食べ物ではなおさらで、香料で香りつけしたものと、自然の素材の持つ香りの違いは、言われなくたってはっきり分かります。
例えば、手づくりした文旦ピールのあの香りを覚えると、人工的な柑橘系の香料なんか、不快に感じるほど嫌になってしまいます。

ま、それはそれとして、人はこの香りに意外に騙されやすい側面があるのですね。
冷たい水に、少量の食塩を溶かしたとします。
ほとんど何の匂いもしません。
ところがこれにバニラオイルを一滴落としてかき混ぜます。
するとどうでしょう。
何か甘い味のする飲み物に思えて来るから不思議です。
でも口に入れた途端、まずくて吐き出すに違いありません。


それを、小麦粉と炒り玄米粉と植物油などを混ぜ合わせて生地をつくり、薄く延ばして焼くと、皆さんよくご存知の「パタポン」です。
ノーシュガーでも、微妙に甘みを感じます。
それはもちろん、小麦粉や炒り玄米粉がわずかに甘みを持っているからですが、バニラオイルの香りがとても重要な役目を果たしていることを、お分かりいただけると思います。
あともう一つ、少量の塩分が逆に甘みを引き立てる性質があることも、ご存じだったでしょうか。


こんな風に食工房ではいつも、自然の素材が持つ香りを積極的に利用して、味わいにパフォーマンスを持たせる工夫をしています。
スパイスワークは、食工房の決め技というわけですが、こればかりは全てをご披露するわけには行きません。


それからこれが一番肝心なことですが、こうした小細工も主たる原材料の品質が背景にならないことには、何の役にも立たないということを、最後に申し上げたいと思います。

イタヤの大株

習刊 コーヒー通信 に替えて  


連休最後の今日、今一つお仕事モードになり切れないまま午後になって、明日の支度やコーヒー焙煎をやっています。

午前中、犬の散歩に行った折、いつものコースの途中にあるイタヤの大株の前を通りかかると、地面に黄色いものが降り積もるように沢山落ちていました。
途端、ハッと気がつきました。
それは、イタヤカエデの花だったのです。



この新緑を見逃してしは、一年の悔いになってしまいます。



葉の切れ込みが浅く、丸っこい形がとてもかわいい。
ウリハダカエデの葉と似ていますが、ずっと小ぶりです。


そうです。イタヤというのは、イタヤカエデの略称です。
見上げると、薄日を背景に透けるように明るいイタヤの新緑が空を覆っていました。
そう言えば山暮らしをしていた頃、このイタヤの開花期に梯子に上って花の写真を撮ったことを思い出しました。
散歩から帰って早速、今度はカメラを持って出直しました。
と言っても、歩いて2分もかかりません。


光線は十分ありシャッターも速いと思いましたので、手持ちで行きました。
ただ、オートフォーカスオンリーのコンデジでは、層になっている枝葉のどこにピントが来るか全く予想がつきませんし、自動露出オンリーでは、絞り込みという手も使えません。
とにかく下手な鉄砲も何とやらの例えにあやかって、シャッターを切り続けました。
それからこれはいつもの手なのですが、狙いをつけたところを中心に置いて、意図的にややワイドに撮影しておきます。
あとで大きな画面を見ながらトリミングして、欲しい所を切り取ります。
こうすれば、なるべくレンズの収差の大きい周辺部を避けて、中心部の精度の高いところを選ぶことも出来るし、ファインダーを覗けないコンデジには、重宝なテクニックだと思っています。


 



 


ちょっとカメラの話しに力が入り過ぎましたが・・・、イタヤカエデは根元から何本も幹が立って大きな株になる傾向があり、ここでも一本陰に隠れていますが全部で5本、それぞれ直径が30cmを超えるくらいの大株になっています。
こんな大きな株の前に立っていると、幹と幹の隙間に見えている向こうの風景は、別世界のように思えて来ます。
隙間から、今にも何かが出て来そうな雰囲気です。


たとえわずかでも、こんなふうに木と向かい合っている時間、私は言いようもなく幸せです。


 



すぐ近くの足元には、ムラサキケマンが咲いていました。
これも猛毒。ただしお薬になるそうです。

福寿草、その後


花芯の形とそっくりに実をつけています。


早春の頃、咲いている福寿草を愛でる人は多いですが、新緑も深まりつつある今頃、福寿草のことを気にかける人はほとんどいないと思います。

今日、外の草むらで立ち小便をしていたら、足元に福寿草が実をつけているのを発見しました。
あとでカメラを持ち出して写真を撮っていたら、面白いことにアリが実を一粒もぎ取って運んで行くではありませんか。
確か福寿草は全草猛毒で、種子も例外ではなかったはずです。
もっとも、昆虫には無害なのかも知れませんが・・・。



何をしているのかと思ったら・・・



一粒実をもぎ取っていました。
トウモロコシみたいですね。




しばらくその場で行きつ戻りつしていましたが、
どこかに運んで行きました。



上の娘が言うには、昆虫の中には、わざわざ毒のあるものを食べて自分の体に毒を回し、鳥や他の昆虫の餌食にならないよう防御している種があるそうで、このアリがそのために福寿草を選んでいるのか、本当に食料にするのか、あるいはもっと他に目的があるのか、調べてみたくなりました。


それはそれとして、福寿草はこうやって実をつけてそれが熟して地面にこぼれると、あとは枯れてまた来年の春の開花期まで、一年の大半を休んで過ごすのですね。
そう言えば同じ頃咲く、同じキンポウゲ科のアズマイチゲも実をつけているかと思いあたりを探してみたら、実をつけている姿はなく、すでに枯れてしまった葉と茎が草むらに埋もれかけていました。
こちらは、もう種をこぼした後だったのでしょうか。
春のこの時期は、次々といろいろな草花が交替して咲いては実をつけて行きます。


こうやって次の世代へと命をつなぎ、役目を終えて消えて行く草花の姿に立ち会って、今朝がた帰って行った息子夫婦や孫を見送った自分も、同じく一役終えて人生最後のステージに立とうとしているのだなと、しばし感慨に耽った私です。

そう言えば今日は、こどもの日でした・・・。
全ての子どもたちが、本当に幸せであるようにと祈らずにはいられません。

祭りのような一日


何をやるにしても、頭数が多いというのはすごい力。
会場もあっという間に設営してしまいました。


身内だけで12人、今日は3人お客さまも加わって、まるで祭りのような一日になりました。
日頃の我が家の食生活からは想像出来ない、焼肉パーティーです。
ビールもいっぱい用意して、大騒ぎに・・・。
私も、久しぶりに飲んで食べて、ちょっといつもと違う満足感を味わいました。

我が家の四人の息子のうち二人が、アフリカの太鼓(ジェンベ)をやっているので、今日はそのつながりの方がお客さまというわけで、早々から太鼓のセッションが始まりました。
食工房に買い物に見えたお客さまも、急きょ観客となり大盛り上がり状態に・・・。
それは良かったのですが、少しばかり調子に乗り過ぎたせいか、ご近所から苦情をいただいてしまいました。
いやいや、失敗!失敗!




この子の笑顔に免じて、どうぞお許しを。



そして今日は早、一組帰って行きましたので、ちょっとさみしくなった感じがする我が家です。
明日には、残るメンバーも帰途に付き、いつもの我が家に戻ります。
そして、また忙しくなりそうな気配です。

時事そして私事雑感


 


週末、休日の高速道路の利用料金が、1000円一律でどこまででも行ける制度が発効して、最初の利用のチャンスがこの連休でした。

正直な感想を言わせていただくなら、「何と馬鹿げた発想なんだ!」と取り合う気もしていませんでした。
休日に高速道路を利用してどこかに行くなんてことは、うちにはほとんど関係ないことですからね。
それにそもそも、ETCとやらも付けていないし、軽自動車のバンでは遠くに行く気にもなりません。(いや、一度高知まで往復したのでしたが、もう一度やる気はないので・・・。)

ところが、昨日千葉からいらしたご家族連れは、しっかりとこの計らいの恩恵に与かり、交通費を節約出来て上機嫌。
そのせいかどうか知りませんが、うちでいっぱいお買い物をしてくださいました。

確かに直接の恩恵は全く無いのですけれど、こういうのを波及効果と言うのでしょうかね。
多分、業種にもよるかも知れませんが、多少の間接的恩恵に与かった商売は、案外沢山あるのじゃないかと思います。
だからと言って、決して良い制度だと弁護するのではありませんよ・・・、念のため。

節約の仕方もいろいろで、同じく今朝早く千葉から到着した息子たち一家は、高速料金を浮かせるために全行程8時間、一般道を走行して来ました。
これも、たまたま彼がトラックドライバーで、運転もルート選びも心得ていたから出来たことで、一歳半の子どもを連れてこんな強行軍は、誰にでもお勧めするわけには行きません。

まあこのように、ものごとの善悪はそんなに簡単には論じられないということですね。
ただどうしてもこういう制度を作りたかったというのなら、本当に然るべきところに恩恵が分配されるよう、もっと真剣に議論を尽くしてからにしてもらいたかったと思うのは、私だけではないでしょう。

かくして連休半ばの今日、もう一人の息子が茨城から仙台経由で到着します。
彼の節約方法は、往路は友人の車で帰りは兄貴の車でと、なかなか上手い手を使っています。

ゴールデンウィーク、実感してます。

先日4月29日からすでに連休期間に入っていますが、週末の今日は久しぶりの遠来のお客さまのお顔を拝見して、いよいよ連休なんだと実感した次第。
ちょうどお天気も良く、暖かさを通り越して少々暑いくらいの陽気の中、はるばる千葉から、いつもこちらに来る度にお立ち寄りいただいている方々が二組お見えになりました。

実は今年は我が家も、久しぶりに都会に出ている子ども達が全員
帰省して来ることになり、結婚した二人の息子の連れ合いと孫も一緒なので、明日から総勢12人の大家族になります。
さすがに仕事は明日の午前中までで、後は製造休止です。

今日はそういう事情もあって、通常のパン焼きの他にクッキー類も二種類焼きました。
連休中、お店の方はずっと開けておりますので、ご来店いただければありがたいと存じます。


     チゴユリが咲いていました。



低い位置に下向きに咲くので、目立たない上に、写真を撮るのは一苦労です。




斜面に咲いているところを下から狙って、やっと視野に入ります。


この花は、私が好きな花のベスト5に入ります。
それほど珍しいというわけではありませんが、開花時期が短くまた目立たない姿をしているため愛でる人は多くない、というよりそもそもお気づきにならないのかも知れません。

コンデジでチャレンジしましたが、小さい花なのでなかなか思った所にピントが合わず、背景の杉の木にピントが合ってしまったりして散々苦労しましたが、やっと2ショットこれならと思うシーンが撮れました。
小さくてもちゃんとユリ科の花の特徴を備えていて、特に三又にフックになっている雌しべの凝った細工には、自然の計らいの完璧さを思わずにはいられません。


 





ここはやはり一眼レフだと思い、フィルムを入れて久々にフィールドワークしました。
ファインダーで見るチゴユリは、なお一層感動的でしたけど、ちやんと写っているかどうかは現像してみないことには分かりません。

ずっと以前に撮ったチゴユリの写真を、すでに一度お目にかけています。
ご覧いただければ幸いです。<こちら>